第2章第10話バナードの魔の手
風華が未来と優理に、今朝の事を説明する。説明された二人は、いてもたってもいられず、迫夜の所に向かった。
「迫夜、風華さんから聴いたけど、怪人はどこですか?」
迫夜の所にいきなり現れ、怪人の居場所を聞く未来。
「怪人なら俺の部屋の人間戻し機にいる。」
優理は迫夜が人間戻し機を使った事に驚いていた。未来が様子を見に行く、すると慌てて戻ってきて、迫夜に言う。
「迫夜の変態」
急に変態扱いされた迫夜は。
「人を変態扱いするな。」
変態疑惑を否定する迫夜に。
「いや、変態ですよ。」
二人が言い争っているので止める優理。
「二人とも、止めてください。未来もどうして、迫夜さんを変態と呼ぶんですか。」
迫夜と未来は、優理の説得に言い争いを止める。そして未来は、迫夜を変態扱いした理由を話し始める。
「迫夜が変態なのは、中に居る子が女性だからよ。」
未来の言った事実に、二人は。
「「えーーーーー」」
その声は家中に響いた。
「迫夜、もしかして知らなかったの?」
自分の勘違いに気付いた未来が恐る恐る迫夜に聴く。
「全く、知りませんでした。」
何故か口調が丁寧になって言う迫夜。それから約4時間後、人間戻し機によって蟷螂怪人が元の姿に戻る。
「ここは?」
目が覚めた元蟷螂怪人は、自分がベットに居る事に気付き呟いた。周りを見ると、見た事もない物が沢山置いてあった。更に自分が人間形態になっている事に気付いた。(人間に戻ったとは思っていない)
どうするかと悩んでいると、部屋の外から声が聞こえてきた。
「知らなかったもんはしょうがないだろ。」
「知らないのも罪なんです。」
「まだ喧嘩してんですか。いい加減にしてください。」
若い男女の声に、組織の追っ手ではない事に、安心する元蟷螂怪人。しかし扉を開けられ、その瞬間、三人と目が合う。だが、すぐにベットの中に、隠れる。
「確かに、女性だったな。」
「そうですよ。全く、迫夜は。」
「隠れてしまいましたけど、どうしますか?」
女性は、黄色髪でサイドテールをした、胸が少し小さい(B〜C)容姿をしていた。それはともかく三人は、隠れてしまった女性に声をかける。
「あの、すいません。少しお話させてもらえませんか。」
優理が最初に話しかけると、女性はベットの中から出てきて謝る。
「ごめんなさい。いきなり来たので、びっくりしてしまいました。」
優理が再び話しかけようとするが、横から迫夜が話しかける。
「びっくりさせて、申し訳なかった。起きたばっかりで悪いが、まず、名前を教えてもらえないか。」
迫夜が聞くと、女性は答える。
「私の名前ですか。私の名前は和中理佐です。助けて頂きありがとうございます。でも、一体どうして、私は助かったんでしょう?」
理佐の疑問に、迫夜が答える。
「それはこの装置のおかげだな。この装置は人間戻し機といって…… 。」
迫夜は話し始めるが、途中で風華が慌てた様子で迫夜の部屋に入っている。
「迫夜、敵襲、北西から来てる。」
風華の言葉で話を中断させる迫夜。ここで理佐が突然喋る。
「それは、私を殺しに来た追っ手です。助けてくれた皆さんに、迷惑をかけたくありません。ここは私が行きます。」
理佐は怪人形態に変身しようとするが、変身出来ない事に気付く。
「あれ、変身出来ない。」
理佐の様子を見ていた迫夜が言う。
「お前の体は人間に戻っている。だから怪人には変身出来ない。あと、他にも言いたい事がある。俺達は怪人を助けたんだ。普通、怪人を助けたりする一般人は居ない。俺達はお前を助けた地点で、俺達はお前の問題に足を踏み込んでいる。これは俺達の責任でもある。」
迫夜は外に出ようと、立ち上がる。
「ここは俺が片付ける。手出し無用だ。」
迫夜が家の北西に立ち数分後、空に一つの影が現れる。その影は徐々に迫夜の方に近づいて、迫夜の目の前で止まる。
「お前は誰だ?」
迫夜に声をかけたのは、大きな複眼をもち、体は黒く、胸にはハの字模様、背中には細長い羽、正体が分かった迫夜は言う。
「オニヤンマの怪人さん。俺はただの通行客だよ。」
正体が見破られたオニヤンマの怪人は。
「正体を見抜くとは、昆虫に興味ない奴は、知らないけどな。」
「じゃ、始めようか。」
迫夜の事を最初から逃がすつもりもなかった怪人は驚く。
「秒殺で死ね。」
オニヤンマの怪人らしく、得意のスピードで攻撃する、対する迫夜も、素早い相手の攻撃を避ける。
『疾風拳』
迫夜も反撃するが、相手に避けられる。
「なかなか速いな」
迫夜の言葉に、怪人が答える。
「喋ってる暇はないぜ。」
怪人のスピードが一段階上がる。怪人のスピードが上がった事で。
「ブハァ。」
「ガハァ。」
怪人の攻撃を受ける迫夜。
『突風拳』
迫夜も必死に反撃するが、やはり当たらない。
「お前の攻撃など、当たらないだよ。」
怪人のスピードは更に上がる。
「お前はよく持ったよ。だが、これで終わりだ。『貫斬』」
しかし、怪人の攻撃は外れる。
「何故だ、時速70kmの俺の攻撃をかわすだと。」
怪人はある事に気付く。それは、迫夜が見当たらない事に。
「どこに行った。んっ。」
怪人は迫夜の居場所に気付く。自分の背中に居る事を。
「どんなにスピードが高い奴でも、背中を攻撃されて、無事な奴はいない。『集風の貫徹』」
迫夜の風を纏ったかかとおとしは、怪人の背中、心臓を貫く。心臓を貫かれた怪人は空中で絶命し、そのまま地面に落ちる。迫夜は落ちる前に自分から飛び降りていた。怪人は地面に落ちると爆発して消えた。
「傷がいてぇな。」
迫夜の体には怪人から受けた傷が数ヶ所あり、傷口から出血していた。そのまま家に戻ると。
「迫夜、大丈夫。」
未来が心配して声をかけてきた。他の三人も心配した顔をしていた。
「俺があんなトンボ野郎に負ける訳ねぇだろ。」
迫夜の言葉に理佐が驚く。
「トンボ野郎って、怪人オニヤンマ男の事ですか。」
理佐が尋ねると迫夜は、自信満々に答える。
「ああ、オニヤンマみたいな特徴してからな。」
「凄いです。怪人オニヤンマ男は、バナード配下で暗殺部隊隊長をやっています。そんな奴に勝つなんて。」
迫夜が怪人オニヤンマ男に勝った事を、理佐はびっくりしていた。迫夜は物事の核心に迫る為、理佐に聴く。
「理佐、お前は何故追われている。」
理佐は迫夜の質問に顔を暗くするが、迫夜の質問に答える。
「それは……。」