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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第4章タノマ地区編【壱】
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第4章第39話未来の平和なき冒険その7~未来の覚悟とジョンの決断(後編 )~

 「聞こえてるぞ、さっきからな」


 二人が居るテントに入って来たのは、先程外に追い出されたジョンであった。


 「頭は冷えたか?」


 「おかげさまでな」


 隊長と一言交わした後、ジョンは未来を見据えてこう言った。


 「さっきは悪かった」


 「そんな、謝るのはこっちの方です」


 ジョンは頭を下げて謝る。それを見た未来は手を左右に振りながら、必死にジョンの頭を上げさせようとしていた。ジョンはそれに気付き、頭を上げるがお互いに気まずい空気が漂い、何も言えずにその場に(たたず)んでいた。


 それを見兼ねた隊長は何か思い付いたのか、イタズラ小僧のような笑みを浮かべていた。


 「ジョンも君もなんとなく言いたいことは分かったよ。君は“ジョンに近くに居たい”ジョンは“君を危険な場所に近づけたくない”。言い換えれば、“ジョンはこれから危険な場所に行く”ということだ。確かにジョンは明日の早朝にここを発つ。行けば死ぬかもしれない場所に。二人の様子を見ているともう既に話し合いでは解決できない状態なんだろう? なら一つ提案がある。それはーーー」


 「おい、そんな提案乗れるわけないだろ」


 隊長の提示した案を聞いたジョンは、隊長を(にら)めつけながら拒否する。


 「君はどうする?」


 「はい。それに乗らさせて頂きます」


 「おい」


 一方の未来は提案に乗る。それをジョンが止めようとするが、


 「ジョン。言いたいことは分かる。なら俺の提案で決着(けり)をつけろ」


 「分かった。俺とお前の仲だ。提案に乗ろう」


 隊長に説得され、提案に乗ることを承諾する。






 三人はテントを離れ、街の外れにある広場にやって来た。周りには人っこ一人居ないため、すごく静かである。


 「これより、ルールを説明する。お互い二十メートル離れたところに立つ。開始の合図があるまでお互いに近づいてはダメだ。勝負は相手倒すまたは降参させた方が勝ち。お互い異論はないな?」


 「はい」


 「ああ」


 未来とジョンは指定された定位置につく。ジョンはこの時思う。


 (未来ちゃんには悪いが、この勝負は一瞬で片付ける)


 お互いに準備が完了したのを見ると、隊長は持っていたフラッグを上げた。開始の合図である。


 「ふっぅぅぅ」


 ジョンは開始直後、周りから見えない空間から銃を取り出し、一瞬で未来の方目掛けて一発撃つ。この“周りから見えない空間”は例の科学者によって作られたものである。掌分のサイズのものを空間内に入れることができる代物だ。


 剣や槍などは入れられないが銃なら入れられる。そのためジョンには相性がいいものであった。どうやって入手したかと言うとヒーロー支援団体を経由して“買った”からだ。勿論、迫夜が未来に渡した空間収納器はこれがモチーフに作られている。


 一方に未来は開始直後、ジョンに向かってバカ正直に突っ込んでいた。二人の光景を見ていた隊長は勝負あったなと心で思った。何よりこの勝負そのものがジョンに有利だった。普通に考えれば、接近戦が主の未来が遠距離戦を主とするジョンに有利となる点がなかったのである。


 未来目掛けて撃たれた弾丸は、未来に当た……らなかった。未来はスピードを緩めることなく弾丸をスレスレに交わし、ジョンへと向かっていった。


 その姿を目の当たりにしたジョンは驚愕の表情で未来を見つめていた。さらに傍観中の隊長をも驚かせた。


 (しまった)


 ジョンが未来を見つめている間に未来は五メートルまで接近していた。ジョンは慌てて銃を構えもう一発放つが、気が動転していて狙いが定まらず、未来の脇腹の横を通りすぎていった。


 そうこうしている内に未来二メートルまで接近。そして右手を構え、


 「はああああぁぁぁぁぁ『炎竜拳舞(フレイムバースト)』」


 ジョンへと突き出した。この時、隊長は見た。未来の右手から吹き出した炎が竜のようになり、ジョンに喰らいつくのを。


 「ぶはぁぁぁぁぁぁァァァ」


 未来から放たれた拳はジョンの腹部に直撃し、ジョンを後方へふき飛ばした。ジョンは後ろに七メートル飛ばされ、受身をとれぬまま背中から地面へと叩きつけられた。


 ジョンが起き上がった時、目の前に既に未来がおり、拳を向けられていていた。ジョンは悟る。


 「降参だ」


 ジョンは両手を上げ、降参する。こうして未来は勝負に勝つ。この時、なぜジョンは負けたのか? 要因は後々、隊長がこう推測した。


 それはタノマ地区特有の常識にある。タノマ地区での強者(ヒーロー)の見分けかたは体格で判別する。つまり、筋肉質ほど強いというのが、タノマ地区住民の常識であった。


 そのため、小柄な未来が見た目に反して戦えるということ自体、想像の範囲外だった。これは傍観者で勝負を持ちかけた隊長にも当てはまっていた。


 隊長は戦闘能力はあまり高くはないが、状況に合わせた的確な判断と人の才能を見抜ける力がある故に隊長に抜擢(ばってき)された

。その隊長も勝負の結果にただ茫然(ぼうぜん)としているだけだった。


 これはタノマ地区の中の常識であり、サイカイ地区、テレイ地区に行ったことがあれば、それが非常識であることを知っていただろう。しかし、ジョンも隊長もタノマ地区から出たことはなかった。


 もし、このことを知っていれば結果は変わっていただろう。しかし、現にジョンは手を上げ降参しており、結果が覆ることはない。


 勝負に勝利した未来はこの次の日、北の村クレイバスに向けガンバイトシティを出発した。







           次回予告


 ガンバイトシティを出発した未来一行は北の村クレイバスに辿り着く。そこで見たものは村の惨劇といまだ交戦中の自警団の姿だった。次回クレイバス攻防戦(前編)。※作者の都合により予定とは異なる場合があります。予めご了承下さい。

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