【中1編】第三話*馬鹿な朝。*
――ピピピピ……
「キョン子は俺の嫁ぇぇぇ――!! ……って、何だ。夢かよ。」
今日は、とてもいい夢を見た。2次元に行くとかそんな夢。超楽しかったッ!
そして、何かの感覚のある手元に目をやった。……なるほど。そういうことか。
ウチの手には、しっかりと同人誌が握られていた。
読んだまま寝ちゃったんだなぁー。それにしても、もしかしたら見たい夢のマンガを持ったまま寝ると、そのマンガの夢が見れるのではないだろうか。
『……結構な、バカ……なんだよね。』
おい待てよぉぉーー!? 何か、今すごくバカにされた気分。
まぁ、別に。バカですが何か?
さてと、起きますか。眠いよ。夢の続きみたいよ。さーて、2度寝でもす「詩乃~! 海翔君来てるわよー!」
「あいよー!!」
……って、流れ的に毎日普通に幼馴染が迎えに来てる的な感じだけど、違うよ!? ウチんちなんて滅多に来ない! 何があったんだ!? 驚きのあまり即座に2度寝中断。ってか、朝ごはん、着替え、身支度何にもしてねー!
「ってな状態らしいけど……どうする、海翔君?」
「そうですか……じゃ……」
2人して俺の心読んでんじゃないよ!
うぅ、うぅぅ。海翔行っちゃったよー。
ガチャ「いってきまーす」
いつも通り、ドアを開け、見た先にいたのは――……
「ザキ!!?」
「うぃーっす」
な、何だろこの展開! もしかして、これが伏線というもの?! ついにフラグ立った!? でもごめん、ウチは海翔のことを幼馴染とか友達とか天才とかメガネ萌えとかそういう目でしかみてな「おい、お~い! 帰ってこーい。」
「んで、何で今日は突然朝迎えに来たのかな? かな?」
「実は……」
すごーく、真剣そうな顔をしながら言った。
そこで、やっとわかったことがある。今日は、海翔の……
「メガネが消えた!!」
「……あ? 気付いてたのか?」
「いや、明らかな違和感について突っ込んでみただけなんだけど……」
いつもは、黒ぶちのメガネをかけているのに、今日はメガネをかけていない。
そのせいか、何かものすごい違和感。わりと素顔もカッコいいなおい。
「実は……昨日、俺ん家で勉強会しただろ? あのあと、実は学校に忘れ物をとりに行ったんだよ。夜中だけど、警備員が偶然いて、入れてもらってさ。そのあと、帰り道歩いてたら、突然メガネが消えて周り見渡しても全然無かったんだよなぁー。っていうかさ、ぶっちゃけ暗闇+目の悪さで見えないっていうのもあったんだけどな。」
「は? そんな変なことあるの?!」
「だから言ってんだろうが。そこで、お前にもメガネ探しに協力してもらいたい。」
「えぇー、どうしよっかなぁ?」
「じゃ、いいや。」
「いや、やるよ! 手伝うよ! だから、1度言っただけで諦めないでくれ!!」
『もう1回頼んで欲しかったんだね★』
いっぺん死んどけ。
「う~ん、それでな、何でお前に協力を頼むなどということをしたかというとな。」
「ん? そりゃ、1番頼りがいがあるからじゃ」
「家が1番近いし、常に暇人だからだ。」
「ヒドい言い草だな!!」
そうツッコんだあと、海翔は「冗談だよ」と言って、笑った。メガネをかけてない海翔の笑顔は、少しいつもより間が抜けている気がした。