第7話 壊輪
「いてて……何処まで飛ばされたんだ……」
何分間か飛ばされて、何処かの国へと飛ばれた。
砂漠?
辺り一面砂まみれ。
インド?いや、違うか?
いや、場所なんて関係ない!
「それよりもあの野郎!ぶっ飛ばす!」
再び僕はワープをして東京上空に戻ってきた。
そこには僕が死んだ時にいたビルの屋上に絶壊皇が腕を組んで待っていた。
「待っていたぜぇ。自称最強さん」
「ちっ、痛い眼に遭うぞ!」
挑発か。そんな簡単な罠に引っかかるものか。
先手必勝、背後からの攻撃だ。
右手のひらを開き、絶壊皇の背後に複数の次元の穴が開かせた。
次元の穴から無数のゾンビ達の腕が絶壊皇に伸びる。
「ワシをゾンビにしたいようじゃが、ワシは噛みごたえ抜群じゃぞ。噛めるかな」
絶壊皇は笑って言った。
やはり気づかれていたか。
「行けッ!」
こうなったら、ヤケだ!
背後の穴から一斉に異世界より連れて来た多種多彩のゾンビ達を解き放った。
勇者、神、魔導師、悪魔など異世界で冒険し、仲間にしたゾンビ達。
彼らは絶懐皇の身体を掴み、一気に全身に噛みついた。
更にゾンビ達を解き放った。うじゃうじゃと纏わり付く姿は正直気持ち悪い。
絶懐皇の姿はゾンビによって体は見えなくなった。
見えるのはゾンビが一つの集合体になった不気味な塊だ。
やったか……とは行かない。
「平気なのは分かってるよ。僕は噛み付いた相手のコピーした時、その力が宿ったのか変化が分かる。なのに、アンタの力を身体に感じない」
「分かるかのう。小僧」
ゾンビの塊の中から、絶懐皇の太い剛腕が飛び出した。
「壊輪!!」
絶壊皇の腕についている光の輪が、強く発光を始める。
何が起きるんだ?と思ったのも束の間。
次の瞬間、絶壊皇を囲むゾンビ達が一斉に弾き飛ばれ、全員その場から消失。
咄嗟に次元の穴を開けて、目の前から10体を超える巨大なドラゴンゾンビと、ワイバーンを召喚して全員で突撃させた。
「はぁ!!」
絶壊皇は諸共せずに拳を無数に放って乱舞した。
ドラゴンやワイバーンは一撃で粉砕させて、その姿を消した。
だか──
「オラァ!!」
僕はドラゴンらに気を取られている間に背後へとワープをした。
勇者の剣を握りしめて振り翳す。
絶壊皇は背を向けたまま、二本指を突き出して刀を掴み取った。
「甘いわ」
「何の!」
絶壊皇は自分の手を捻り、剣を折り、僕を投げ飛ばす。
そして飛ばされた僕の進行方向に先回りし、僕を上空へと殴り飛ばされた。
再び飛ばされた方向に先回りして、僕の頭を掴んだ。そのまま地面に急降下して地面に頭から叩きつけた。
「ぐにゅぅ!!」
「まだ、くたばってはおらんのぉ!若造!!」
地面へと押し込む力がどんどん強まって行き、地面の亀裂がどんどん広がって行く。
押し込むに連れてクレーターが出来上がって行き、周りの建物や車が地層の奥深くへと落ちた。
「なんのぉ!!」
やられっぱなしではダメだ!
右手に別の勇者の剣を出して、絶壊皇の頭に刺す。
だが、皮膚に当たった瞬間にパリンと剣が折れた。
まるで鋼に攻撃したように硬い。
「さ、流石に硬すぎだろ!」
「ワシはハンサムだからな!」
「それはない!」
激しく首を横に振ると絶壊皇はニヤリと笑った。
「正直でよろしいのぉ」
「……」




