【中2編・完】第3話*馬鹿な告白*
「詩乃? また寝てたのか?」
「あ、あぁ、ザキか……」
「うわ、何か懐かしウザい呼び名だなそれ」
「あれ、七瀬ちゃんは?」
「昨日は誘われただけだし」
「あ、そうだったんだ」
どこか微妙に安心してるように見えるのは気のせいですかね?
あぁ、見たらショック受けるだろうな……だから恋なんかしなければいいんだよー! こうしてウチは楽しく生きていけてるしね!!
「海翔……」
「あ?」
「何かフラグが、フラグが立ってた!!」
「よかったじゃん」
「どうやって振ったらいい?」
「あぁ? しらね」
「でもなー……」
「っていうか意外だな、お前が振るとか。」
「だって……だって……」
『木野栗君、だもんね☆』
「あああああ!! 振ったら今度から誰にノート頼めばいいんだよ!!」
「あぁ、木野栗か」
振るとかめんどくさい……いや、そんなこと言っちゃダメだけど、木野栗は本当にめんどくさい。あぁ、何でよりによってウチぃぃぃ!!?
「でも、何故あえて直接会いながらも手紙で告白したんだか……」
「は? それ、本当にお前宛てだったのか?」
「え、うん? 違うの?」
改めて見直してみると、中身の手紙の最初の宛名が城戸さんになっていた。
「なん……だと……!?」
「自意識過剰」
「勘違い野郎」
「ド阿呆」
「自分で自分けなしてどうするんだよ自分!!」
なんだ、なんだ、よかった……。でも悪いのは木野栗だよ! 封筒に宛名書けよ!!
「って、七瀬ちゃんに!?」
「意外と積極的な奴だったんだな……」
というか、これをウチに渡せと?
○-○
「七瀬ちゃん、これ……」
「あ、わざわざありがとぉ。あぁ、でもどうしよう、海翔くぅ~ん」
「は? 俺には関係ないだろ……」
「…………」
うわ、黙っちゃった、黙っちゃったよ、どうすんだよ海翔!! 明らかにショック受けてんじゃん!!
「じゃ、帰るか」
「え、あ、うん」
そして次の日、海翔の靴箱には、ラブレターが入っていた。
「なっ?!」
「うわ、古典的ぃー……」
ついに、七瀬ちゃんは海翔にラブレターを出したみたいです。きっとスイッチは昨日の一言だろうな……。
「放課後校舎裏に――」
「定番すぎでしょ?!」
「行かなきゃダメか……?」
「いや、そりゃぁ、ねぇ?」
こいつ、相当鈍感だけど、今回ばかりは薄々気付いてるっぽいな……。
○-○
どうも、ストーカーの詩乃です!
いや、告白現場に立ち会うのは2度目ですね! えぇ、正しくはストーカーですが、立ち会った設定でお願いします!!
「海翔君……」
「おう……」
「来てくれて、ありがとう」
「いや……」
「それでね、話があるんだ……」
やば、早々に来たよこれ!! やばい、罪悪感と緊張感んんんん!!
「実は私……」
ごくり。みたいな。
「実は私、裸眼萌えなの!」
「は?」
は?
『は?』
いやいやいやいやいや!! 待てよ、意味わかんねーよこの落ち!!
「だから、なんていうのかな……その……顔は結構いいから……見た目だけでいいから、メガネはずしてコンタクトとかにしてほしいなっていうか……」
は?
「いや、ごめん、正直に言ね。……海翔君、すっごい好きなゲームのキャラクターに、顔も性格も似てるんだよね!!」
え、まさかの、そんな落ち!!?
っていうか、ゲームとかするんだ?! え、え?!
「…………」
うわぁ、海翔黙り込んでるよー?
「昨日のドSっぽく素っ気無い一言で、『あぁ、やっぱり似てるなぁ……』って思ってさ」
「っな……」
「で、返事は?」
あぁ、ここだけくりぬくと普通の告白シーン……。
「ごめん、俺コンタクトってごろごろしてて無理なんだ……」
「そっか、ごめんね、話聞いてくれてありがとう」
「お、おぉ……」
かくして。
まさかのあれで、恋愛編と見せかけたメガネ萌え編(?)は、幕を閉じたのだった……。
『ちなみに木野栗君はオーケーされたらしいよ☆ 「そんな2次元みたいな設定の男子!?」by七瀬』
決め手があんまりだ……。
良かれ悪かれ、人は変わっていくんだね、うん。
すいません、久しぶりの更新で、そんな落ちです。
結構前に落ちは書いてたんですけど、間の展開が進まず…。
中3編に続きます。