中国、韓国からの挑戦状
「じゃあ、うさちゃんはチャイナドレスと漢服、着ちゃいなさいよ!きっと似合うと思うから。チマチョゴリも誰かに着せたいわね…ヒミコ教国で韓国出身で似合いそうな子っているかな?」
ヒミコが考えていると玉兎は
「私に似合うかどうかわかりませんけどね。でも頑張ってみます。着物と違って肩は出すのですぐに慣れると思いますし、チマチョゴリを着る人に心当たりがありますから連絡しておきます」と言った。
「うさちゃんありがとう。本当に助かるわ。あとね、日本の浴衣も忘れないでね」とヒミコはお願いする。
「はい、それは大丈夫ですよ。私も大好きな浴衣ですから」と笑顔で答える玉兎。
それからヒミコ様は
「じゃあ、そういう事でお願いね。うさちゃんのチャイナドレス楽しみにしてるからね」と告げた。
すると玉兎は
「はい、頑張ります」と言い残し部屋を後にした。
その後チャイナドレスを着た玉兎とチマチョゴリを着た女性がヒミコの前にやってきた。
玉兎は「どうですかヒミコ様」と言ってポーズをとる。
ヒミコはうっとりとした表情で「素敵よ、うさちゃん。とっても似合っていて可愛いわ。それに、すごくセクシーだわ」と褒めた。
「ありがとうございます。ヒミコ様にそう言われると嬉しいです」と喜ぶ玉兎。
そんな玉兎の横にはチマチョゴリを着た女性が佇んでいる。彼女の名前は李雅蘭という韓国人である。
「ヒミコ様、紹介します。こちら韓国出身の李雅蘭さんです。彼女はモデルで歌手もしてましてね、とても綺麗な方ですよ」と玉兎はヒミコに説明した。
「はじめまして。私は李雅蘭と言います。今日はよろしくお願い致します。ヒミコ様」と丁寧な挨拶をする雅蘭。
ヒミコは「こちらこそ、よろしく。雅蘭さん。今日は来て頂いて嬉しいわ。それに素敵な衣装ね」と答えると李雅蘭は
「ありがとうございます。私も嬉しいです。ヒミコ様に会いたくて来てしまいました」と頬を赤らめながら言う。
「今日はどうぞ、ゆっくりしていってね」とヒミコが言うと
「はい、喜んで」と答え李雅蘭はにっこりと微笑んだ。
ヒミコは二人の姿を見て「やっぱりうさちゃんも雅蘭ちゃんも似合うわね。本当に素敵で可愛いわ。韓国では普段はその服着てるの?確か現代ではあまり見かけないけど」と聞く。
雅蘭は「はい、この衣装は韓国では正式な場では着ますが普段着ではありません」と答える。
ヒミコは「そうなのね。でもすごく似合って素敵よ。うさちゃんのチャイナドレスも可愛いけれど雅蘭ちゃんのチマチョゴリは気品があって本当に綺麗ね。どちらも魅力的だけどやっぱりうさちゃんのほうが好きよ」と玉兎にウインクする。
「嬉しいです。ヒミコ様。でも私は雅蘭さんの衣装のほうが好きですよ」と玉兎は言う。
すると雅蘭も
「私もヒミコ様の言う通りだと思います。でもヒミコ様の着物姿もすてきです」と言う。
ヒミコは「ありがとう。雅蘭ちゃんも可愛いわよ」と返す。
そしてメディアにも露出し始めたのだが予想だにしなかった問題が斜め上から到来した。
なんとヒミコ教国の住民でヒミコ様と玉兎の姿に憧れていた人達がいたようでチャイナドレスを着るようになったのだ。
チマチョゴリもまだ少数だが一定数出てきた。ここまではまだ予想通りで良かったのだが問題はその後だ。
どうやら中韓という国は勝敗にこだわる国らしい。どの民族衣装が最高なのかを勝負したいと言い出してきたのだ。
「民族衣装と言う物は中国が一番優雅で美しく機能性だって最高よ!」と上海灘が声を上げた。
それに便乗して龍鳳袍や東方美人(中国系台湾服飾ブランド)や清閑(北京の伝統工芸品のショップ)などが続いた。
韓国からは広場市場(チマチョゴリの老舗連合)が声を上げた。「チマチョゴリの伝統美と優雅さには敵うわけがないでしょう!我らが勝利します」と宣言した。
だがオールスターZホールディングスや長州きもの学園はそういう物は勝負するものではない。とかたくなに断ったのだが……
それを作る職人さんのプライドを焚きつけたのか‥‥。着物職人たちがそれぞれ勝手に参加表明をしてしまい大惨事となってしまった。
「おいおい、これはどういうことなんだ?まさか俺達に喧嘩売ってるのか?」とワコーレン社長が文句を言う。「そんなことないわよ。ただ勝負というわけじゃなくて皆さんの素晴らしい技術を見て勉強しようと思っただけなんですよ」とニッコリ笑って返すのはオールスターZホールディングスの小百合だ。
「でもな、こっちにも立場ってもんがあるんだよ。それに着物職人の誇りもあるしな。負けられない戦いというものもあるんだぜ」と鼻息荒く言い放つのは長州きもの学園から生産を任されてる職人の梅宮だ。
そのため各国の代表者が集まり話し合いをした結果、みんなエキサイトしてしまいとうとう幕張メッセで日中韓民族衣装バトルの開催が決まってしまった。
各国、自慢の美人達を選出しそれぞれいろいろな民族衣装を着せて評価をしてもらおうという事になった。
見た目の美しさは勿論だが町中での動きやすさなどの機能美を審査する部門もある。
もちろん投票制で会場に来た人達やネット投票を募り結果を公表する事になったのだ。
もうこうなってくると民族衣装の勝負だけにとどまらない。各国の女性に対する美しさも評価対象に大きくかかわってくることになる。
そのため、インナーメーカー、着物メーカーにとどまらずノエビスなどの化粧品メーカーも参加したいと言い出した。そもそも化粧品は肌への負担を考えなければメイクアップの技術などでいくらでも誤魔化しがきく。だから化粧品の勝負というのが非常に難しいのだ。
やはり自然に近い美しさを求めた肌に優しい成分を使いたいというのがノエビスの企業理念だ。この会社は肌質改善に力を入れている会社で天然成分の配合率が高く自然派化粧品に近いところがある。
「この勝負では各国の女性に対する美しさも判断材料に含まれます。ならば当然美容にも気を使いますよね?という事で当社も参加させて頂きたいのですがいかがでしょうか?」と代表取締役である吉岡恵美が提案した。それを皮切りに化粧品メーカーが名乗りを上げる。
結局、日本ではノエビスを筆頭にマスカラブランドのマリクレーダンなど日系化粧品メーカーが多数参戦してきた。
同じく中韓側からも同様の企業が声を上げてきた。韓国からはコスダックの銘柄であるLG生活健康、大化粧品、ハーブガーデンなど有名どころから中国系企業まで様々な企業が参加した。
中国からは国家指定企業の海竜海豚なども加わり盛り上がりを見せる。
韓国と中国の化粧品メーカーはノエビス同様に肌への優しさを大事にしている会社が多い。だからこそ肌質改善のための化粧品を提供できるし、肌への負担を最小限に抑えられる。だからこそ、肌に優しく機能性にも富んだ製品を作ることが出来るのだ。
そして中韓の化粧品メーカーは自然素材に拘っている。その為、動物由来成分を使わない主義を貫いている。例えば豚や牛の胎盤から抽出されるプラセンタなどの成分を一切使わないのは有名な話だ。
「しかし、なんでヒミコ教国でやんないの?」とヒミコは不満を漏らしている。
「このイベント、世界中から人が来るので規模が大きすぎてヒミコ教国では人が入りきらないんですよ」と玉兎が答える。
「ほほう。そんなに人気なのかしら?私よりも人気あるのは嫌だわ。私も参加するわ」とヒミコは強引に参加すると言い出した。
「ダメです!ヒミコ様がいらっしゃったら他の国がパニックになりますよ。それに今回は勝負事です。ヒミコ様が参加されたらすべての票がヒミコ様にいってしまいますよ」と玉兎が慌てる。
「それは嫌ね。うーん、それじゃ仕方ないわね。うさちゃんもヒミコ教国で応援してね」と言うと玉兎は
「あ、私は審査員として呼ばれてるので…」と答えてくれた。
それを聞いたヒミコは「いいわね、羨ましいわ。私も審査員やりたいわ」とぼやく。
「駄目です!」と玉兎は一刀両断した。
「ヒミコ様がいると皆の視線が全部ヒミコ様に集中してしまうので公平性を欠くからです」と説明する。
「そうね、私のせいで不公平になるのはよくないものね。わかったわ」とヒミコは引き下がった。
「良かったです。それでは行ってまいりますね」と玉兎は会場へ向かって行った。
一人残されたヒミコは
「まったくもう、つまんないわ。折角皆が私の為に頑張ってくれてるのに私は何もできないなんて……」と少し凹んでいた。
「何か私に出来ることないかな?」と考えているが思いつかないので諦めてしまった。




