激突! 第一王子 vs 第二王子
「行くぞ!」
アレクシスの怒声と共に、騎士たちが一斉にホールへ突撃した。闇に紛れての奇襲に、第二王子派は一瞬混乱するが、すぐに「殿下だ、迎え撃て!」と声を張り上げ、私兵たちが動き出す。
甲冑がぶつかり合い、剣の閃光が飛び散る激しい戦闘へ突入。魔力ランタンが揺れ、陰影の中で人々の怒声が響き渡る。
「まさか……アレクシス兄上が来るとは……!」
ホールの中央にいたライオネルは憎々しげに剣を構え、アレクシスを睨む。アレクシスも負けじと剣を抜いて前へ進む。
「ライオネル……お前も王族の端くれなら、こんな下劣なことをやめろ! 学園や国を混乱させるなど、許されると思うな!」
「黙れ、アレクシス兄上。お前は父王の寵愛を受け、正統な王太子の座を得たかもしれないが……俺にだってこの国を率いる資格がある! どうせなら、俺こそが真に国を導く王になるべきだ!」
ライオネルは憤怒の表情を浮かべ、私兵に合図を送る。私兵たちが一気にアレクシスへ襲いかかるが、騎士団が割り込んで対抗し、激しい剣戟が始まった。
セレナは馬車での戦闘を思い出しながら、少し後方で防御魔法を展開して仲間を守る。ノエルも流れるような剣技で私兵をいなしている。
「くっ、手強い……!」
騎士が声を上げるほど、私兵の動きは熟練されている。おそらく、第二王子派が秘密裏に鍛え上げた戦力だろう。
しかしアレクシスは剣を巧みに振るい、次々と敵を追い詰める。ライオネルに向かって鋭く睨み、距離を詰めていく。
「ライオネル、お前には王家を担う器などない。ここで潔く降伏しろ!」
「ふざけるな、兄上こそ目を覚ませ! お前は転生者なんぞを婚約者に迎え……この国を歪めているのだ!」
ライオネルの叫びに、セレナは胸が痛む。――やはり“転生者”という情報をライオネルも掴んでいるのか。
アレクシスは口を結び、強く剣を握りしめる。
「セレナを悪く言うな。彼女は転生者かもしれないが、それが何だというんだ! この国を歪めてるのは、お前らのほうだろう!」
二人の王子が睨み合い、激突寸前になったその時――遺跡の床が突然激しく揺れ出した。




