明日も一緒に
「私さ、あれを目指したいんだ」
「何言ってんの? バカじゃん」
満天の星空のすぐ下で、君は真上を指差す。
「探そうよ、ピ座」
「バカなんだって」
私は苦笑交じりに返すが、君は面白げな笑みを浮かべながらも本気の声色を出す。
「見つけるよきっと。愛奈と一緒に」
きっと私はこの声にも惚れたのだと思った。
あれはまだ部活に入る前だっただろうか。
「一緒に入る?」
「えっ?」
「私マナミってんだ。あなたは?」
「マナ。マナって、いいます」
天文学部の前で悩んでいた私に声をかけてくれたのが君だった。
「よろしくね、マナ」
「こちらこそ」
私の声は、ちゃんと伝わっていただろうか。
初めての合宿で夏の大三角を探すときにも、私は君の隣だった。
「あれがデネブアルタイルベガ♪君が指差す夏の大三角♪」
「おーぼーえーてー空ーを見るー♪」
「知ってるの!?」
釣られて口をついて出た私の歌詞に、覆いかぶさるようにして突っ込んできた君の姿を、私は忘れない。
それからは空が明るくなるまで二人でアニメの話をしたっけか。星座は忘れて。
「冬も大三角があるよ!」
「知ってるよー!」
そろそろ紅葉も消えかかるという頃に、君は低い山頂で返事をする。
「きっと、見に行こうな」
ボーっとしていた私の首に腕を回しながら近づく顔に、思わずマフラーで赤面を隠した。
「うん」
真奈美はいつでも私を笑わせてくれて、惑わせてくれて、世界の楽しさを教えてくれた。
私は逆に彼女の知らない部分を、少しは伝えられたのかなと思う。
そうだったら良いのにな。
「大三角を合わせたらさ、ピザっぽくね?」
真奈美は言う。
「バカじゃないの?」
愛奈は言う。
「コンビニでピザに合うものでも探さない?」
「コーラ以外思いつかないくせに」
「いいや他にもあるぞ? ポティトとかポテチとかポテサラとか」
「じゃがいもばっかじゃん」
私は笑う。きっとこの先も、ずっと二人でいられる未来を想いながら。




