表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした  作者: はりねずみの肉球
【第六章】ヒロイン、覚醒。そして暴走
69/85

第二王子派の接触――謎めいた誘い

“世界調律”というキーワードを頭に留めた数日後、私はまたもや学園内で衝撃的な出来事を経験する。昼休み、人気の少ない廊下を歩いていたら、突然見知らぬ男子生徒が声をかけてきた。


「セレナ・ルクレール様……少々お時間をいただけないでしょうか?」


どこか陰のある眼差しをした青年。制服からして学年は私より一つ上らしい。話した記憶はないが、私は落ち着いた態度で答える。


「ええ、何か御用かしら?」


すると、彼は周囲を見回し、小声で言う。

「――第二王子派のエルマーと申します。じつは、私どもの陣営から、セレナ様にぜひお話したいことがあるのです。……公にはできませんが、差し支えなければ、今夜の放課後にお時間を頂戴できませんか?」


瞬間、背筋に戦慄が走る。“第二王子派”という言葉が彼の口から出るとは、まさにアレクシスが警戒していた勢力じゃないか。彼らが表立って私に接触してくるなど想定外だ。

私は素知らぬふりをしながら、やや強めのトーンで返す。


「急な話ね。何の要件で、私と話したいのかしら?」


「そこは、詳しくは面会時にご説明いたします。ただ、殿下(第一王子)には内密にお願いします。……こちらの事情もあるのです」


内密、という時点で怪しさ満点だが、逆に言えばチャンスでもあるかもしれない。彼らが何を企んでいるのかを探る上で、まさに絶好の機会だ。

(転生をどうこう言い触らしているのが、この第二王子派だとしたら? 私があえて会って確かめれば、真相に近づけるかもしれない)


ノエルなら絶対に止めるだろうが、私は自分の意思で決めることにした。ほんの少し考え込み、「わかったわ」と短く答える。


「ただし、一人では行かないわ。私の護衛を連れて行くのは当然よね?」


「承知しております。……では、放課後、学園裏門を出た先の馬車でお待ちしております」


そう言うと、青年――エルマーは軽く一礼して足早に去っていった。私はその背中を見送り、鼓動の高鳴りを感じる。

(ついに“敵”が動き出したわね。何を狙ってるのか……転生者の件に絡んでるのかも)


慌ただしく昼休みが過ぎ、私は放課後、ノエルを連れて裏門へ向かうことを決意した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ