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みすとら  作者: 詰乃 愛莉
第一章『Promised Love(約束された愛)』
2/8

〔1〕お相手だ~れだ?

ワクワク、ドキドキ、にぎやかにしている私たちの前に、ブルーシートを被せられた巨大な箱のようなものが運ばれてきました。

「何これ?」

「ドーブツが入ってるの?」

「これがけっこんあいてなの?」

「何のにおい?」

「なにもにおわないよ」

「こわ~い」

「あは~」カスミは状況を理解できていませんでした。

みんなは好奇心と興奮で落ち着きがありませんでした。


ブルーシートが取られると、およそ5m四方の檻の中に七匹の動物たちがいました。

茶色のイヌ、白い犬、黒い犬、黄色いネコ、ブチ猫、ネズミ?、白ウサギがいました。


「!」

「?」

「かわいい~」

「ウサギがいる~」

「何が始まるの?」

「あは~」

「・・・」

みんなのリアクションは、それぞれ個性的でした。

「みなさん、それぞれと仲良くしてください」

校長先生は、能天気に言いました。

「ドーブツとなかよくするの?」

「犬はこわいよ」

「ネズミもこわいよ~」

「さわるの~?」

「けっこんあいては?」

「・・・」

ざわついている私たちに対し、校長先生は言いました。

「誰とでも仲良くして、家族や友達のようになりましょう。そうすれば、将来きっと皆さんを助けてくれる存在になるでしょう。この中には、皆さんが結婚する相手がいるかも知れません」校長先生はニヤリとしました。誤解を招く言い方なので、キチンと説明すべきなのですが、校長先生はその責任を放棄しました。それを他の先生方は見破っていましたが、誰もそれを口にしませんでした。

「家族?」

「友達?」

「あは~」

「けっこん?」

「かわいい~」

「は~い」

「う~~ん・・・」そよりさんは、どれとなかよくするか考えていました。


そよりさんは茶色いイヌに、ユキはブチ猫に、カスミは白い犬に近づいて頭や体を撫でていました。私は、誰も近づかなかったネズミに近づいてみました。

「やっほ~。怒っていないかな?」

「やっだ~っ、キヨはネズミに触るの?」ユキが言いました。

「大丈夫でしょ。毒はなさそうだもん」

「そうじゃなくってさ~」と言いながら、ユキは行ってしまいました。

ネズミに近づいてみると、ハリネズミでした。

「おっほ~っ、針がこんなに飛び出るんだ! チクチクするよ」

警戒したらしく、優しく声をかけると針を引っ込めてくれました。頭をナデナデして声をかけました。

「緊張していたんだね~。知らないところに連れてこられたもんね~」ネズミは、鼻をくんくんさせると私の服をよじ登ってきました。肩までのぼると鼻をくんくんさせながら臭いをかいでいました。

「肩まで登ったの? 木登り上手ね~」声をかけると口のまわりの臭いをかぎ始めました。

「ちゅっ」ネズミの口が、私の口に当たりました。

「(あっ!)」ネズミは、ちょこちょこ逃げて行きました。地面に降りると、チョコチョコ走り回り、疲れて座り込んでしまいました。私はそっと、撫でてあげました。

「ナデナデ、すやすや」ハリネズミは、そのまま眠ってしまいました。

「(どうしたんだろ? この子・・・)」私は遊び相手が寝てしまったので、他の子の様子を見に行きました。


カスミは先生に助けられて、白い犬の背中に乗っていました。

「いやっほ~。わ~い」高いところで楽しそうでした。カスミの後に、私も乗せてもらいました。角の生えた白い犬は檻の中に生えていた草をモシャモシャ食べているだけでした。

そよりさんは、イヌと走り回っていました。毛むくじゃらの茶色い犬でした。その犬がミニチュアダックスフンドであることは、その時は知りませんでした。面白そうだったので、私も混ざって走り回りました。

ユキは、ジッと丸まって寝ている猫を撫でていました。見てみると、黄色い毛で鼻の両脇に黒いヒゲのようなものがありました。

「(育ちが良さそうだし、賢そうな顔をしているな~)」と感心しました。するとそこに、ここあちゃんと遊んでいた犬がやって来ました。

「(あれ? ここあちゃんがいない。フェリシアもいない。どこにいったんだろう・・・)」

キョロキョロ見回すと、体育館のはじっこで、ここあちゃんとフェリシアはカマキリと遊んでいました。私たちが飽きはじめる頃合いを見計らって、「ドーブツとのお遊び会」は終わりました。ただ、動物と遊ぶだけの時間だったみたいです。


「(ふふふ、第一印象(ファーストインプレッション)としては、これで良いでしょう・・・)」校長先生がニヤリとしていましたが、誰も気付きませんでした。

先生たちが、動物たちを檻の中へ戻し、撤収を始めました。


そんなことがあったのですが、日々の生活の中で記憶が次第に薄れて行きました。

幼児期の淡い記憶は、成長とともに忘れ去られるものです。

「(あれも、夏休み明けの集会の時だったな~)」と思い返していました。


「・・・ですから、外はとても危険なのです。あなたたちは、大切な我が学園の宝です。危険な場所には近づかないでください」校長先生の中身のない長い話は、延々と続いていました。

「は~い!」

「はい!」

「あは~」みんながそれぞれに返事をしました。

「それでは、今日はみなさんに結婚相手を紹介します」

校長先生のひと言に、みんながざわつき始めました。

「え?」

「!」

「本気なの?」

「あは~」あたりがざわつき始めました。


みんなのざわつきが、私を現実世界に連れ戻しました。ユキの眉間は二重になっていました。

「ユキちゃん、ど~したの?」

「校長先生の話を聞いていなかったの? 今から、私たちみんなに結婚相手を紹介するんだって!」

「! え? 何言ってるの?」私は、驚きながら喜びました。

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