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青春謳歌  作者: 人知らず
55/60

番外編クリスマスの過ごし方 伊縁・真由美編 (3/4)

クリスマスソングがいたるところから流れている商店街

その商店街の前にある公園

真由美先輩との待ち合わせ場所だ。

待ち合わせ時間まで後10分くらいあるがそこは予定通り

早めに来ておいたほうがいいはずだから

ずっと立っておくのもなんだから

そんな考えで公園の中央の時計の前にあるベンチに座る

冷たさがベンチから伝わってくる

音楽でも聴いていようかとイヤホンを耳にはめてiPodのスイッチを入れた












10分後













待ち合わせの時間だ

先輩が必ず時間通りに来るとは限らないため、先輩の姿が無くとも特に気にしない

待っていればきっと来るから










さらに10分後











・・・・・来ない

先輩が約束を破るはずが無い

心配になってきた

もし、先輩が交通事故にあっていたら

もし、不良たちに囲まれていたとしたら


「・・・・・探しに行くか」


立ち上がって周りを見渡すが先輩の姿は無い

一応、時計の裏側も探すがやはりいない

頭で考えれば考えるほどマイナスな考えばかりが浮かぶ

そんなわけが無いと考えるのをやめるがすぐに違うことが浮かんでくる

その不安から逃れるためか無駄と知りながらも大声で叫ぶ


「真由美先輩~!!」


「伊縁~!!」


・・・・・?

今、確かに真由美先輩の声が?

声のした時計の反対側つまり最初にいたところへ行くが誰もいない

空耳だったのかな?と思いながらも一応、もう一度叫んでみる


「真由美先輩~!!」


「伊縁~!!」


やっぱり空耳じゃない!

声が聞こえたのはやはり時計の反対側から

急いでいくとやっと約束の人に会えた


「真由美先輩」


「・・・うっ・・・うっ・・・・やっと・・・会えた・・・」


先輩は泣いていた

目からは止め処なく涙があふれている

その姿は自分よりもひとつ上とは思えないほど幼げに見えた


「なに泣いてるんです?かわいいとは思いますけど・・・・」


「だって・・・・寂しくて・・・」


先輩の言葉に・・・というよりも俺のことを見つめる先輩の目に思わず目を背ける

その目はまっすぐに俺のことを見ていたから


「寂しくて・・・心配で・・・・不安で・・・・苦しくて・・・・」


先輩は涙を流しながら永遠と同じことを繰り返していた

昔、剣道場で泣いたときのように

先輩の様子に少し罪悪感を覚える

それと同時に今、先輩にかけるべき言葉を考える




「真由美、泣くなよ」





「え?」


先輩は突然のことにきょとんとしてやはり俺をまっすぐな目で見ている

でも、さっきまで泣いていたのにすぐに表情が変わったことがすこしおかしくて

思わず笑ってしまいそうになる

それをこらえて、先輩のほうへ笑顔を向ける


「はい、泣き止んだ」


「今、真由美って・・・・」


「何のことですか?先輩」


俺の言葉に先輩はまた表情を変える

明らかに不服そうな顔に


「ごまかす気?」


「何をです?」


「・・・・・まあいいよ・・・・ちょっとだけ、うれしかったし」


顔を赤くしながらもそういう先輩

顔を赤くしたのは予想外だがとにかく先輩の機嫌は直った


「それで、この後どうします?」


「うーんと・・・・歩きながら考えよっか?」


「・・・計画無しですか?」


「まあね」


未発達な胸を張りながら自信満々に「えっへん」という声が聞こえそうなくらいでそういう先輩

それがおかしくて思わず笑ってしまう


「なに笑ってんの?」


「い、いえ気にしないでください。それより早くしないと時間がなくなりますよ?」


「え?あ、ほんとだ」


俺の腕時計の短針は10時を指していた


「急がなきゃ全部閉まっちゃうよ!ほら、急いで!」


「そんなに急がなくても」


「いいから!」


俺の手を引いて急がせようとする先輩

身長差があるだけに周りからはどんな風に思われてるんだろう?

兄妹?親子はないよな

そんな風な考えが浮かんでくる

先輩と会うまでとはまるで違う

明るくて楽しい考え

やっぱり先輩がいると違うな

そう思えてくる


先輩の手に引かれながらもチラッと公園の時計を見る

時計の短針は・・・・9時を指していた












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