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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第4章タノマ地区編【壱】
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第4章第35話未来の平和なき冒険その3~悪の帝国【ボーンレイド】~

 今日二度目の投稿

 「おっ、何作ってんだ?」


 ジョンがテントを張り終え未来の所に行くと、未来が料理を作っていた。作っていたのは釜飯だった。

 三十分後、釜飯が完成する。出来上がった釜飯は材料が少なかったため見た目は質素である。


 「「いただきます」」


 二人は釜飯を頬張るように食べた。作る時間よりも食べる時間の方が短かったが、釜飯はとても美味しかった。食べ終えた未来は後片付けに入る。一方のジョンはテントの中で休んでいる。後片付けが終わり未来がテントに入った直後、遠くの茂みから異音が聞こえる。


 「未来ちゃん。静かに」


 ジョンは慌てて銃を持ち出し、テントの外の様子を窺う。ジョンは気配で何かが近づいてくるの察知する。


 「未来ちゃんはここで待ってろ」


 ジョンはテントの外に出て、辺りを見渡す。


 「敵は三体、人の足音にしては振動が弱すぎる」


 ジョンは敵の情報を勘で探る。徐々に近づいてくる謎の物体。ジョンの顔に汗が垂れる。


 「グャャャャ」


 「ヅャャャャ」


 次の瞬間、茂みから三体の骨格標本(スケルトン)が現れる。ジョンはすかさず銃で撃つ。二体は近づく前に頭蓋骨を撃たれ倒れる。もう一体はジョンの近くまで寄るが、ナイフが頭蓋骨に刺さり倒れる。


 「ふぅ~」


 ジョンは銃をしまいナイフを回収してテントに戻る。テントに戻ると、未来がジョンに尋ねた。


 「何だったんですか?」


 「ちょっとした野生動物が入り込んだ。後始末をしてくるから先に寝ていてくれ」


 「えっ、でも寝るには早……」


 未来が言い返す前にジョンはテントの外に出てしまった。ジョンは骨格標本(スケルトン)の死骸を遠くの茂みに放り投げた。


 「まさか骨格標本(スケルトン)が現れるとは。本当に【ボーンレイド】は勢力を落としているのか?  あの男に問い詰めねば」


 ジョンは謎めいた言葉を口にした後、テントに戻っていった。未来はジョンに状況を尋ねたかったが、ジョンの表情が(いら)立っていたため不可能だった。この後、未来とジョンは明日のために早めに寝た。





 翌朝、まだ日も出ていない時間に二人は目を覚ました。日が昇るのを待ち、昇った頃合いを見て出発の準備をする。ジョンはテントの片付け、未来はタロスに餌やりを、それぞれ分担し行う。仕事を終えた二人はタロスに乗り出発する。


 出発して四時間、とうとう目的地であるガンバイトシティが見えてきた。ガンバイトシティの特徴は、特殊金属で作られた壁によって囲まれていること。壁は高さ五十メートルで見た目は黒よりの灰色をしている。そして壁の表面はツルツルしていて傷一つない。壁は四方にあり、国道が通じる北と南の方角には高さ四メートル幅六メートルの門が設置されている。


 二人が門に近づいて行くと、門は厳重に閉められていた。ジョンはタロスから降り、門の横に取り付けられた

円錐形のメガホンのようなものに話しかける。


 「ジョン・スミスだ。悪いが、門を開けてくれ」


 話しかけてすぐ、門の上の部分にあるガラスからこちらを覗く武装した兵士が見えた。兵士はジョンの姿を確認すると未来には目もくれず、ガラス部分から降りて門の開閉ボタンを押した。二人の方からは門の開閉ボタンは見えないので、少しの待ち時間があった。その間にジョンは未来の所に戻ってくる。そして門の開く音と共に数人の兵士がジョンの方を向き、敬礼をしていた。


 「未来ちゃん。タロスから降りて、手綱を引いて歩いてくれ」


 ジョンの言う通りに未来はタロスから降り、手綱を引いて門を(くぐ)る。門を抜けると、国道沿いに商店街が立ち並び、裏道の方には住宅街が広がっていた。


 「んっ! なんか様子が変だな」


 ジョンはある異変に気付く。外を出歩いている市民が少なく、代わりに武装した兵士達が街中を歩いているのである。ジョンは通りすがりの兵士に聞いた。


 「何かあったのか?」


 「はい。昨晩、【ボーンレイド】の骨格標本(スケルトン)約五十体がこの街に侵入しようとしたため、防壁射砲で迎撃しました。半数以上が仕留められましたが、逃げた個体も居たため、厳重な警備を引いてあるという状態です」


 「そうか。ありがとう」


 「ジョンさん。お気をつけて」


 兵士はジョンに敬礼し立ち去っていく。ジョンは昨日の襲撃した骨格標本(スケルトン)がこの街から逃げ出した個体であると結論づく。一方、未来は兵士の話に出ていた【ボーンレイド】のことを気にかけていた。未来がパーロンを訪れた際出会った次郎が口にしていた名前であることを思い出す。


 「ジョンさん。【ボーンレイド】とはどういう組織ですか?」


 「! 未来ちゃんここで話すと兵士達の邪魔になってしまう。宿屋に行ってから話そう」


 未来から突然、【ボーンレイド】の言葉が飛び出し、びっくりするジョン。ジョンは未来に巧みに誘導させ、宿屋に連れていくが内面ではヒヤヒヤしていた。二人が宿屋に到着する。ただ泊まるだけのキタタノマタウンの宿屋とは違い、露天風呂にサウナに娯楽施設と高級旅館のような宿屋だった。


 宿屋に入ると、着物を着た年配の女性達が二人を出迎えてくれた。


 「スミス様お久しぶりです。今日はどの部屋にお泊まりですか?」


 「じゃ、松の間で」


 出迎えに来てくれた女将さんの中で一番若い四十代後半ぐらいの女性に案内される。


 「広い!」


 ジョンが頼んだ松の間は一室十二畳の部屋が二つとトイレ二つが付いた部屋である。残念ながら壁に囲まれた街の為、景色は良くない。そのため、価格はリーズナブルになっている。


 「未来ちゃん。露天風呂でも入ってくるといい。ここのお湯は疲労によく効く」


 「風呂か~、確かに早く汗を流したい。でもジョンさん。さっきの話の続きが聞きたいです」


 ジョンは未来には話したくなく隠そうとしたが、未来には効かずテーブルの側に座り重い口を開いた。


 「【ボーンレイド】は今から三十年前、南歴千九百六十六年にここタノマ地区に現れた。悪の帝国を名乗る組織だ。奴らは帝国を作ると言いながらあちこちで虐殺や強奪を繰り返した。奴らの組織の構成はリーダー一人幹部三人と戦闘員で成り立っている。」


 「その戦闘員って骨みたい者ですよね」


 「そうか。昨日のを見てしまったか。その通りだ。戦闘員達は骨格標本(スケルトン)といい、一体だけなら弱い。だが、その分数で押してくるため厄介である。骨格標本(スケルトン)には強化骨格標本(ハイスケルトン)という上級戦闘員が居る。強化骨格標本(ハイスケルトン)は上級と下級に分けられ、上級の強さは幹部を(しの)ぐと呼ばれている。」


 「ジョンさんは強化骨格標本(ハイスケルトン)とは戦ったことがあるんですか?」


 「俺は下級なら戦ったことがあるが、下級でも厄介だ。骨格標本(スケルトン)とは比べものにならない。話を戻すとこの街は二十八年前に標的にされ、大惨事になった。この街に住んでいた天才科学者が特殊金属の壁を作り、周囲を囲った。三年前にも襲われ、俺はその現場で奮戦した。幸い壁と兵士達のお陰で被害は最小限に抑えられた」


 「だからみんなジョンさんに敬礼を」


 「【ボーンレイド】の戦闘員は二万を越えるというが年々下がってきていると報告がある。だが、ただ単に潜伏しているだけかもしれん。俺が探している奴も【ボーンレイド】と戦っている勇敢な奴だ」


 「会えるといいですね」


 「ああ」


 ジョンの話が終わり、未来は露天風呂を入るために部屋を出ていった。ジョンは未来が出ていくのを確認すると。


 「嘘をついてしまったな。二十八年前のことを大惨事の一言で片付けてしまうとは。それに【ボーンレイド】の戦闘員は全員……」


 ジョンが呟いたことは、前者は未来も壮絶な経験をしているため耐性があるが、後者は未来が聞けば相当ショッキングな事実であった。




 

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