第2章第15話サイカイシティ、マッドサイエンティスト登場。
10〜15メートルくらいの建物が立ち並び、道には街路樹が、縦一列に植えられている。表の高級店の横断幕には――ヒーロー応援してます――の文字、この町の人口は約100万人。人々はこの町を訪れたらみな言う。
――いい町だ。さすがサイカイ地区の首都。――
この町の名をサイカイシティという。
迫夜達がサイカイシティに着く。サイカイシティに着くと、人の多さ、建物の数、表に立ち並ぶ高級店、それを見た未来が言う。
「サイカイシティ、凄い町ね。」
未来が感動していると、横から迫夜が忠告する。
「未来、ここに来た目的を忘れるな。後、この町は裏の顔がある。気を付けろよ。」
迫夜達は町の中を歩き出す。しばらく歩いていると、迫夜が路地裏を指差して言う。
「みんな聞いてくれ。この町は裏の顔がある。例えば、そこの路地裏。そこに入ったりはしないでくれ。入ったら最後、この町の闇に引き込まれる。」
三人(未来・優理・理佐)は、肝に銘じていた。迫夜達は、人通りの少ない道を歩いていた時、先ほどとは違う路地裏の中から、白衣の着た男と未来より小さく、黒色の髪をしていて、姫カットの女の子が飛び出してくる。白衣の男は迫夜達を見て助けを求める。
「そこの強そうな青年、私達を助けてもらえないか?」
迫夜は白衣の男の頼みを断る。
「どうして、いきなり現れた奴を助けてあげなければいけない。」
迫夜が断る間に何者かが近づいて来る。気配を察知した優理が迫夜に言う。
「迫夜さん、何者が近づいています。」
優理の言葉を聴き、何者が路地裏を飛び出した瞬間。
『疾風拳』
迫夜の得意の攻撃が当たり、後から路地裏から出てきた何者かの仲間達も巻き添えする。その光景を目の当たりにした白衣の男は。
「あなたも共犯ですよ。」
白衣の男の悪魔のようなささやきに、苛立ちを覚えながら三人(未来・優理・理佐)に言う。
「すまん。逃げるぞ。」
迫夜達はその場から大急ぎで逃走した。迫夜達は、人の居ない所に逃げこみ休憩する。
「てめぇのせいで、何かに巻き込まれたじゃねぇか。」
迫夜は白衣の男に文句を言う。
「お父さんをいじめないでください。」
迫夜から白衣の男をかばう女の子。
「あの、あなた達は一体?」
理佐が白衣の男に尋ねると。
「私達は通りすがりの科学者です。」
白衣の男がふざけて言うので。
「ふざけてんのか。」
大鎌を白衣の男の首の前に置く理佐。
「すいません。私の名前は、静波秀と申します。」
白衣の男は自分の名前を秀と名乗る。
「お父さんに何するんですか。」
恐い方の理佐に言い返す女の子。迫夜達の顔が青ざめる。
「悪かったな。こちらにも責任がある。」
恐い方の理佐が潔く謝る姿を見た迫夜達は。
――えーーーーー。――
秀を含め全員が驚愕した。
「お父さんが迷惑かけました。私は静波琴美です。助けられて感謝しています。」
琴美が自己紹介を終え、迫夜が喋ろうとした時だった。
「やっと見つけたぞ。科学者。」
周りを見ると、さっき追っかけてきた男達が迫夜達の周りを囲んでいた。心配した未来は迫夜に聞く。
「迫夜、囲まれてる。どうすんの?」
迫夜は何か策が有るのか、理佐に小声で話す。
「理佐、理佐の鎌に俺の風を纏わせる。だから、理佐は周りに大鎌を振ってくれ。」
「分かった。」
迫夜と理佐が敵を倒す準備をする。
「お前ら、全員俺達に投降してもらおうか。」
男の言葉が聞こえるので、迫夜は大声で言い返す。
「やだな。アホ共。」
男が迫夜の言葉にキレ怒声を出す。
「お前ら、あいつらに痛い目を遭わせろ。」
男の声を聞いた、部下と思われる男達が迫夜に襲いかかる。それと同時に。
「全員伏せろ。」
迫夜が大声を出す。理佐が迫夜から合図を受け取り男達に向け、大鎌を振るう。
『疾風薙切り(シップウナギリ)』
風の斬撃、所謂かまいたちを男達に浴びせる。
男達はまともに食らい、辺りに倒れる。
「ひっ。」
部下に威勢よく指示していた男は、蛇ににらまれた蛙のようになっていた。
『疾風拳』
その男を迫夜の得意技で倒すと、秀が言う。
「みなさん、ここは一旦離れましょう。私の元研究室があります。そこへ案内します。ついてきてください。」
迫夜達が秀に連れられてしばらく歩いていくと、町の外れにある秀の元研究室に到着する。
秀の元研究室は、窓ガラスが割られ、部屋には薬剤の臭いが漂い、置いてある機械は全て破壊され、辺りにその残骸が散らばっていた。
「みなさん奥の部屋まで、ついてきてください。」
秀に案内され奥の部屋に入る迫夜達。奥の部屋は、何もない部屋だった。
「おい、秀、お前達の身に何があったんだ?」
迫夜の質問に、沈黙する秀。その態度に、理佐が再び大鎌を秀の首の前に置く。
「分かった。言うから、大鎌を仕舞ってくれ。」
理佐は秀の言葉で大鎌を仕舞う。そして秀は自分達に何があったのかを喋り出す。
「私は、元々薬剤の研究者でした。病気を治す薬、持病を和らげる薬など、人の為に研究を続けていました。その努力が実ったのか、私はある発見をしました。今まで、薬が効かなかった病気に 、薬が効くようになる仕組みを発見しました。その発見が私の人生を狂わせました。私が研究室に居た時、同期に優秀な研究者が居ました。その研究者は、いろいろな人に 期待されていたのです。彼は期待されていたのに、私が人類の救世主になってしまったのです。私は彼に妬まれました。
そしてある日私は、彼に嵌められました。――こいつが私の研究を盗んだ。――たったその一言で私の人生は変わってしまった。人類の救世主は、人類の悪党に。私は研究室を追い出されました。その時、私には娘が居ました。娘を養う為、私はとある悪の秘密結社に科学者として入りました。皮肉なものです。
悪の秘密結社で研究をしていると、今まで人類が出来なかった発見が出来てしまった。そして私は悪の秘密結社で8年もの時間が経ちました。その頃、娘も大きくなり、更に悪の秘密結社の設備ではもう限界だという事を悟り、脱走しました。逃げていくにサイカイシティに来て、今に至るという訳です。」
長い話を聴き、秀の人生を知った迫夜達は。
「初めて出会った時は、すまなかった。」
出会った時の乱暴な行為を謝る迫夜。
「その研究者、私がぶっ飛ばしてやるわよ。」
秀を嵌めた研究者に怒りを覚え、その研究者を倒すと言う未来。
「人類の救世主とは、免疫力向上治療法を発見した事ですね。」
秀が発見した研究を見抜く優理。
「琴美ちゃん、大変だったんだね。」
「私の事ではありません。」
秀の話を聞いているのか、聞いていないのか、分からない理佐。何故か琴美の事を話す理佐に反論する琴美。
「秀、これからどうするんだ。ここに居ても、状況は変わらないぞ。」
迫夜が今の状況をどうするか秀に聞く。
「私が入っていた、悪の秘密結社はガブリン・キュウといいます。ガブリン・キュウの首領ガブリンを倒してほしい。もちろん、私も協力する。」
秀の二度目の頼みに、迫夜は。
「お前の頼み、受けてやるよ。」
迫夜の堂々とした言葉に、未来・優理・理佐も。
「私も協力します。」
「困っている人は助けるのが礼儀です。」
「協力しますよ。」
迫夜達が協力してくれる事を聴いた秀と琴美は。
「ありがとうございます。」
お辞儀をする。ここで迫夜はある事に気付く。
「おい、ここって行き止まりだよな。もし敵が現れたらどうする?」
迫夜の発言に優理は。
「倒せばいいじゃないですか。後、ここ囲まれてないですか?さっきから私達以外の人の声が聞こえていますが。」
優理の突然の暴露に。
「「それを早く言え。」」
迫夜・秀がつっこむ。
「しょうがない。お前達は、ここに居てくれ。俺が片付けてくる。ガブリンの居場所を吐かせる必要があるからな。合図があったら全員外に出るんだ。」
迫夜が表の敵を片付けに、秀の元研究室を出る。
「死ね。」
天井に張り付いていた敵の男が、迫夜に向かって攻撃する。しかし、男の攻撃は迫夜に当たらず。
『強拳』
迫夜の重い拳が男に当たり倒れる。そして外に居る敵に向かって。
「雑魚ども、俺にかかってきな。」
迫夜の声を聴き、中になだれ込む敵の男達。迫夜の戦いが今、始まる。




