第3章第22話温泉に行こう。後編
正子=夜中の0時
迫夜と未来は、夕食が用意されている宴会場に向かった。宴会場に行くと、優理達四人が既に待っていた。
「迫夜さん・未来、遅いですよ」
「早く来たつもりだったんだが……」
迫夜達が用意された席に座ると同時に、女将さんが現れ、迫夜達の前に来て座った。
「お客様、今日の夕食は、ナガヤ湖で捕れた新鮮な魚を使っております。まずこのお魚は……」
女将さんが料理の説明をする中、まともに話を聞いていない未来が、隣の琴美に小声で話しかける。
「琴美、琴美、ここの女将さんには悪いんだけど早く食べたくない?」
「そうですね。でも、他の人に言ったら怒られますよ」
未来と琴美が喋っている内に、
「……です。みなさん、長い話にお付き合い頂きありがとうございます。それでは、みなさんご一緒にいただきますをしましょう。」
女将さんの話が終わり、未来と琴美を含め全員が、手を合わす。
「私に続いて下さい。いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
いただきますをした全員は、料理を食べ始める。最初、全員黙々と食べていたが、
「琴美、漬物食べないの?」
「はい。苦手なので」
「娘は、昔から漬物類は苦手なのよ」
理佐の一言で場が騒ぎだす。
「好き嫌いしてると、成長しませんよ」
「そうですよ。先輩のいう通りです」
「そう言う未来も、きゅうり食べてねぇだろ」
「ギクッ」
優理の正論に賛同する未来だが、迫夜にきゅうりを食べていないのを指摘されて、急いできゅうりを口の中に詰め込む。案の定、
「ゴホッ、ゴホッ」
きゅうりが口の中で詰まり咳き込んでしまう。
「意地を張るな。全く、早くこれを飲め」
迫夜は水を未来に渡し、渡された未来はすぐに口の中に入れる。
「はぁ、はぁ、死ぬかと思いました」
「もう二度とやるなよ」
「未来も人の事言えませんね」
大事には至らなかったが、優理と迫夜にとがめられる結果になってしまった為、未来は顔を合わせられず黙座していた。その頃隣の席では、
「琴美、よく食べられたね。偉いよ」
琴美が努力して白菜の漬物を食べ、理佐に褒められていた。
「そろそろみんな食べ終わったか?」
騒動の少し後、料理を食べ終わった迫夜が全員に尋ねる。
「私は食べ終えました」
「私もです」
「以下省略」
「理佐さん。勝手に省略しないで下さい。まだ私、食べ終えてません」
琴美がまだ食べ終えていなかったので食べきるの待つ。少し経ち、琴美が食べ終えたのを見ているかのように、迫夜達の所へ女将さんがやって来た。
「みなさん、ご食事はいかがでしたか? それでは、みなさん一緒にごちそうさまを言いましょう」
女将さんの言う通りに手を合わす。
「ごちそうさまでした」
「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」
ごちそうさまをした迫夜達は、それぞれ自分の部屋に帰っていき、迫夜と未来は、部屋に入るとすぐに布団を準備する。
「師匠、寝る準備するの早くないですか? 私まだ眠たブッ」
「つまりこういう事だ」
未来が喋っている時、いきなり枕が顔面に当たる。
「師匠、やりましたね。では私も」
「バサッ」
「バサッ」
「未来の攻撃なんて、当たらないぜ」
未来は枕を投げ返すが、迫夜には当たらず壁に当たる。お返しとばかりに迫夜が投げ返す。
「バサッ」
「バサッ」
「師匠の特訓のおかげで当たりませんよ」
未来も特訓の成果を生かし、枕をかわす。その時、部屋の外に女将さんがやって来て、部屋の外から、
「すいませんが、他のお客様に迷惑なので止めてもらえませんか」
「「すみません」」
苦情を言われ、謝る二人。女将が帰っていった後、
「怒られたな」
「怒られましたね」
先ほどの事を思い出して言った。迫夜達が枕投げをしていた時、優理達は何をしていたというと。
「優理、迫夜さん達は今頃、何をしているんでしょうか?」
「さぁ、私に聞かれても。迫夜さんの事だから、未来に枕でも投げているんでしょう」
「そうかもね。その方が迫夜さんらしいし」
迫夜達のやる事を予想していたが、予想通りだった事は知るよしも無い。
「優理さん、理佐さん、私達は先に寝かせてもらいます。おやすみなさい」
「「おやすみなさい」」
琴美と莉佳が先に寝る。まだ起きている優理と理佐は、
「私達どうしよう?」
「私も寝ようかな、起きていてもやる事ないし」
「じゃ、私は迫夜さんに挨拶してから寝るので。おやすみ」
「おやすみ」
優理を見送った理佐は寝て、優理は迫夜達の居る部屋に向かった。
トントン
迫夜達の部屋に扉を叩く音が響く。
「誰か、来たようだな」
「師匠、見に来てください」
迫夜が扉に付いている、外を覗く穴を見ると、優理が立っていた。
「優理か、中入っていいぜ」
外に居たのが優理だと分かると、優理を中に入れる。
「先輩、どうしたんですか? 私達の部屋に来て」
「迫夜さんと未来に寝る挨拶をしに来たのよ」
「そうなんですか。では、おやすみ」
「おやすみ」
優理は未来に挨拶をして部屋の外に向かった。
「迫夜さん。おやすみなさい」
「おう、おやすみ」
迫夜にも挨拶をした優理は自分の部屋に帰っていった。
「先輩も寝るようですし、私達も寝ませんか?」
「そうだな。俺達もそろそろ寝るか」
優理達が寝る事を知った、迫夜達も部屋の明かりを消し、寝る体勢になっていた。
「師匠、おやすみなさい」
「おやすみ」
迫夜と未来は互いに挨拶をして眠りに入っていった。
ヒューーーーー
正子を過ぎた頃、琴美は外の風の音で起きる。
「なんだ風の音か」
琴美が寝ようと一瞬外を見ると、青白い光が自分達の部屋の外を通っていくのが見えた。
「何あれ、まさか火の玉」
琴美は火の玉らしき物を見て、怖がって布団の中に潜り込む。そして琴美は、いつの間にか寝てしまった。ほぼ同時刻、迫夜達の部屋でも、
「今の火の玉だよね。」
トイレに行っていた未来が、琴美と同じ火の玉らしき物を目撃していた。
朝、迫夜は目覚める。横の布団で寝ている未来は、まだ眠っていた。
「未来が起きるまで待つか」
迫夜は、暇だったので外の景色を見る為、窓の外を見に行くと、庭の木々が少し焼けている事に気付く。
「これは何かあったな」
それからしばらくして、未来が目覚める。
「師匠、おはようございます」
「おはよう」
未来は迫夜に挨拶をすると、部屋を飛び出していった。
「俺、また一人かよ」
迫夜が一人になった頃、優理達の部屋では。
「みなさん、聴いてください。私、昨日火の玉を見たんです」
琴美の突然の発言に、
「琴美、いくら私の研究でも火の玉は出せないよ」
「火の玉ですか」
「私は琴美を信じる」
理佐以外は半信半疑に聴いていた。
「ちょっと、みなさん本当なんです」
トントン
「はい、はい、分かったから」
「私、誰か来たので見に行きますね」
莉佳と優理が信じない事に向きになり言い返すが、軽く流され落ち込んでしまう。
「未来ですか、どうしたんですか」
「先輩、おはようごさいます。ちょっと用があってやって来ました」
優理は、用があってやって来た未来を、中に入れる。
「先輩、真面目に聞いて下さい。昨日の夜、火の玉を見たんです」
未来の言葉に場に気まずい雰囲気が流れる。
「未来も見たの?」
「えっ、はい、と言う事は琴美も?」
「はい、昨日見ました」
未来と琴美が火の玉を見たのを聴いた優理と莉佳は、
「琴美が昨日見た火の玉は、本当かもしれないですね。でも……」
「科学的には認められないが……」
渋々認める事になった。その後、未来は自分の部屋に戻り、それぞれの部屋で朝食を食べる。朝食を食べ終わった全員は、旅館を後にする準備をしていた。
「忘れ物はないな。よしそろそろ行くぞ」
「なんか修学旅行の時の先生みたいですね」
迫夜達が旅館の玄関を出ると、女将さんが見送りに来ていた。
「お客様、またのお越しをお待ちしております」
迫夜達が【美麗の園】をでてからすぐに、迫夜達は次の町に行こうとしていた。その時、ナガヤ湖の方から大きな爆発音が聞こえた。
「何だ、この音は、どこから聞こえた?」
「ナガヤ湖の方からですね」
「師匠、行きましょう」
「言われなくても分かってるよ」
迫夜達は急いでナガヤ湖に到着すると、湖の畔に、桃色の髪をしたツインテールで中学生くらいの、フリルのついた薄いピンク色の服を着た少女と、橙色の髪をしたポニーテールでツインテールと同じ中学生くらいの、魔女の格好をした少女が倒れていた。
「おい、大丈夫か」
迫夜が二人に声をかけるが応答はない。迫夜は脈をはかると、二人ともしっかりあるため、少し安心する。
「この二人を秘密基地に運ぶぞ。手伝ってくれ」
「分かってますよ」
迫夜の言葉で倒れている魔法少女二人を、家に運ぶ迫夜達、瞬間移動マシンですぐに家に帰りベットの上に乗せ、迫夜と莉佳が治療を始める。
しばらくして治療が終わり、迫夜と莉佳が休憩していた。
「師匠、あの二人は大丈夫ですか? みんな心配しています」
「多分大丈夫だよ。みんなには大丈夫と伝えておけ」
「そうですか」
未来は二人が大丈夫だという事を知ると安堵の声を漏らす。そしてみんなに伝える為に迫夜の元を立ち去っていった。
その数時間後、魔法少女達が起き、再び騒動に巻き込まれようとしている事を知る者は、誰も居なかった。




