人へ嘘を付くってことは自分に嘘を付くことでもある
「はぁ~二人の邪魔にならないようにと思って家を出たのはいいけどやることないな」
秋姉、勇樹さんと上手くいくといいけど・・・・・
「中学の陽助とでもどっか行くか」
あいついつも暇そうだし
プルルル♪プルルル♪
なかなかでないな・・・・
プルルル♪ガチャ
お、やっとでた
「陽助!今からどっか行かね?」
『ただいまこの電話番号は使われておりません』
はぁ!?あいつ番号変えたのかよ!!何で教えないんだよ!?
「じゃあ美奈にでも・・・・やめとこ」
最近あいつといると気まずくなるし
「しょうがない変態にでも連絡するか」
北村の番号は今日北村に無理矢理交換されたから知ってるが出来ることならしたくないな。
そう考えつつも連絡しようと携帯を操作していると画面が急に真っ暗になった。
「・・・・充電きれた・・・・」
最悪だ!!
家にも帰れず誰とも連絡が出来ない・・・・
「どうしよっかな」
「あれ?円じゃないどうしたの?」
途方にくれていた俺に話しかけてきたのは良よく知った顔・・・・美奈だ。
「お前こそなんでこんなとこにいるんだよ」
あたりは暗くなりだしており高校生が出歩く時間ではなくなってきていた。
まぁ俺も高校生なんだけど・・・
「なにって犬の散歩よ」
「犬の散歩?こんな時間にか?」
「別にいつ散歩したっていいでしょ?」
「怒るなよ」
「怒ってないってそんなことより円は何で?」
「実はうちに勇樹さんが来てるんだ」
「なるほど秋さん勇樹さんの事好きだもんね」
秋姉が勇樹さんの事が好きな事は秋姉と勇樹さんを知る人なら誰でも知っていることだ。
「ああ」
「それで家を抜け出してきたと」
「ああ」
「それじゃあ暇なのね?」
「ああ」
「じゃあ付き合ってよ」
「ああ!?」
今の話のどこでそうなる!!
「犬の散歩」
「・・・・いいけど」
やっぱそうだよな・・・って俺は何を期待してたんだ?
そんなことより美奈と散歩とか誰かに見られたら誤解されかねない!!
まぁ美奈はいいんだろうけど・・・・・俺は・・・・
そんな事を考えていると最悪の人物に会ってしまった。
「あれ?早乙女に花岡?」
青山!!!何でお前がここにいるんだ!!
「よ・・・よう」
「何だよお前等もしかしてそういう仲なのか?」
「・・・・そういうって」
「・・・・どういう?」
返ってきた答えはやっぱり
「だからお前等付き合ってんのか?」
「違う!!」
やっぱりそんな風に見えるのか!?ならどうすれば・・・・あれ?今、反論したのって俺だけだよな美奈の声聞こえなかったし・・・・美奈もいつもなら反論するはずなのに
「・・・・・うん」
「え?」
今なんて言った?
「そうかやっぱお前等って付き合ってたんだな」
「だから違うって!!おい美奈お前冗談言うのも」
「冗談じゃないよ!!」
「なッ!!」
こいつ顔を赤くして・・・・まさか!!
「私は円の事が好き!!この世のどんなものよりも大大大大大好き!!!」
なんでこのタイミングで!?
「え?まさか今はじめて告った?」
「・・・・・うん」
「まじかよ!!俺が愛のキューピットになったわけ?命の次は恋かよ!!スゲー!!」
そこ一人で盛り上がるな!!
それにしてもどうすればいいんだろう・・・俺は付き合いたい・・・だって俺も美奈の事好きだから
でも、俺にはそんな資格はない・・・・
「早乙女!返事は!?」
「・・・・・ごめん」
「え?」
俺だって美奈の事が好きだ
どんなものよりも好きだ
でも、だからこそこれでいいんだ
美奈には幸せになってほしいだからここは・・・・断らなくちゃいけないんだ
「俺、美奈の事友達以上には思えないんだ・・・・だから・・・ごめん」
これでいいんだ・・・これで
「・・・・円・・・嘘付いてる・・・」
「嘘付いてなんかない」
「ついてるよ!!私がどれだけ円の隣にいたと思ってるの?」
「それは・・・」
どれだけっていつも・・・・そうだ・・・俺が気づいた時にはいつも隣に美奈がいて・・・いつも一緒だった
小さい時からうれしい時や楽しい時・・・辛い時や悲しい時・・・どんな時でも隣にいた・・・いや、いてくれた
そんな美奈に嘘を付けるはずなんてない・・・・でも・・・俺のやったことは・・・
「私、分かるよ円が嘘付く理由!!」
「だから嘘なんて」
「昔の事でしょ?」
まさか、思い出したのか!?
美奈はあの時の衝撃であの事件の事は覚えていないはずだ
「円がやったことはいけないことなのかもしれない・・・でも!!」
「無理なんだよ!!」
「・・・・・円?」
「俺は美奈に好きになってもらう資格なんてないんだ!!だから」
「資格って何?好きになることに資格なんて必要なの?」
美奈・・・・
「だったらその資格はどうやったら取れるのよ!!ただ好きになるだけじゃいけないの?」
「そんなことは」
「だったら!!・・・・・素直な気持ちを聞かせてよ」
俺の素直な気持ち?・・・・そんなの決まってる・・・でも・・
「早乙女!!」
「青山?」
「お前が本当にやりたいことは何だ!!お前は自分に嘘を付いてるんじゃないのか!!」
自分に嘘を付いている?そんな事分かってるさ・・・自分が一番な
「その嘘にお前は納得してるのか!?」
「・・・・お前に・・・何が分かる・・・」
「分からないさ!!それでもお前が自分の嘘に納得してないことくらいは分かる!!!」
「・・・・俺だってな・・・・嘘なんて付きたくないんだよ!!」
思わず声を張り上げてしまった。
時間も時間なのに迷惑なんて考えずに思わず
「でもな!!でもな!!どうにもならない事だってあるんだよ」
俺だって嘘を付かずに美奈に好きだって言いたい
俺だって美奈と手をつないで歩きたい
俺だって・・・俺だって・・・・美奈を心の底から愛したい!!
「一人で考えないで」
「・・・美奈」
「一人で考えて駄目な事なら二人で考えればいいじゃない!!」
さっきの俺に負けないくらい声を張り上げてそういう美奈
「何でだよ・・・何でこんなに言っても諦めてくれないんだよ!!俺はお前に幸せになってほしいだけで」
「幸せになんかなれないよ」
「・・・・なんで?」
「だって私、円の事が好きなんだから」
一言だけでもその一言が俺の気持ちを変え新たな返事を言わせた
「・・・待ってくれ」
「何を?」
「やっぱ、返事待ってくれ」
いつの間にかうつむいていた顔を上げて俺はいう
「俺が俺に嘘を付かなくなった時・・・その時に改めて答えたいんだ」
これが今の俺にとって最高の返事であり自分への誓いでもあった
「・・・うん・・・・待ってるから・・・早くしてよね」
「・・・分かってる」
この時の答えは自分に嘘を付いていなかった。
いつか、嘘を付かなくなった時その時はこう言ってやりたい
『美奈・・・・お前雪を一緒に見たいって言ってたよな・・・じゃあ見よう一緒にこれからはずっと一緒に』
「話は付いたようだなそれじゃあそんな二人にこれをプレゼント」
そういって青山が差し出してきたのは2本の花だった。
種類はラベンダー
「いいのか?これどッかに持っていく奴じゃないのか?」
「いいからもらっとけ、じゃあな」
青山はそういって俺たちに一本ずつ渡していってしまった
ラベンダーからいい香りがする。
ラベンダーの花言葉は
『あなたを待っています』
ぴったりの花言葉だと思う
帰ったら部屋に飾っておこう今日の事を忘れないために
第27話いかがだったでしょうか?
友達にこの小説を見せたところ純情すぎると言われてしまいました。
純情のなにが悪い!!ということでこれからも純情でやっていくんで宜しくお願いします。キャラへの質問も募集中です。