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とってもメガネっ!  作者: 梨久
4/11

【中1編・完】第四話*馬鹿にメガネ探索*

 人の恋愛というのは、儚いものだ。


「ゴメン」


 そう言って振られた蜜は、泣きながら走り去ってしまった。


 そんな現場を、昼休みの移動教室中に偶然目撃してしまった。日直で、早めに理科室の鍵を開けようと1人で行ったため、ほかに見ている人はいなかったけど、何か罪悪感……。


 初恋がまだな自分にとって、失恋とは当然無縁だが、まぁ、悲しいだろうなというのはわかる。漫画でよく見るから。そんなことを考えながら、結構長い時間ボケーッと止まっていた。


「詩乃?」


 アニメキャラの失恋ソングカバー曲が脳裏でフリーズいていたとき、ふいに後ろから声をかけられた。誰かと思って振り向いたら、そこには……


「あぁ、海翔……」


「やっぱり詩乃か。」


「いや、みればわかるでしょ?! ってか、何でここに?」


「メガネがないとほとんど見えん。だから、メガネ探しを手伝ってもらおうとしたらお前が教室にいなくて、クラスの女子に聞いたら理科室に向かっていると聞いた。」


「……あぁ、そっか。じゃぁ、鍵を開けたら探しますかっ!」


 さっきの今で、よく普通に会話を交わせるなぁとか思いつつ、若干ウチを探したっぽいところが嬉しかった。いや何、幼馴染的な意味で。いや、説明つかん。


「で、探すって、どこから行く?」


「そうだな……」


 そう言うと海翔は腕組をして考え出した。


「あ、とりあえず職員室に訊きに行く?」


「詩乃にしてはまともな意見だな。」


「ウチはいつでもまともだよ!」


「え?」



『え?』



「ダブル攻撃とかやめぇぇぇ!」


「廊下で騒ぐな」


 2人で廊下を並んで歩く。


 どうでもいいけどよく一緒にいるウチらが付き合っている的な噂が流れないのは全く釣り合ってないからですね、よく分かります。


「失礼します。1年B組の山崎海翔です。あの、落し物を……」


 定番の挨拶をし、奥の方へ入っていく。ウチはちょっと職員室が苦手だから、外で待っていた。



『礼儀が悪いってしつこく注意されたことがあるんだよね☆』



「黙らっしゃい!」


 べっ、別に職員室前で30分くらい注意なんかされてないんだからねっ!


「失礼しました」


「あった――んじゃないのかぁ」


「メガネなんて届いてない、だと」


「そっか……」


 あぁ、メガネをかけていない海翔って、何て冴えないんだろう。


「じゃぁ、放課後……」


「ん?」


「詩乃、夜に昨日通った道、一緒に行ってくれないか?」


 たっ。頼られた……!?


「あ、そっか、今日はイナイレが――」


「いいぜっ! アニメは録画すればいいけど、メガネは1秒を争うもんね!!」


 まぁ、リアルタイムで見れないのはとってもとっても残念だけど、計りにかけたら!


 やべ、アニメの方がちょっと重かった……。でももう言っちゃったし、うん。


「じゃ、今日も待ってるから」


「ん、よろしく」


「終わった」


「あ、かいとー。お帰りなんだよ!」


 今日はメガネがない新鮮さのためか、女子がいつも以上に多かった。多分。何だ、今度は裸眼萌え集団?


 だからウチは、木陰で優雅に禁書目録を読んでいた。


「で、えーっと、通った道、いってみよー!」


「そういえば詩乃」


「何ー?」


「何で視界があまり開けていない夜に、あえてメガネ探しなんだと思う?」


「疑問にも思いませんでした」


 あぁ、言われてみれば確かになー。


「はー……何となく、目星がついたっていうか。それが、夜じゃないと意味がないんだよ。」


 浅く溜息をついた後に、そう続けた。


「目星がついたって?」


「見当がついたってこと」


「そっちじゃなくてぇぇ!! どんな、って話!」


「あ、そうか」


 大分バカにしてますね。ウチはそこまでバカじゃぁなーい!


「多分――」


 なるほど。


「木野栗君」


「あ、な、中原さん!」


 向かった先は公園。いつも通り光合成中だった。


「あのさぁ、メガネみなかっ……」


《あ!》


 海翔とウチは同時に叫んだ。


 海翔の言う通り、一瞬にして消えたのはぶらさがって揺れてる木野栗に引っかかったからだったのだ。


「俺のメガネ!!」


「えっ?」



『それはコンマ数秒の出来事だった。海翔君が木野栗君(っていうかメガネ?)に向かって飛びついていったのだ☆それに驚いた勢いで木野栗君が木から落ち、メガネを踏みつたのだ☆』



「俺のメガネえぇぇぇ!!」


「なん……だと……!?」


「うわぁぁぁ! 山崎君ごめん!」


 それぞれリアクションをとるも、メガネは砕け散っている。無惨に。


「へー、それで新しいメガネ買ってきたんだ!」


「おう」


 土曜の午後、暇だったから海翔の家に遊びに行ったら、前と同じ黒ぶちのメガネをかけていたのだ。


 あの後、気付けば次の日(今日)休みじゃん、そう思い、今日部活も休んで買いにいったんだそうだ。


「いや、やっぱり海翔にはそれが1番似合ってるよ」


「おぉ、俺もこれが1番しっくりくる……。」


 かくして、海翔のメガネ行方不明事件は、幕を閉じたのだった。

とりあえず中1編は完結です。


製作期間は約1年半以上…


この2人好きなので、高校生編とか書いてます。


でもとりあえず中2編・中3編も書いてうpしてからいきます!


恋愛が中途半端に入ってるんで、これからフラグの回収に。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


よければ感想ください^^

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