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宮殿・バラの花・黒い

 宮殿に咲く一輪のバラの花。

 それほどまでに美しい姫だった。


「お人形遊びですか?」

 部屋に散らばった人形。

 しかしその様子は少し異なっていた。


「そうよ。マリアはとってもおしゃべりなの。だからお口を縫ってしまったの」


 口を縫われ、硝子玉の瞳が無表情にメイドを見つめている。


 揺り椅子に黒い大きな塊がのっていた。


「それはメアリーよ。

 言うことをきかないから火あぶりの刑にしたの。 

 今度はお前の番ね」


 メイドの悲鳴が凍った。


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