番外編クリスマスの過ごし方 陽助・優編 (2/2)
クリスマスがどんな日であっても私には関係ない
一人でも関係ない
学校で優等生さえ出来ていればそれでいい
なのに陽助は何で優しくする?
私がかわいそうに見えたのか?
それとも私に借りをつくりたいのか?
それとも・・・・それとも・・・・
「おかえり~・・・って委員長!?」
「こんにちわ水野くん」
いつも通り優等生を完璧に演じる
優しくて礼儀正しい自分とは正反対の自分
「両替機探してたときに見つけたから連れてきた」
そう言う陽助だが明らかに笑いを堪えている。
いっその事笑えばいいのに
そうすれば変な奴に見えるのに
「そうなんだ・・・・陽助ちょっとこっち来ようか?」
数人の友達に連れて行かれる陽助
どうせ何で私がいたのか?とか、どうして連れてきたのか?とか聞くためだろう
答え方に迷う陽助の顔が目に浮かぶ
数分で帰ってきたが陽助に疲れた様子はない
それどころかこっちに笑顔を向けている。
かなり気持ち悪い
「えっと・・・浜上さん・・・・今度からはメールとかくれれば・・・」
「・・・・何のことでしょう?」
「だから・・・・一人で遊ぶのは・・・寂しいかなって・・・」
・・・・・・・・・・
「西山君?ちょっとこっちへ」
「二人っきりでないと話せないのか?」
・・・・わかって言ってるな
くそ!だから優等生は嫌いなんだ!
「では、みなさん。またあとで」
そう言ってから陽助のを引きずってその場を後にする。
言い訳なんてあとでいくらでも出来る。
「どういう風に言えばああなるんです!」
「お前ってそっちのほうが生き生きしてるよな」
生き生きしてる?それはそうかもしれない
だからって学校では優等生を演じるしかない
そんな毎日を選んだのは私だから・・・・・
「そんなことどうでもいいんです!とにかく質問に答えてください!」
「・・・・質問全部に即答したんだよ」
「即答?」
「『何でこんなところに浜上が?』って聞かれたら『寂しく一人で暇つぶししてる』って答えて」
「なんで本当のこと言うんだ!!」
「おーい猫かぶり忘れてるぞ」
「知るか!大体、お前は何で嘘をついてあげるくらいの優しさがないんだ!!」
陽助の前だとなぜか猫をかぶれない
それがイラつきからきているのか・・・それとも・・・
「嘘はつかないって決めてるんだ」
「だからって言い方というものがあるだろうが!」
こんな風に思いっきり何の遠慮もなく話せる・・・安心からきているのか
「ギャーギャーうるさいな謝ればいいんだろ?ごめんなさいスイマセン申し訳ありませんでした!」
「何だその適当さは!」
「お前ってホントに女らしくないよな」
「うるさい!余計な・・・・お世話・・・」
「ん?どうした?」
女らしくない・・・・か・・・
何でそんなことを言えるんだろうな・・・
これでもがんばってるつもりなんだ・・・・
言葉遣いも荒っぽいものから変えた。
髪だって長く伸ばした。
メイクも・・・少しは・・・やってる。
この感情がどんな意味を持ってるか私は知っている。
でも、それは私だけしか感じていない
それに私は周りに迷惑ばかりかけるだから・・・こんな気持ち・・・・・
考えれば考えるほど悲しく、切なくなる。
仕舞いには涙まで・・・・
「おい、何泣いてるんだよ」
「・・・・泣いてなんか」
「泣いてるだろうが・・・・・ったくお前はいきなり怒り出したり泣き出したりしやがって」
そう言っていつの間にか俯いていた私の頭に手をのせた。
「お前が俺に怒ったりするのはいいけどな・・・泣くのだけは黙って泣くな」
顔を挙げて陽助の顔を見ると陽助の顔は真剣だった。
「俺にしかちゃんと話せないなら全部俺に話せ。女らしくないって言ったのは謝るだからもう泣くな」
陽助の言葉の一言一言が響く
「お前は笑ったり怒ったりしてるほうがいい。もし、泣きたくなったら理由を言え。それから泣け。」
聞けば聞くほどさっきまで口喧嘩していたときとは違う感情がわいてくる。
そして、涙が・・・・止まった。
「俺がお前を誘ったのはお前が悲しそうに見えたからだ。・・・お前に悲しい顔は似合わねぇよ」
「・・・・・よくそんな恥ずかしいことが言えるな」
「俺は自分にまっすぐって決めてんだよ」
「なんだよ・・・それ・・・・」
改めて思う
喧嘩をよくするし、見ているとイライラもする。
本当にだめな奴だって思うこともある。
でも・・・・それでも・・・・
私はそんなこいつが好きなんだ
みんなと合流するために移動していた私たちだったが不意に陽助が何かを思い出したように言い出した。
「なあ、浜上」
「・・・・・・何だ」
「泣いてたときに思ってたこと・・・そのうち教えてくれよ」
「・・・・・そのうちな」
「・・・・お前しか感じてないかはわかんないんだからさ」
「ッ!?」
何で!そのことを!?
・・・・・・・あ!そういえばいつか居酒屋っぽいところで言ってた心読めるって・・・・
じゃあ、あの時考えてたこととかって・・・・・
次の瞬間には耳の先まで真っ赤になって顔が熱くなるのを静かに感じた。
ご意見・ご感想お待ちしています。
尚、委員長のキャラがかなり変わっていますがそのへんはこれからの話の中で全てわかりますのでお待ちください。
裏生徒会編も急いで仕上げに入りますので同じくお待ちください