【中2編】第1話*馬鹿と転入生。*
2年生編です、より一層変です。
「ついに進級ですね海翔さん!」
「そうだな……サッカー部員が去年より一気に増えて、部費大幅アップだ!」
「現金な部長だなぁおい……」
『4月5日。中原詩乃はついに、2年生として学校に通い始めた。』
――まぁ、クラス替えは3年のときだけだし、また海翔の隣の席だし、変わったのは特に関わらなかった先輩が卒業して、新鮮な空気をまとった後輩たちがいっぱい入ってきたってことくらいだ。
「それにしても、何が変わったのかわかんないよー」
「本当だよな」
「こういう時って定番的に転入生がくるものじゃない?」
「どこの世界の定番だ?」
「はーい、みんなおしゃべりやめー」
ちなみに担任の先生は去年1年生の理科をやっていた先生で、親しみやすく、本当に中2への進級ってなんだろうって感じ。
「今日は転入生を紹介するよー」
《マジできた!!》
「城戸七瀬です。どうぞよろしくお願いします。」
転入生の七瀬ちゃんは、知り合いだった。はとこという結構遠い関係の女の子だけど、一応何度か会ったことがある。
「それじゃ、城戸さんはそこの空いてる席に座ってね」
「はい」
そう言われて、空いてる席、すなわち海翔の前の席に座った。
隣の子に挨拶をしてから、後ろを向き、
「あ、詩乃ちゃん!」
「ども、やっと気付いてくれましたか」
「詩乃ちゃんの学校だったんだね、よろしく!」
「うんよろしくね~」
何度か会っただけだけど、そこそこ仲が良かった。
と、見せかけて、ウチ的にはあまり得意な部類ではない。
だって、ヲタ否定派、ギャル寄りのノリなんだもの。
「え、えーっと、こっちの男の子は?」
「あぁ、山崎海翔だ」
「あ、あのさ、よろしくねっ」
「お、おぉ……」
あ、ウチにはフラグが見えた気がした。
もしかして七瀬ちゃんよ。一目惚れってやつですかい?
『ま、まさかのライバル登場――あ、いや、勝負にならないか……』
「べ、別に海翔のことなんか好きじゃないんだからね!! ……ツンデレとかじゃねぇぇぇ!!」
何、1人で言ってんだよウチ、痛っ!
「大丈夫か?」
「詩乃ちゃん、大丈夫?」
「あ、はい、気にしないで下さい。」
ちなみに、あえていうなら、神谷さんあるいは岡本さんみたいな声で、ちょっとヲタ入ってて、馬鹿な自分にも優しく勉強を教えてくれるような優しいイケメンがタイプなんだよっ! できればモテモテの転入生がいい!
『それ、何て乙ゲー?』
「あぁ、プレイしたいね……」
「今日も独り言激しいなお前……」
「ありがとうさぎ」
「何なんだよ」
もう、どうにでもなれー。
気が付いたら、七瀬ちゃんは前を向いて他の人と話していた。