第3章第23話大親友、思い違いが、敵同士。by迫夜(魔法少女の喧嘩・前編)
今日から更新再開。
「うっ、はっ、ここはどこ」
一人の少女が目を覚ます。少女は見知らぬ場所に居ることに驚き、周りを見回す。そして自分がベットに寝かせられている事と、隣のベットにもう一人の少女が寝かせられている事に気付く。
「起きて由奈、私達捕まってるよ」
少女は慌てて由奈と呼ばれる少女を起こす。
「うーん。桃! なぜ桃が私を?」
由奈と呼ばれる少女は、起こされてすぐ隣にいる、桃と呼ばれる少女を見て、驚愕する。
「今はそんな事いいでしょ。それより、まだ私達変身解いちゃダメよ。ここの人が味方だという証拠はないわ。もしかしたら【恐怖の時間】の奴らの基地かもしれない」
由奈は桃の言葉で、自分達の変身がまだ解けてない事と、自分達を助けた人が味方だという証拠がない事に気付く。
「うん。今は、桃と争っている場合じゃない。分かった。一緒に行動する」
桃と由奈は部屋の中を見渡して状況を確認する。
「出入口は一つだけのようね。さっさと出ましょう」
「桃、ここは敵のど真ん中、注意して」
二人は出入口の前に立つと、慎重に扉を開ける。桃が外を見渡すとこちらに誰かが向かってくる足音が聞こえた。
「由奈、誰か来る」
二人は急いでベットに戻り、寝たふりをする。
「そろそろ起きたんじゃないか?」
「実際に行けば分かりますよ」
桃と由奈が寝たふりをする中、迫夜達が扉を開ける。
「まだ寝ているようですね」
ガタッ
迫夜は一瞬ベットが動いたのを見逃さなかった。
「おい、もう起きてるぞ。たぶん。おーい寝たふりしてる所悪いが、起きてくれないか?」
迫夜が呼びかけするが、二人は起きてこない。
「よし、未来・琴美ちょっと二人をくすぐってきてくれ」
「「うん。分かった」」
未来が桃を琴美が由奈をくすぐる。すると二人が、
「「アハハハ」」
こらえれきれずに笑ってしまった。
しばらくして、迫夜達の前に桃と由奈が座っている。
「あなた達が私達を助けてくれた人達ね」
「まぁ、そうだが」
「ありがとう」
「あ、ありがとうございます」
桃は自分達を助けてくれた人達が、迫夜達だと分かるとお礼を言う。それに遅れて由奈もお礼を言う。しかしここで先ほどまで一緒に居た桃が、いきなり由奈に血相を変えて怒鳴る。
「恩人に対してお礼が遅いんじゃないの」
「あなたが、最初に、恩人を、疑った」
桃に怒鳴られた由奈は、桃に怒鳴り返す。由奈の口調からは怒りが感じられなかったが、表情は桃に対して睨めつけていた。
「だいだいあなたが、ナガヤ湖に行ったからいけないのよ」
「違う。桃が、私を、呼んだ」
「嘘をつくな」
「あなたこそ、嘘つき」
「もういい。あなたとは……」
「いい加減にしろ」
桃と由奈の口喧嘩がヒートアップしていき、怒りが最骨頂に達した桃が、由奈に文句を言っている途中に迫夜の怒号が周り一帯に響いた。その声に周りが静かになる。
「お前らが何の事で怒ってるかは知らないが、他人の前で喧嘩する奴がどこにいる? 見てみろ。みんな困ってるだろ。」
桃と由奈は互いに周りを見渡すと、未来達が対応に困っていた。
「で、でも」
「でもじゃない。言い訳をして何になる。何があったのかは後で俺達が聞いてやる。だから今は迷惑をかけた人に謝れ」
言い訳を言おうとした桃だが、迫夜に見破れて更に怒られる。
「「みなさんにご迷惑をかけてごめんなさい」」
桃と由奈は迷惑をかけた未来達に頭を下げて謝った。その姿を見た未来達は、二人を許す事にした。
「でもどうして喧嘩になった。教えてくれ」
怒りが治まった迫夜は二人に喧嘩の原因を聞く。
「「それは……!」」
桃と由奈は同時に話すが、互いに同時で話している事が分かり、互いににらみ合って、周りに張り詰めた空気が流れる。
「二人の話はどっちも聞く。まずは君からだ」
迫夜が張り詰めた空気を緩め、最初に桃から話を聞く事にした。それを聞いた桃と由奈は、桃は自慢気な表情をしていて、由奈は悔しげな表情をしていた。
「最初に聞くが、お名前は?」
「鳥宮桃といいます。中学一年生です。」
迫夜はまず名前を聞く。名前を聞かれた桃は、自分の名前を含めた自己紹介する。
「どうして喧嘩しているんだ?」
「それは……。私、二週間くらい前から、由奈から嫌がらせを受けているんです。
死ねと書かれたメールが送られて来たり、私の持ち物を奪ったり、挙げ句の果てには悪の秘密結社に入ったとか言うから……。
それでおととい由奈からメールが来て、ナガヤ湖で待ってると書いてあったから行ってみると、いきなり爆発がおきて気絶して、起きたらあなたの家に居たという訳」
「話は分かった。じゃ次は君の番だ」
迫夜は桃の話を聞き終えて、次に由奈の話を聞く事にした。
「まず、さっき見てたから分かると思うが、君のお名前は?」
「秋方由奈、中学一年」
桃の時と同様に迫夜は最初に名前を聞く。由奈は桃と同様、自己紹介をする。
「桃と同じ事聞くが、どうして喧嘩しているんだ?」
「それは、全て桃のせい。桃が私に、酷い事した。例えば、私の大切な、バック傷つけた。あと、私の邪魔した。
桃の言った事は嘘、桃が、悪の秘密結社に、入った。桃から、ナガヤ湖に、来いと言った。だから、行った。そしたら、爆発して、気絶した。起きたら、ここに居た」
「だいだい事情は分かった」
迫夜は二人の話を聞いて考えていた。
――二人の意見が食い違っている。二人とも嘘をつくような子には見えないが……。うーん。ん、まてよ。話の中に出てきたあれが黒幕なら話が合うんじゃねぇのか。そうなると黒幕はかなりの策士だな――
迫夜は少し考えると、ある、一つの推測にたどり着いた。
「二人に聞くが、二人の話に出てきた悪の秘密結社って何だ?」
迫夜は、桃と由奈にある疑問を尋ねる。
「それは私達が戦っている奴らは【恐怖の時間】という奴らです」
「じゃ、二人ともだまされているんじゃねぇのか?」
冷静な迫夜は二人が悪の秘密結社【恐怖の時間】の策に、はまったのではないか? と推測するが……。
「違うわ。由奈が私の物盗んだ所見たからよ」
「桃、嘘ついてる。私の前で、戦いを邪魔した。」
「ゆーなー」
「もも」
迫夜の推測を即座に反論する二人。そして再び互いににらみ合い、この場の雰囲気が悪くなる。
「人の話を最後まで聞け。どうして二人は敵の作戦だと疑わない。二人は親友だろ。自分の親友が自分に酷い事するわけねぇだろ。なぜ親友を信じられない。
このまま二人が喧嘩していれば、【大親友、思い違いが、敵同士。】っていう事になるぞ」
迫夜の熱弁で圧倒された二人は黙ってしまった。
「ふふふ、さすが悪の組織のボスって事だけあるのね。せっかく二人のどちらかを私達の仲間に入れようと思ったけど止めたわ。ここで私が遊んであげる」
迫夜の熱弁が終わり静寂になっていた場に、突如女の声が響いた。迫夜達が声のする方を見ると窓際に、黒い三角帽に、黒いブラウスとロングスカートで、黒いマントを羽織った、緑髪のくせっ毛のあるストレートロングで、年齢に釣り合わないナイスボディを持った、妖艶な少女が立っていた。
「サバト・キューラ!」
「なぜ、あなたが、ここに?」
呆気になっている迫夜達に対し、桃と由奈はサバト・キューラと呼ばれる少女に話しかける。
「うふふ、そんな事素直に教えると思う?」
「なぁ、すまんが、人の家に土足で入るのは止めてくれないか。」
桃達がキューラと話している途中に、割り込んで話しかける迫夜。
「嫌だと言ったら?」
「強制退場だ」
迫夜はそう言ったの同時にキューラに向かって走りだす。
「ふふふ、ボスさん。いいのかしら。この子がどうなっても」
「くっ」
キューラは気絶している春を人質に迫夜の前に出す。春が人質に取られている迫夜は即座に足を止める。
「おとなしく春ちゃんを返しなさい」
春が人質になっている事を知った優理は、元ヒーローらしく強めにでる。
「元ヒーローさん。返せと言われて返す馬鹿は居ないわよ」
「くっ、春ちゃんが……」
威勢よく出たが、キューラの当たり前のような言葉で、その場で腰をおろしてしまう優理。
「桃・由奈聞きなさい。私はナガヤ湖にあるアジトで待っているわ。だまされた恨みがあるなら来なさい。あと、ボスさん達、この子を返して欲しければ、あなた達もナガヤ湖にいらっしゃい。相手になってあ・げ・る。じゃ、待ってるから」
「ちょっとまっ……」
キューラは話し終わると、迫夜の言葉を聞かずに、ナガヤ湖に行ってしまった。
「おい、すぐにナガヤ湖に行くぞ」
「はい。春ちゃんを取り返しに行きます」
「春ちゃん、待っててね。」
「ちょっと待ちなさい」
迫夜達はナガヤ湖に行く気満々になり、今すぐ出発しようとしたが、桃に止められる。
「何だ?」
「あなた達、悪の組織の一員なの?」
「そうだと言ったら?」
「「倒す」」
【大親友、思い違いが、敵同士。】
意味
仲のいい友達とはちょっとした喧嘩で、縁が切れてしまう事から転じて、仲の良かった者がささいな事で、仲を悪くするという意味。




