卓馬、宇宙に羽撃く
〈お正月地表豊かに根雪抱く 涙次〉
【ⅰ】
さて、今回は安保さんの甥つ子、* 卓馬のお話。さう云へば卓馬はまだ髙校生なのだつた。作者すつかりそれを失念してゐた。學生生活をちつとも描いてゐない・苦笑。然し髙校で校則に叛し、フラーイの花をばら撒き、無期謹慎處分を喰らつたとすればだうだらう。世に蔓延るフラーイ禍の大元は、この人だつたのだ。
* 前シリーズ第192話參照。
【ⅱ】
で、安保さんの勤め先、* ㈱貝原製作所、會社立て直しの為、社運を賭けた一大プロジェクトとして、政府の進める有人宇宙ステーション計画、その部品製造に、コンペで破格の安値を提示、受注。卓馬には安保さんを通して、政府から、宇宙空間でフラーイが花開くかだうか、実驗の打診があつた。なんと卓馬が宇宙飛行士の面々に混じり、宇宙ステーション常勤の作業員に採用されたのだ! 尤もそれには、安保さんが口を利き、作業員枠に滑り込ませたと云ふ側面もあつたが...「きみ、宇宙でやり直して來い」
* 前シリーズ第38話參照。
【ⅲ】
卓馬の戀人、* 寄與美は、安保さん製作のアンドロイド。嘗てアンドロイドJなる者の許に走り、「浮氣」したと云ふ前歴がある。卓馬、宇宙で働いてゐる間、寄與美に孤閨を守るやう懇願。OKを得た。卓馬の地球に殘した心配と云へば、それだけなのだつた。
* 前シリーズ第64話參照。
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〈大法螺も小法螺もなきよ正月に書く物語全て丁稚あげ 平手みき〉
【ⅳ】
石田玉道、卓馬を評して、「寧ろ宇宙で働くべき」な人材だと云ふ。安保さん、(其処ら邊が政府の方針と嚙み合つてゐたのかも知れないな。)だがカンテラ一味、特にテオは、この話には裏があると讀んでゐた。話が上手過ぎる。テオ、某政府與党大物議員の名を挙げ、「此奴が有人宇宙ステーション計画に一枚嚙んでゐる、最も怪しい人物です」
【ⅴ】
政府には石田が異星人だと云ふ事はバレてゐた。フラーイを石田の星から卓馬が持ち込んだ事實も... 實は某政府與党大物は、フラーイを惡用して、氣に入らぬ者をフラーイ中毒にし、宇宙に放逐しようと企んでゐた。平涙坐が* 透明人間化して、その實情を摑んだ。其処で、カンテラ・じろさん、怒る。所謂、義憤、と云ふ奴である。
* 前シリーズ第184話參照。
【ⅵ】
カンテラ・じろさん、その大物議員の邸宅に忍び込んだ。じろさんは云ふまでもなく、黑装束に身を固めてゐる。じろさん、警備の者ら・書生逹を薙ぎ倒し大暴れ。勿論その掉尾はカンテラの出番。「【魔】に勝るとも劣らぬ惡党め! 俺の刀の錆にしてくれるわ!」-「しええええええいつ!!」。だがカンテラ・じろさんは魔界がその惡事の糸を引いてゐる事に氣付いてゐなかつた。恐るべし、「ニュー・タイプ【魔】」!
【ⅶ】
後日談として... 安保さんはこの事件で、會社勤めにふんぎりを付けた。余りに會長・貝原文嗣は、政府にへつらひ過ぎる。こゝに、カンテラ事務所付「開發センター長」安保宙輔が誕生。「魔界健全育成プロジェクト」からは(叛體制的過ぎると云ふ理由で)カネは下りなかつたが、長年のラヴコールが稔り、安保さんを一味正式メンバーに迎へた事は、一味にとり大きな収穫だつた...。ざつと以上で、卓馬と安保さん絡みの物語、お仕舞ひとする。ぢやまた。
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〈正月や怠け坊主の有りどころ 涙次〉




