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刻印戦記〜カミグライ〜  作者: ワサオ
第一章 異世界編
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第4話 カミグライ

 ワープをして天の城の前まで来た。

 そこには大量の天使たちが各々の武器を構えて、僕を待ち構えていた。


「ここから先は通さない!」

「聞き飽きたよ、そんな言葉!」


 僕は以前食べたドラゴンよりも更に巨大なドラゴンに変身し、攻撃を仕掛けてくる天使達を一撃で薙ぎ払った。

 そのまま僕は城内を進軍し、神がいる最上部へと到達した。


 神は眩い光が差す部屋に居た。

 想像通り老人の見た目だ。ドラゴンの姿の僕を前にしても、至って冷静な顔付き。

 

「お主はこの次元の者ではない迷い人じゃな」

「迷いたくて迷ったんじゃないんだけどね」

「では何故にこの世界を滅ぼす」


 僕がこの世界を滅ぼしたい理由──


「復讐したい奴がいる……かな」

「なんじゃと?」

「僕を裏切り、殺した奴を殺しに行くために蘇るんだ」

「そのような理由でか」

「だからこそ、あんたの力が欲しい!!世界のあらゆる魔術師も戦士も、ドラゴンや悪魔を食らった。あらゆる能力を我が物とした。最強の屍軍団を手に入れた。もう恐れるものなどない!!後はあんたを喰らえってその力を奪えばね!!」


 右手をドラゴンの鋭利な爪に変え、神様に襲いかかる。

 だが──


「神様!!」


 背後から、僕を消し炭にしたあの勇者が現れた。

 横から剣を払い、身体を半分にぶった斬ぎられた。

 だが、僕の二つの身体はすぐに引っ付こうと動き出した。


「ミラ!」

「はい!!」


 勇者の後ろから共にいた魔法使いも現れた。

 勇者の言葉に続いて僕の身体に魔法を撃ち放った。

 すると真っ二つに割れた身体は動かなくなり、僕の身体は引っ付かなくなった。


「これで貴様の能力は断ち切った!!」

「ところがどっこい!」


 僕は魔法使いのミラを睨みつけた。

 頭の中に乗り込み、精神を揺さぶってやる!!


「うっ、うわぁぁぁ!!」

「ミラ!!」


 ミラは頭を抱え始めて、魔力が弱っていく。

 魔力が弱った事で動かなかった身体が少しずつ動き始めた。


「よくも!!」

「馬鹿め!」


 突っかかってきた勇者に対して僕は目からビームを放ち、横腹を貫通させた。


「ぐっ!!何の!!」


 横腹から夥しい量の血が出ながらも勇者は足止めなかった。

 剣を振り上げて僕の左腕を切り落とした。


「腕を切ったのがミスだったな!!」


 僕の切り落とした右腕を動かして、勇者の身体を掴んだ。


「離せ!!」

「すぐに離すよ。噛んでからね」


 必死に抵抗するがそんなの関係ない。

 強引に引き寄せて、思いっきり首から噛み付いた。


「ぐわぁぁぁ!!」


 身体に染み渡るよ。この勇者から流れる正義の血が。

 ゾクゾクするよぉ。


「ゆ、勇者様……」

「この野郎!!」


 勇者は無理やり引き離して首を触った。

 自分が噛まれた事を知り、勇者は神へと目を向けて叫んだ。


「神様、ミラを別の次元に送れ!!」

「わ、私も最後まで戦います!」

「俺はもうダメだ!お前だけでも生き延びろ!」


 勇者は自分の死を悟ると、短剣を取り出して僕の腕を地面に刺した。

 そして上半身を蹴り、剣で肩を刺して壁に押し付けた。

 勇者の言葉に神でも流石に驚いた。


「この世界はどの道終わりだ。ならば、彼女だけでも生きてもらう!俺からの最後の願いだ!!」


 勇者の必死な顔に神は渋々頷いた。


「分かった……貴様の願いを叶えよう。彼女だけでも、他次元へと送り込む」

「勇者様!!」


 神はミラに向けて手を翳す。


「勇者様!!」

「いづれ来る戦いに備えるんだ!行け!!」


 背後より次元の穴が空き、ミラは勇者に手を伸ばしながら次元の穴へと吸い込まれて行った。


「欲しかったなぁ、あの子の能力」

「はぁ!!」


 勇者が剣を振るった。

 力がない勇者の一撃なんぞ、もはや脅威ではない。

 僕は龍の爪で弾き飛ばした。


「ぐわっ!!」

「悪あがきはよした方が身のためだよ。もうじき君もゾンビになるんだから」


 勇者の能力も手に入れた!

 これで厄介な奴をようやく排除した!

 僕は自分の身体を引き寄せようとした。

 だが──


「忌まわし存在となり、神様に刃を向けるなら!!」


 勇者は落ちた剣を魔法で拾い上げた。

 何をするんだと思った矢先。勇者は自分の元に神速で引き寄せた。

 おぼつかない足で僕の前に立ち、自分の剣で自分もろとも僕に剣を突き刺した。


 痛──

 僕と勇者は剣で貫かれて壁に突き刺さった。


「申し訳ない……みんな」


 その言葉を最後に勇者は絶命した。

 下半身は途中で止まった。確かにこれでは動かない。

 でも、関係ないね。


 僕はこんな時のためにもっと便利な能力を手に入れたんだ。

 身体をスライムのようにドロっと変化させた。突き刺さった剣から簡単に抜け、下半身と身体を合体させた。

 これには神は驚きを隠さなかったようだ。


「お主は神にまで反逆する気か!」


 神は僕にそう言ってくるが、そんなの関係ない。

 今の僕は復讐の一言で動いている。

 奴を殺すために。


「こんな事しても無駄なのに。それなら、最初から僕に噛まれれば良かったんだよ」

「本来は地上の事には神は手を出さない掟。だが、神に手を下す気なら私とて容赦はしない!」


 神は僕に手を向けて、上空から雷鳴を無数に降り注がせた。

 僕は腕を上げて、自分の周りに結界を張り、雷を神に弾き返した。


「なっ!?」

「大天使の力だよ。アンタだって知ってるだろ。天界の力は天界の者には威力が低下するって」

「貴様、我が弟子達も!」

「そうだよ。そして今、僕のしもべになった」


 僕は両手を広げた。

 その瞬間、神の背後から無数の黒い穴が出現し、その穴からゾンビと化した天使達が神の手足を掴み止めた。


「なっ!何をする!」

「ちっとばかり、力をくれれば良いんだよ。それに噛まれた方が楽だよ」

「神の禁忌を犯すととんでもない事になるぞ!上級天使でもない者がむやみやたらと次元に穴を開けると──」

「うるさいよ神たま」


 神は抵抗できず、僕は神を喰らった。

 身体の中に計り知れない衝撃が走った。

 ビリビリと身体全身に感じた事のないパワーと見た事もない光景が広がっていく。

 更に神の領域だ!


「これだよ!これ?これが欲しかった力だ!」


 全ての力を手に入れた。

 あらゆる力を僕の元に集まり、僕は屍の神となった。


 神の御前から外を眺めると、世界は黒く染まっていた。

 まるで今の僕の心を見ているようだ。

 真っ白く平和なこの世界ももう終わりだ。


「さぁて!戻るぞ!!」


 今、元の世界に戻り、獅子野さん。いや、獅子野。

 君に復讐する時だ!


「早速使わせてもらうぞ!次元突破!元の次元に開け!」


 僕は吸収した神の力を使い、次元の穴を開けた。


「東京よ、僕は帰って来た!ってね。行くぞ!」


 僕は次元の穴に飛び込んだ。

 この最強無敵の力はもう誰も止められない!

 自衛隊だろうと核だろうと僕を殺す事は出来ない!


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