第4章33話未来の平和なき冒険その1~出会い~
未来は瞬間移動マシンを起動させ、パーロンにやってきたはずだった。しかし訪れてみるとそこは家はたくさん建っていたが、ほとんどが見る影もないガラクタになっており、到底人が住めるような状態ではなくなっていた。
さらに、あちらこちら異臭が立ち込め、未来は異臭の原因を探りにガラクタになった家に入ると、驚くべき光景を目撃してしまった。それは人の死骸だった。死後数ヵ月は経過しているのかところとごろ白骨化しており、遺体の周辺の持ち物から女性だったことが見てとれた。
「酷い」
未来は遺体のあった家を後をして村を捜索してみると、遺体はそこらじゅう存在しており確認できただけでも三十体あった。中には子供や老人の遺体もあり、未来は気分が悪くなり村を出ようを決め、村の中心通りらしき道を歩いているときだった。
「グャャャャ」
「ウャャャャ」
未来の周りを人の骸骨みたいな化け物達が十数体取り囲んでいた。骸骨達は手にナイフや棍棒を持ち、今に未来に襲いかかろうとしていた。未来は話し合いで解決できそうになかったので変身しようとした時だった。
ブルンブルンブォーーーン
突然、遠くから耳に強く残る音がした。まもなく音の正体が判明した。村の中心通りを走る一台のバイクがあった。バイクは未来の前に居た骸骨達を吹き飛ばし、未来のすぐ前で停車した。
「大丈夫か?」
バイクを止め降りてきた男に未来はとても驚いた。男は首下から全部シルバー色をしていたからである。シルバーのボディーには筋肉や傷跡が克明にあり、それが、スーツや衣装ではなく男の身体であることが伺えた。もちろん海パンを身に付けており全裸というわけではない。さらに口を隠すように赤いマフラーをしていた。
「あ、はい。大丈夫です」
「そうか、俺の姿を見ても怖がらないんだな」
「?」
「いや、何でもない。それよりここは危ない。君は下がっていたまえ。後は俺に任せてくれ」
未来はその男の言葉に乗っかり、後を任せることにした。男はすぐさま周りに居る骸骨達に挑みかかり、瞬く間に骸骨達を倒していった。一体の骸骨が敵わぬと踏んで逃げ出したが、男の手からは逃れられず背後から攻撃を受けて倒れた。男は未来の所に戻って来て言った。
「もう大丈夫だ。でもなぜこんな危険な場所に居る?」
「えっ、それは、人探しをしていて……」
未来は戸惑った。流石の未来も見ず知らずの人に自分達の素性を話すわけにはいかないからだ。未来は咄嗟にここに来た目的だけを伝えた。
「そうか。だが、この村の住人を探しているならあまり期待しない方がいい。君も見ただろう? この惨劇を」
男は勘違いをしていた。未来の探している人がパーロンの住人だということを。もちろん未来はそれに気付き、慌てて訂正した。
「あのー、探している人はこの村の住人ではないです」
「そ、それはすまなかった」
「いえ、それよりここで何があったか教えてくれませんか?」
「う~ん。それは……ああいいだろう」
男は未来の質問に若干言葉を濁らせかけたが、話すことを決めた。そして男の口からこの村での出来事が告げられる。
「この村は半年前、悪の帝国ボーンレイドの襲撃を受け、生存者八名を残して他の住人は皆殺しにされた。」
「……」
未来は男の話を黙々と聞いていた。話を聞いているうちに未来はブレンスクートでの忌まわしき記憶を思い出していた。ブレンスクートとパーロンの違いは一つだった。それはヒーローが助けてくれたか助けてくれなかったかである。
「おい。おーい」
「はっ、すみません」
「謝らなくていい」
いつの間に男の話は終わっていた。男も未来もパーロンにはこれ以上居たくはなかった。
「そろそろこの村を出よう。君もこの村には留まりたくないだろう?」
「はい」
「ではこの後ろに乗ってくれるか?」
そう言って男はバイクの後部席に未来を乗せようとした。しかし、未来の反応は少し違っていた。
「あの、これは何ですか?」
「へぇ?」
男は驚愕した。バイクを知らない未来を。もちろん未来の故郷であるサイカイ地区にはバイクはなかった。しかし、学校で旧文化財の一つでバイクという物が教えられていたはずだった。ここで男は気付いた。未来が勉強が不得意であることを。
「風が気持ちいい」
「そうか」
現在、未来は男のバイクに乗せられ広大な草原の中を走っていた。バイクが走っているのは整備された国道だが、道の外を見ると一メートルを越える草が見渡す限りに広がっていた。未来が後ろを振り向くと、パーロンの村が視界ギリギリの場所まで遠ざかっていた。
「もうパーロンの村が遠くに」
「ははは、そりゃそうだ。八十キロで走っている。それにバイクはまだまだ加速できる」
男の話を聞いた未来は目を輝かせていた。男は未来の様子を見て、バイクを加速した。それから数時間、男と未来は喋り続けた。そして視界に町が見えた頃、男は急にバイクを止めた。
「どうしたんですか?」
「残念だが、俺が送ってやれるのはここまでだ」
「どうしてですか?」
未来が理由を訪ねると少し間が空いて言った。
「バイクは危険物だからな。俺が捕まっちゃう」
男がお気楽にそう言うと、二人はお互いに目を合わした後、大爆笑していた。
「最後に名前を教えてください。私は未来です」
「未来って言うのか。じゃ、俺の事は次郎と呼んでくれ」
「はい。次郎さん。ここまでありがとうございました。」
「ちょっと、最後に頼みを聞いてくれないか?」
未来はそう言って町の方に向かおうとするが、次郎に
止められた。
「頼みとは何ですか?」
「俺と一緒に居たのは内緒にな」
「はい」
今度こそ未来は町の方に向けて歩き出した。未来が町の中に入ったのを確認した次郎は。
「別にバイクは違法な物じゃないんだが……。俺の嘘も下手くそだな。また会えるか? いや、もう会っちゃいけねーな」
次郎はバイクを発進させ、日が沈んだ夜の国道に消えていった。
一方、町に辿り着いた未来はというと……。
「ようこそ、キタタノマタウンへ……」
未来は町の入口に堂々と飾られた標識を見ていた。町の中に入る未来だが、家はたくさんあるが外を歩いてある人は誰一人居なかった。どの家の窓には木の板のバリケードが取り付けられ、まるで何かの襲撃に備えているようだった。未来は数十分歩き回り、ようやく人を見つけた。すると、偶然なのか未来の方に歩いてきた。
「お嬢ちゃん。こんな時間に散歩かい? 物騒だから早く家に帰りな」
近づいてきた人物は男性であった。男性は頭にテンガロンハットを被り、西部劇で出てきそうな服を来て腰には銃と弾丸、さらに小型のナイフを着けていた。その姿はまさしくガンマンといえる。
「いえ、今この町に来て……」
「なに? 旅人だと。こんな物騒な地でか? さっさと帰った方が身のためだ」
「私には目的が……」
「君の家族が心配してるだろ……」
未来は男性のペースに翻弄され、全く話を聞いてもらえなかった。
「…………分かったか? もう今日は日が沈んでいる。速く入りな。俺も年頃の少女を外に放置しておくほど鬼じゃねぇ」
「あ、はい」
男性は口調こそ悪かったが、親切にも未来を宿屋に入れてくれた。未来は男性に従い、宿屋に入る。宿屋に入ると男性は扉を閉め、厳重に施錠していた。
「おかみさん。もう一つ部屋空いてるかぁ~」
男性が大きな声で叫ぶと奥の部屋から年老いた女性が現れる。
「ああ、空いてるよ。客人かい?」
「おう。ちょっとした連れだ」
「そこの階段上がってすぐの201号室じゃよ。ほれ鍵」
年老いた女性は未来に201号室の鍵を投げる。未来はキャッチすると、女性は奥の部屋に戻っていってしまった。
「ありがとうございます」
未来は男性にお礼を言う。男性はお礼なんていいというジェスチャーをしていた。未来は次郎の時とは違い、早めに名前を聞いておくことにした。
「あのぅー、名前を伺ってもよいですか? 私は時空未来といいます」
「時空未来……。ああ、そうだな。俺の名前はジョン・スミス。ジョンが名前でスミスは名字だ」
二人はお互いの名前を教えた後、握手を交わした。ジョンは未来に飯を奢る約束したあと自室に戻っていった。未来もやることがないので二階の201号室に向かった。二階に上がると長い通路と通路の左側に部屋がいくつもあり、未来の部屋は一番手前にあった。部屋の鍵を開けると中は六畳ほどのリビングだったが、質素でベッドしかなかった。
未来はその部屋で一時間ほどくつろぐと、ジョンとの約束を果たすため下の階に下りていった。




