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鏡・鷹・男

女は鏡に顔を映し念いりに化粧をしていた。

漆黒の髪をアップに結い上げ紅をひく。

濡れた唇に、つっと畳紙を咥える。

和服の襟元を空かした風情がなんとも艶めかしい。


純和風の部屋の箪笥の上に置かれた、鷹の剥製が揺れる。


そこに男がひとり入り込みそっと女の背後から忍び寄った。

鏡に映る見知らぬ男。

女の悲鳴が喉で凍りつく。



「うんうん、わかるよ奥さん。117番したくなる気持ち」

「いえ、だからそこで時報をきかれても……」


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