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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第2章サイカイ地区編【弐】
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第2章第17話修行と授業は似ている。

 サイカイシティに行った日から五日経った。その間に琴美の地獄の訓練が行われた。琴美は、未来以上に苦しんでいた。琴美の属性は、格闘術E、刃物術E、遠距離攻撃A(銃のみ)、付加属性C(土・水のみ)という結果になった。


 この五日間で、春と琴美の教育について全員で話し合いが行われた。話し合いの結果、春には風華・優理が、琴美には莉佳・理佐が勉強(教育)教える事になった。この五日間にあった事を、俺(迫夜)が記す。




 「何やっているんですか?」


 理佐が、何かをしている迫夜に聞く。


 「ああ、日記をつけていたんだ。こう見えて四年続けている。残念ながら毎日はつけていないが……」


 「へー、迫夜って凄いんですね」


 迫夜が、日記をつけている事に、驚く理佐。


 「おい、理佐は俺を何だと思っている?」


 迫夜の軽い冗談に、理佐は。


 「大人なのに、子供っぽい所があり、状況を冷静に判断出来るのに、強行突破してしまう時もある、変わった人間です」


 理佐の本気の言葉を聞いて迫夜は。


 「うん。分かった」


 少し落ち込みながら言う迫夜。迫夜が理佐と別れ、二階に上がると未来に出会う。


 「迫夜、今暇?暇だったら、私の話に付き合ってよ」


 「別にいいが」


 未来が、暇だったら話に付き合って欲しいと、言ってきたので、いいよと答える迫夜。


 「私、教育係から外れたの迫夜は知ってるでしょ」


 「ああ。俺もだ」


 未来は自分が教育係を外れた事を話す。迫夜も未来と同じなので共感する。


 「優理先輩や理佐さんは力も強い。でも私は力も弱い。迫夜達の為に何も出来ない。それを考えたら涙が出て」


 迫夜が未来を見ると、未来の顔に涙が落ちていた。


 「未来、今、自分は何も出来ないから何の役にも立たないと思っているだろ?」


 「うん」


 「それは違う、未来という居場所は、ちゃんとここにある。後、力が弱いって言ったな。それは、未来の想いが小さいからだ。優理は小さい頃から鍛えて、ヒーローになるという夢を叶えた。理佐は復讐を果たすという目的があった。未来の夢(目的)はヒーローになる事だったな。でも未来の夢はもう叶えられない。だったら新しい目的を作ればいい。今、未来がみんなの為に、何かしたいというのであれば、俺が協力してやる」


 迫夜の、想いの籠った言葉を聴いた未来は、手で顔についた涙を拭き、迫夜に言った。


 「私、決めた。これから迫夜の事、師匠って呼ぶ。だから、私に地獄の訓練よりも厳しい訓練をさせてください」


 未来は、今まで迫夜に対しては、タメ口を使っていたが、必死に敬語を使い頭まで下げる。その姿を見た迫夜は。


 「師匠っていうのは止めろ。だが地獄の訓練よりも厳しい訓練がしたいと、いうのであれば俺は協力する」


 迫夜が未来にそう言うと、未来は。


 「師匠、これからお願いします」


 再び頭を下げる未来。


 「ちょっと待て、訓練は認めたけど、師匠って呼ぶ事は認めてねぇだろ」


 未来の師匠発言につっこみを入れる迫夜。遠くから見た二人は、若すぎる師匠とまだまだ未熟な弟子の、そのままの姿に見えていたが、二人はこの瞬間から何かが変わっていた。




 「師匠、この装置は何ですか?私にはただの案山子にしか見えません」


 家の外で修行を始める迫夜は、案山子?を持ってきた。未来は、案山子?が案山子にしか見えなかったので、迫夜に聞いてみた。


 「この案山子は、速度鍛練案山子と言って、自分のスピードを上げる機械だ。速度鍛練案山子は、最高速度が雷速に到達する。まずは最低速度のマッハ1(音速)で挑戦だ。案山子にぶつかると、本来のダメージに比べれば少ないが、ダメージを負う。気を付けろ」


 迫夜の説明を聴いた未来は。


 「師匠、頑張ります」


 未来は意気込む。迫夜が起動ボタンを押し、起動させる。起動した案山子は、普通の人では目では追い付かない速さで動いていた。しかし未来は、案山子が見えていた。その理由は、毎朝のドキマシの訓練で、動体視力が上がっていた。未来は、その事には気付かず案山子に攻撃する


 「イタァ」


 未来が案山子に触れた途端、指に激痛が走る。痛みを堪えながら、案山子に攻撃する


 「ツゥゥ」


 「イタァァ」


 「うっ」


 案山子に触れるたびダメージをうける未来。


 「くっ、私の覚悟はこんな案山子には負けない」


 くじけそうになる未来だが、なんとか踏みとどまる。その日昼過ぎまでに、未来は、案山子に268回攻撃を当て、激痛で倒れた。


 「初日で268回も攻撃出来るのか、未来も頑張っているな」


 未来を部屋の布団まで運んだ迫夜は、未来に使わせた案山子を、起動させ自分が使っていた。


 「998・999・1000」


 案山子に1000回攻撃を与えた所で止める迫夜。


 「俺もまだまだだな」


 未来の修行が始まった日の夜、未来が起き、みんなで夕食を食べていた時、優理が迫夜に聞く。


 「迫夜さん、今日未来の様子が変なんです。何か知りませんか?」


 「それは、二人の秘密だな」


 「そうですか」


 迫夜は、優理に聞かれて秘密と答える。優理は、そこまで興味が無いのか、春の方に行ってしまった。




 次の日、迫夜と未来の特訓は続く。


 「イッタァ」


 未来は、案山子に攻撃する。案山子に触れた瞬間、ダメージをうける。昨日と何も変わらない。未来は、痛みを我慢しながら案山子に向かって攻撃する。昼前に未来は倒れてしまうが、案山子に273回当てる事が出来た。


 「昨日より5回上がっている。未来の気持ちが強い証拠だな」


 昨日と同じく、未来を部屋の布団まで運ぶ迫夜。運び終えると、迫夜が特訓を始める。


 「1048・1049・1050」


 昨日より50回増やして止める迫夜。


 「はぁ、はぁ、今日はここまでだ」


 案山子での訓練を終えた迫夜は、その後5kmを走る。ちなみに、5km走った後、優理・理佐・琴美が速度鍛練案山子(マッハ1)をやるが、優理は32回、理佐は27回、琴美は1回でギブアップ(倒れてはいない)になった事から、格闘術が得意な人の訓練である。その夜、優理の部屋に未来・理佐が集まる。


 「未来、あの案山子で訓練してるって本当なの?」


 優理が未来に聞く。


 「はい。昨日から訓練してます」


 未来が、自分達が苦戦したあの案山子で、訓練している事を聴いて驚く二人。


 「未来、凄いな。私達じゃ、あんな案山子に攻撃するなんてできないよ」


 理佐が未来を褒める。だが、未来は。


 「いえ、たかが二日です。まだまだ未熟ですよ」


 自分に厳しくする未来。優理と理佐は未来を、さん付け又はちゃん付けを辞め、呼び捨てにするほど仲良くなっていた。




 更に次の日、未来は朝早く起きて迫夜に言う。


 「師匠、おはようございます。今日もお願いします」


 迫夜に挨拶をすると、未来は案山子に攻撃を与え始めた。昼前に、また未来は倒れてしまうが、案山子に280回攻撃を当てていた。迫夜がいつものように、未来を運ぶ。

 運び終え、自分の修行を始めようとした時、迫夜の部屋の緊急ランプが光る。迫夜が緊急ランプに近付くと、横沢研究室からの緊急に来て欲しいと、連絡があった。急いで、横沢研究室に行こうとすると。


 「すまんが、私も連れて行って欲しい」


 迫夜が後ろを見ると、莉佳が立っていた。


 「いいけど、急ぎだ」


 迫夜が行くのを許し、急いで横沢研究室に行く。横沢研究室に行くと、将太が出迎えてくれていた。


 「迫夜さん、後、男性の方、こちらです」


 莉佳が秀になっていたが、気にせず、将太に案内され応対室に着く。


 「迫夜、呼び出して悪かったな。迫夜にもこの人の話を聴いてほしい」


 賢二がそう言って指差した先には、若い男性がソファーに座っていた。

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