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転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした  作者: はりねずみの肉球
【第六章】ヒロイン、覚醒。そして暴走
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世界の修正力を超えて――転生者の勝利

爆音と閃光が収まったとき、セレナは腰を抜かすようにしてその場にうずくまっていた。横にはアレクシスも息を切らし、光の残滓(ざんし)が舞う中で剣を握りしめている。

周囲を見回すと、青い結晶体は真っ二つに割れ、かすかに蒸気のようなものを放ちながら次第に崩れていった。――調律石らしき“世界の修正力”は、ついにその形を失ったのだ。


「や、やったの……?」

セレナは半信半疑。だが、耳に響いていたあの“運命に従えない者を排除”という声が消え、神殿自体の揺れも静まっているのを感じる。どうやら本当に破壊に成功したのだ。

「セレナ……生きてるか……」

アレクシスは疲労困憊の声で問いかける。セレナはかろうじて頷き、手を伸ばして彼の腕にしがみつく。


「ええ……私たち、勝ったのね。ゲームの修正力なんて、消し去ってやった……」


二人で弱々しく笑い合う。視界の隅では、穴の壁がぽろぽろ崩れかけているが、今のところ大規模な崩壊は止まったようだ。――急いで脱出する必要はあるが、危機的状況は脱したと言える。

やや遅れてノエルや騎士たちが穴の端へ駆け寄る。彼らは驚きと心配の入り混じった表情で二人を見下ろす。


「殿下、セレナ様……! ご無事ですか?」

アレクシスが力ない声で「なんとか」と答え、「ロープを垂らしてくれ」と指示。ノエルらが慌ててロープを下ろし、二人を引き上げる。

上がってきた二人を見て、騎士たちは歓声を上げ、ノエルは深い安堵の息を吐く。


「本当に……よくご無事で。あの光は何だったのです?」

「調律石、なるものだろう……だが、もう破壊した。二度と世界を修正などさせない」


アレクシスがはっきりと言い切り、セレナはうなずく。

――これで“転生者排除”という古代の仕組みは消えたのだ。自分たちがバグルートと呼ばれようとも、もう何者にも奪われることはない……


「さあ、ここから脱出だ。まだ天井や壁が脆いから、長居は危険だ」

アレクシスが騎士たちを促す。ノエルがセレナに肩を貸して歩き出し、一行は崩れかけのホールを抜けて、ようやく神殿の外へ戻るのだった。

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