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みすとら  作者: 詰乃 愛莉
第一章『Promised Love(約束された愛)』
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〔3〕琴葉(ことのは)きよ美

学園に通えることになって、両親はたいへん喜んでいました。

「高校の国語教師をしながら、毎週のように新聞社に俳句を十句ずつ送り続けた! 十年目でついに、その努力がついに実った! お前を名門の私立『夢見が丘・希望の星・自ゆう愛学園』に通わせることができるのだ! これ以上に嬉しいことはない!」父は、感情を爆発させていました。

「(その努力は、関係ないと思います・・・)」私は冷静でした。父が興奮しているので、何も言いませんでした。

「か~さんもね。毎日スーパーで買い物したお釣りを一回につき十円ずつ貯めていたの! コツコツ貯めたから、ようやく3万円を超えました! みんなで、美味しいもの食べようね~」

「(それも関係ないと思います。それに、あまり貯まっていないね~・・・)」私は冷静でした。

「とにかく、お家の一大事だ! きよ美さん、しっかり勉強してきてください!」父の興奮はおさまりませんでした。

「きよ美さん、お嬢さま生活の始まりです。まずは、食事の作法から勉強しましょう!」母も、盛り上がっていました。それからしばらく我が家では、宝塚歌劇団を観に行ったり、週末はレストランで食事のマナーの特訓が始まりました。急遽、バレエとピアノも習うことになりました。そのため、大好きな絵を描く時間が少なくなりました。今思えば、必要のない努力でした。

「(まぁ、いいか・・・)」


小学校の思い出は、あまりありません。中学から学園に通うことになったことも、誰にも教えませんでした。というより、話す相手がいませんでした。

静かに小学校を去って、静かに新しい学校に通うことになる。

日付が変わって、新しいステージが自動的に始まる。

私にとって、卒業とか入学というものは「居場所が変わるだけ」という感覚でした。

「?(おかしいな・・・。

小学生の時は、普通の公立の小学校だった・・・。

小学生の時に、学園にいた記憶もある・・・。

何で? 詳しく覚えていない・・・)」この疑問は、私だけでなくユキもカスミも持っていました。


入学式の日、満開の桜に囲まれて新しい生活が始まりました。

のどかな陽気に包まれて、心温まる一日でした。

ウグイスの鳴き声が心を和ませてくれました。

広い広い体育館には、生徒が5人しかいませんでした。その代わり、体育館の壁にそって20人ほどの教師たちが立ちっぱなしで校長先生の話を聞いていました。体育館の中央にパイプ椅子が横一列に5つだけ並べられていました。保護者達は、体育館の後方に横一列に5個のパイプ椅子が四列並べられていました。父と母は一番後ろに座っていましたが、最前列を二列も陣取っていたのは生徒会長の父母と親戚たちでした。入学と同時に生徒会長に就任した涼風そよりさんが、新入生代表の挨拶を読みました。同じ中学一年生とは思えない堂々とした態度と風格を備えていました。

私は右から二番目に座っていました。

私の右に小さな女の子が座っていました。これがカスミでした。あまりにも身長が小さいので、小学三年生だと思いました。校長先生の話が長いので眠ってしまいました。

「く~、く~・・・」私に寄りかかって寝ていました。

「(あちゃ~、疲れたんだね~)」私も何回もアクビをしていました。

私の左には、私より少し背が高い女の子が座っていました。これがユキでした。

ユキの左には、赤茶色の髪で色白の女の子が座っていました。これがここあちゃんでした。時々授業に顔を出さなかったりする不思議な生徒でした。親御さんの話も一度もしたことがありませんでした。興奮している人を落ち着かせる不思議な特技を持っていました。

一番左端に座っていたのが、涼風そよりさんでした。ここあちゃんと、そよりさんだけが、小学校からの進級でした。何やら分からない事ばかりです。卒業するまでには、少し解決するかもしれません。

「何か、さっきから同じ話ばかりしてない? 世の中危険だとか、外に出るなとか、繰り返してばっかり・・・」ユキが、ぼやきました。

「聞いていたんだね」と私が話しかけると、

「一応ね。入学式だもん」と答えました。その瞳は、新生活への希望にあふれていました。私は彼女に、今まで見てきた同級生とは、違う魅力を感じました。そして不思議なことに、彼女に興味がわいてきました。

ナゼ、この学園に来ることになったのだろうか?

小学生のときは、どんな生活をしていたのだろうか?

何が好きで、何が得意なのだろうか。

今までのクラスメイトのなかで、そんな風に気になる人に出会ったことがありませんでした。

カスミとユキと私。中学時代を一緒に過ごすかけがえのない仲間になるのでした。

入学式後の懇親会で、

「よろしくお願いします。よろしくお願いします・・・」と私の両親は、あちらこちらに頭を下げていました。良く覚えていませんが、カスミやユキ、そよりさんの親御さんたちにも頭を下げていました。


入学式が終わると、その日から寮生活が始まりました。

そもそもの新入生が少ないので、一人一人に個室が与えられました。

カスミの部屋が、101

私の部屋は、102

ユキの部屋は、103でした。

ここあちゃんは、202、

そよりさんは、203でした。

これも何か、意味がありそうです。

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