第7話 強いならいいじゃない!
一瞬動きが止まる。盛りに盛ったスキルが眼前に広がる。ソシャゲならよくある内容だけどこの世界だとここまで盛ったスキルは聞いたことがない。これで消費SPは1。スキルはもう一つある、ゴーディプロテクトという防御系のスキル。説明を読み驚愕、こちらもぶっ飛んだ能力だ。セカンドスキル、「騎士のたしなみ」も強力。とりあえず後で試してみないと。ふぅ、周りとの違いに驚いてしまった、天を仰ぎ呼吸を整え落ち着く。冷静になるとある考えがよぎる、いやいや待てよ俺、そうだよ強いってことならいいじゃないか。これからは魔物との殺し合い、生き残るためには強い方が断然いい。
(アイツ、体を硬直させてスキルを見ていたぞ)
(余程しょぼいスキルだったんだろう、それにディフェンダーじゃやってられないよな)
(やだー)
「静かに、PTについて説明する」
一人よりも多人数で戦った方がもちろん強い。PTを組んで戦闘することを推奨している。経験値や金策効率もいいからだ。ライトボードから勧誘できて最大五人まで組むことができる。次にフレンド機能の説明。気に入った仲間を登録して戦わせることが可能となる。PTの一枠はフレンドでも可能、契約後仲間として使える。最大五人まで登録可能、他の人間が呼び出している場合は呼び出し不可等、他にも制限がいくつかあり強力ではあるがではあるが使いどころは限られる。フレンドを使えるってのはたまにソシャゲで見るシステムだな。職員の男性が宝石と小さな袋を配る。これは分身光石、使うことでフレンドの分身体を作り仲間として一緒に戦うことができる。他、自分の分身を作り戦わせるなど様々な使用用途がある便利な道具。
「レイドや対人ランキングで使うが、新規冒険者はまだそれらは解放されていない、後のお楽しみってやつだ。それから無限道具袋。実際は無限じゃないけど個人なら上限に達することはほぼないだろう」
超便利アイテムの道具袋。ソシャゲも基本アイテムを大量に持てるからね、それに近いものかな。生きているものと巨大な物はどちらも袋に入らず運べない。中は同じように時間が過ぎ常温なため生ものを入れたままにしておくと腐る。
「先ほどのカードの端を折り、袋に入れるんだ」
ライトボードから出っ張っている部分を折り袋に投入。するとライトボードからアイテム袋の中身が確認できるようになった。出すときはライトボードを使いアイテムを選択すると飛び出してくる。入れるときは放り込むだけ。ライトボードは袋に入れてはいけない、入れてしまった場合はギルドに行き取り出してもらう。
「国からの祝い金が中に入っている、大事に使ってくれ」
お金の単位はC、一C銅貨一枚、百C銀貨一枚、一万C金貨一枚といった計算。残金はライトボードで確認可能。欲しい分だけ金額を指定して取り出せる。
「ガーディアン、人間に味方してくれる聖獣と呼ばれている存在の彼らと契約することで、短時間力を借りることができる」
召喚者のレベルによってその強さは変わる。一日一回短い時間という制限があるがかなりの戦闘力を誇る聖獣が多数存在する。
「専用装備、個人を強化する特殊な武器、防具を作成できる」
レベル1から作成可能で、強力な性能を誇るがかなりお金がかかるから初期では放置でも問題なし。段階があり、何度か鍛えることでさらに強力になる。
「世界は大きく分けると五大陸に分けられる」
火、水、風、土、今俺がいる大陸の五つ。これら以外でも小さな島や、浮島、海底の国など様々な世界が存在する。
「続きまして――。」
他、冒険者について詳しく説明してくれた。
「ライトボードは無くさないようにな。再発行は可能だが結構な額になるし手続き処理等が非常に面倒だ」
「はい」
「これで終わりとする。冒険者として長く活躍することを祈っているよ」
説明会は終わり解散、これで俺は冒険者だ。まずは一人で生き抜いていかないとな。しかしおかしなスキルを入手してしまった。あまり目立ちたくはないね、危ない連中に目を付けられうまいこと誘い込まれ気が付かないうちに利用されていたとか悪事に加担していたなんてことになったら面倒だ。PTは組まずしばらくは一人で行動することにしよう。竜車で一緒だった子二人がPTを組んでいる。こちらにも話しかけてきそうな雰囲気だ、心苦しいが挨拶だけして早々にこの場を去った。まあ向こうとしてもディフェンダーだと気まずいところはあるだろうしいいか。
「そうだ、家族に無事冒険者になったことを伝えておかないと」
その前に受付に手続きを。
「このギルドを拠点にですね、わかりました」
拠点申請の手続きをする。所在を明らかにしておくことで手紙などの配送サービスを受けられる。手紙を書きギルドの受付にお金を払う。ギルドから出ると太陽が丁度真上に、現在は昼時、時間があるから昼食後、装備を整えてから試しにお仕事してみようかな。それからスキルもチェックしておかないと。