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みすとら  作者: 詰乃 愛莉
第一章『Promised Love(約束された愛)』
3/8

〔2〕第一印象

校長先生のひと言に私たちは驚きましたが、先生たちは落ち着いていました。そもそも校長先生の話を聞いていなかったのかもしれません。私たちの中で最も積極的な生徒会長が、校長先生に挙手をしながら質問しました。

涼風(すずかぜ)そより】通称そよりさん。好きな色はブルー。ロングヘアーで、毛先が青色に染まっている。生徒会長をしているせいか、細かいことにこだわる性格。まつげが長く、細めの眼鏡をかけている。


校長先生は、もう一度言いました。

「今からこの場で、あなたたちの結婚相手を決めて頂きます」

「え? 何言ってんの?」私たちは、あらためて驚きました。前列の四人も驚いていました。

「すいません校長先生。質問があります」そよりさんが手を挙げて、校長先生に質問しました。

「何でしょう?」

「結婚相手を決めると聞こえましたが、気のせいでしょうか?」

「ん?」一瞬だけ校長先生の顔色が変わったことに、カスミ以外が気付きました。

「気のせいです。あなたたちに交換留学生のクラスメートを紹介するだけです。仲良くしてください」

「校長先生、聞き方を間違えていました」

「何でしょう?」

「小学1年生の夏休み明けの全校集会でも、同じ様なことがありました」

「ありましたね~。懐かしい限りです」

「その時は、犬や猫と遊ぶだけの時間でした」

「そうでしたっけ?」校長はしらばっくれました。

「今回も前回と同じ、『友人を紹介するという名目の動物と遊ぶだけの時間』なのでしょうか?」

みんなが聞いてみたいことだったので、この質問はみんなを安心させました。やはり、そよりさんは、私たちの代表なのです。

「おおむね、そうです」

「では、なぜそれが私たちの結婚相手を決めることになるのでしょうか?」

「みなさん、キチンと私の話を聞いてください。単語だけで会話をすると、相手に誤解を与えるのです」

「(それは、あなたに言いたいわ!)」みんなが、心の中でそう思いました。

「みなさんが触れ合うのは動物たちです。今は動物の姿をしていますが、次に会うときは変身しています。今日どれだけ仲良くできるかで、次に会うときは姿が変わっています。ですから出来るだけ仲良くしてみましょう。

どのように姿が変わるかは、あなたたち次第なのです!

育てるのです! あなたたちの伴侶を!

作り上げるのです! あなたたちの絆を!

分かり合うのです! お互いのことを!

信じるのです! 明るい未来を!

食べるのです! 美味しい食事を!

新しい形の『育成型恋愛ファンタジー物語』が始まります!

これが興奮せずにいられるかー!」校長先生はゼーゼーと息を切らせていました。そして、私たちの予感が、嫌な方に流れて行きました。そして、ざわつく私たちをよそに、私たちの目の前に、シートを被せられた巨大な箱のようなものが運ばれてきました。

「何これ?」

「それで、体育館の真ん中に座らされたんだ」

「何か、臭くない?」

「別に臭わないわよ」

「何かの鳴き声がするよ」

「こわ~い」

「あは~」カスミは状況を理解できていませんでした。

みんなの反応は、まちまちでした。


ブルーシートが取られると、およそ5m四方の檻の中に七匹の動物たちがいました。

茶色のイヌ(ゴールデンレトリバー)、ヤギ、黒い柴犬、ピューマ、白黒のブチ猫、ハリネズミ、白ウサギがいました。


「!」

「?」

「かわいい~」

「?ど~すんの、これ?」

「何が始まるの?」

「あは~」

「・・・」

みんなのリアクションは、それぞれ個性的でした。

「交換留学生の方々です。それぞれに仲良くしてください」

校長先生は、能天気に言いました。

「これが交換留学生の訳がないでしょう! な~にが、仲良くよ。動物と仲良くしろと? 何よー、小学生のときと一緒じゃない!あたしは、お断りだわ!」そよりさんが大きな声で言いました。

「今は動物の姿をしていますが、彼らが心を開けば少しずつ人間の姿に見えてきます。中には、社長や資産家のご子息もおられます。これは一つのチャンスなのです」

「!」

「?」

「あは~」

「・・・」

「かわいい~」

「ブツブツ・・・」

「う~~~ん・・・」そよりさんは、どのドーブツさんと仲良くするか考えていました。


そよりさんは茶色の犬に、ユキはブチ猫に、カスミはヤギに近づいて頭や体を撫でていました。私は、誰も近づかなかったネズミに近づいてみました。小学校の時よりも、動物たちの身体は一回り二回り大きくなっていました。それぞれに、小学生の時に最初に遊んだ動物を選択していました。

「やっほ~。怒っていないかな?」

「やっだ~っ、キヨはネズミに触るの?」ユキが言いました。

「大丈夫でしょ。毒はなさそうだもん」

「そうじゃなくってさ~」ユキは行ってしまいました。

ネズミに近づいてみると、ハリネズミでした。

「おっほ~っ、針がこんなに飛び出るんだ! チクチクするよ」

警戒したらしく、優しく声をかけると針を引っ込めてくれました。頭をナデナデして声をかけました。

「緊張していたんだね~。知らないところに連れてこられたもんね~」

「ナデナデ、すやすや」ハリネズミは眠ってしまいました。


この学校で、まともな授業を受けたことがありません。七人しかいないのでテストをしてもしょうがないし、大学まで行けることが決まっていました。

「?(あれ? 七人いたっけ? いつも五人じゃなかった? 思い出せない・・・)」いつもこうなるので、細かく考えることを止めました。

学園では、体育や、家庭科や、音楽の授業が多く、演劇の練習もしていました。他の学校のことは分かりません。世の中の学校というものは、みんな同じだと思っていました。

「(そもそもこの学校は何なのだろう?)」疑問を持っても答えが出ないまま、時がたってしまいます。合唱祭や、体育祭など大勢が参加する催しには、大勢の生徒が参加していますが、一人ひとりの顔が思い出せません。この学園と私たちの存在自体が謎に包まれていました。

核心的なことを思い出そうとすると、眠くなるのよね~。まだ授業中なのに~。

「ZZzz・・・」

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