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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第3章テレイ地区編【壱】
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第3章第27話ネーミングセンス悪いとか言うな。

 「何々?」


  招待状


 我々、恐怖の時間は今日の十八時、オールパニアシティの細雪自然公園を爆破する予定です。ハートウォリアー様、マジカルウォリアー様、そしてその連れの皆様、止めたいのなら細雪自然公園にお越しください。恐怖の時間は貴女方の来訪を心からお待ちしております。

 恐怖の時間 三臣

 葛形 (クズヤマ・コウ)


 「……ふふ、この人、自分の名前を間違えてるぞ」


 「あっ、本当だ。形と書いといて(ヤマ)と読んでる」


 「ちょっと、待ちなさい。問題はそこじゃないでしょ。由奈まで一緒になって」


 迫夜が恐怖の時間から送られた招待状という名の果たし状を見て、本質とは関係ない所を指摘して桃に怒られていた。


 「――どう見てもこれは罠だな」


 「そう。私達もそう思って悩んでいるんだけど……」


 迫夜達は明らかに罠だと分かる招待状を見て、行くかどうかの判断を決めようとするが……。


 「さぁ〜、オールパニアシティに出発〜」


 「おぉ〜」


 「いや、待て。まだ行くか決めて……」


 迫夜達がオールパニアシティに行くか悩んでいた中、勝手にオールパニアシティに出発してしまう未来と琴美。


 「あれ? 迫夜さん。瞬間移動マシンって、今まで私達が行った街しか行けなかった気がするのですが……」


 「ああ、その事か。それはだなぁ。瞬間移動マシンには共通認識機能が付いていて、瞬間移動マシンを付けた一人が今まで行かなかった街に行けば、皆が付けている瞬間移動マシンにも一人が行った街の位置情報が転送され、行けるようになる」


 「いつの間にそんな機能が……。――では、迫夜さん。琴美(あと未来)が心配なので私も行ってきます」


 「えっ、理……」


 未来達に続き、理佐も迫夜の言葉を遮って、オールパニアシティに出発してしまった。


 「皆さん、行っちゃいましたね」


 「そうだな」


 「何、のんびりしてんのよ。もう行くしかなくなっちゃったじゃない」


 こうして迫夜・桃・由奈は先に行った未来を追って、オールパニアシティに行くことになる。




 ――オールパニアシティ――別名・自然と共存した都会街

 別名の通り、街のあちらこちらには人工的に作られた森や林があり、その近くにそびえ立つ建物の外観は自然とマッチしていて、いかにも自然と共同体であると伺えた。


 「到着〜」


 「うん? ここはどこだ」


 迫夜達がオールパニアシティに着き、周りを見渡すと整備されているのか、一列に並んだ木々や、一直線に引かれたれんが道が目に入る。


 「どこってオールパニアシティに決まってるじゃない」


 「いや、そこじゃねぇよ。俺が言ってるのは、ここはオールパニアシティのどこだってことなんだが……」


 「細雪自然公園ですね」


 「って優理! いつから居たんだそこに」


 会話中、いきなりここに居るはずのない優理が、会話の中に入ってきたので、とても驚く三人。


 「今さっきですよ」


 「そ、そうか。でもなぜ俺達がオールパニアシティに行くことが分かったんだ?」


 「先程まで迫夜さん達の声が私の部屋まで聞こえていましたので……」


 「俺達かなり大声で喋っていたのか」


 優理がここに来た理由を聞いた迫夜は優理を連れ、先に行った未来達を捜すことにした。


 「お〜い未来……」


 「琴美さん〜居たら返事してください」


 「理佐〜」


 迫夜達は未来達を捜すため、くまなく捜すが、未来達を発見することには至らなかった。


 「まさか、敵に捕まったんじゃ……」


 「いや、それはないな。まだあいつらの予告した犯行時刻まで三時間弱あるぞ。それにまだ人通りが激しいのに、こんな中で未来達を誰にも見られずに誘拐できるわけねぇよ」


 迫夜達は公園内の捜索を中止し、ひとまず公園を出ることにした。


 「あっ! ケーキ屋だ」


 「由奈、今は……行っちゃった」


 公園の外に出てすぐ、由奈は近くにあるケーキ屋を見つけ、桃の制止を振り切りケーキ屋に一直線に向かってしまった。


 「ちょっと由奈待ちなさい〜」


 更に桃も由奈を追いかけ、ケーキ屋に走っていってしまった。


 「……」


 「……」


 「俺達も行くか」


 「そうですね」


 迫夜と優理は二人が入っていったケーキ屋の中に入る。中は狭く、客用のテーブルも椅子も無く、お持ち帰り専用のケーキ屋であった。迫夜達が中に入ったとき、桃達二人は店の店員に話しかけた所だった。


 「ご注文はお決まりでしょうか?」


 「えっと、あのメガデコレーションショートケーキ一つと」


 「虹のチョコレートケーキ一つをお願いします」


 「ご注文承りました。メガデコレーションショートケーキ一つと虹のチョコレートケーキ一つで計七百五十円になります。」


 「はい。七百五十円ちょうどですね。商品が出来るまで少々お待ちください」


 店員はそう言って、店の奥に消えていってしまった。

 数分後、店の奥から店員がケーキ二つが入っていると思われる、片手ぐらいの大きさの箱を右手に持ち、ゆっくりやって来た。


 「お待たせいたしました。メガデコレーションショートケーキと虹のチョコレートケーキでございます」


 「ありがとうございます」


 「またのご来店をお待ちしております」


 桃達はケーキの入った箱を受け取った後、店の出入口に向かっていった。


 「欲しいものは買えたか?」


 「うん」


 迫夜の問いに満面の笑みを浮かびながら答える由奈。その光景は和やかさを醸し出していた。




 「師匠どこに居たんですか。こっちは三時間ずっと探してたんですよ。」


 「それはこっちの台詞だ。勝手に先に飛び出しやがって」


 迫夜達はケーキ屋を出た後、ケーキを座って食べれる場所を探して、細雪自然公園に戻った直後だった。ちょうどベンチを見つけ、ベンチの前に移動したとき、後ろから未来達が走って来たのである。


 「もう五時回って、予告時間まで一時間もないのに、こんな時にケーキ食べてる場合ですか?」


 「別に俺が食べてる訳じゃないだろ。それに本当は(未来も)食べたいだけだろ」


 「当たり前ですよ。目の前で食べられたらみんなそうなりますよ」


 迫夜と未来が口喧嘩している中、黙々とケーキを食べ続けている二人。優理・理佐・琴美の三人は六時が来るまでじっと待っていた。

 午後五時五十分頃、まだ続く口喧嘩に見るに見かねた優理が雷のような声で言う。


 「いつまで喧嘩しているんですか。あと十分くらいで予告した時間になるんですよ。いい加減にして下さい」


 優理に怒鳴られ頭を冷やしたのか、迫夜と未来の口喧嘩が止まる。

 その時公園内に居た人達が全員、公園の外に歩き出していることを、迫夜達は誰一人気付くことはなかった。


 「あと三分だな」


 迫夜が公園内に設置してある時計を見ると、時刻は五時五十七分を差していた。


 「はぁ〜、あの人達みたいに早く帰りたいなぁ〜」


 「そうね。早く帰って……迫夜さん。何かおかしいですよあの人達。」


 理佐の指摘を受け、周辺に目を配る迫夜。すると、さっきまで話し込んでいた中年のおばさんやスーツ姿の会社員が目を虚ろにさせ、無言の状態で猫背になりながら公園の外にと足早に歩いているのが確認できる。


 「動くな。一旦様子を見るんだ」


 迫夜以外の全員は迫夜の忠告通り、その場にじっと立って周りを警戒する。

 目を虚ろにした人々は全員公園の外に出て、公園内には迫夜達だけになったときだった。


 ゴーン ゴーン


 「まさか今、六時か」


 六時になり、どこからか鐘の音が聞こえてくる。そして鐘の音が聞こえなくなって、すぐのことだった。


 「レディースアンドジェントルマン。ようこそ私のショータイムへ」


 「誰だ。どこに居る」


 迫夜達は周辺を見渡すがどこにも敵の姿を確認することは出来ない。


 「ふっふっふ。残念ながらお前達に私を見つけることは不可能だ」


 「何だとっ」


 「さぁ、行け。下僕(しもべ)達よ」


 突然、迫夜達しか居ない公園に大量の球体関節人形が現れ、迫夜達を襲い始めた。


 「くっ、やるしかないか」


 『突風拳』


 『炎気拳』


 まず、迫夜と未来の拳が近くに居た人形達に当て倒していく。


 『雷中斬撃』


 『刈衣』


 『弾射』


 次に、優理・理佐・琴美が得意の戦法で敵を倒す。


 「「変身」」


 「「変身完了」」


 『ハートブレイド』


 『炎丸波(ファイボルシー)


 最後に桃と由奈が周りの敵を一掃する。


 「やはり、下僕では倒せませんか。ならば……【魔法少女達こちょこちょで倒しちゃおう作戦】に切り替えるか」


 「「ネーミングセンス悪っ」」


 敵の作戦名のカッコ悪さに、つい本音を言ってしまう迫夜と未来。


 「ネーミングセンス悪いとか言うな〜〜〜」





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