人をイジることほど楽しいことはない
旧校舎の旧生徒会室
明りのない部屋に二つの人影があった。
「『ムーン』現状はどうなっているのかしら?」
「・・・・・正直言って、こちらがかなり押されています。このままいけばいずれはここにもやってくることでしょう。」
「・・・ふん、使えない奴ばかりね。・・・・いいわ、『ムーン』、携帯を貸してくれるかしら?」
「嫌です」
「即答!?貸してくれたっていいじゃない!」
「自分のを使えばいいのでは?」
「・・・・・持ってないもん」
ほほを膨らませておおよそ高校生に見えない『クイーン』に対して『ムーン』はわざとらしい笑顔を向けた。
「ああ、そういえばそうでしたね。『クイーン』連絡を取ることなどないので忘れてましたよ。」
「嘘だ!わざとでしょ!いいもん、別に携帯なんかなくても生きていけるもん!」
「(拗ねると一気に子供っぽくなるんですよね。まあそれが面白いからいじめているわけですが)」
「何か言ったかしら?」
「いいえ、なにもいってませんよ?」
「それより早くけ・い・た・い!」
「はいはい、どうぞ」
『ムーン』から受け取った携帯でどこかに連絡をとろうとする『クイーン』だったが・・・・・・
「・・・・・なにこれ?」
「なにって、携帯ですが?」
「ボタンがないよ?どうやって電話かけるの?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・なによ、その珍しい生き物を見るような目は」
『ムーン』から温かい目を向けられた『クイーン』がスマホとの初対面をおえて目的の場所に電話を掛けることができたのはそれから1時間後のことだった。