今世のはじまり
暗いな……ここはどこだ…?
あぁ私は死んだのか。最後に覚えているのは……小さい子供の顔か
あぁ思い出したぞ。私はあの子に殺されたのだ。
まだ10歳にも満たない子供が私に向かって剣を握り立ち向かってきた。たしかあの子は一国の王子だったか……?
憎しみや畏怖、様々な感情が混ざり合った顔で私を見ていた。私は何をしたのだ…?
まあそんな事はどうでもいい。私は自分の名すら思い出せないのだ。覚えているのは……崩壊した国で死体の上に立っている自分の姿。あの小さき子供は私に家族を殺されたのではなかろうか…?
まあもう終わった事だ。無理に思い出さなくても良いだろう。
このままこの暗い場所でゆっくり眠ろう……
ん……?なんだ少し光が見えてきたぞ
「もうすぐです!頑張ってください!」
女性の声が聞こえた。
何を頑張るのだ……?私はもう死んでいるのに。
そして一気に視界が明るくなった。
「おめでとうございます!可愛らしい顔をした男の子です!」
先程から何を言っているのだ……?
「んぎゃあ!んぎゃあ!《私はもう死んだ身だ!静かに寝させろ!》」
え?……上手く喋れない。
若くて綺麗なブロンドヘアの女性に私は持ち上げられた。
(綺麗な髪の色だな……目もきれいだ)
目の色は髪の毛と同じ金色の瞳。容姿も非常に整っている。
「無事に生まれてきてくれてありがとう。愛しのアレク……」
そんな女性が私に話しかけてきた。
(ん…?アレク……?もしかして私のことか??)
「んぎゃあ!んぎゃあ!《アレクとは私のことか??》」
私は自分の立場が理解できずに困惑していた。
すると視界に男性の姿が入ってきた。
「やあアレク!無事に生まれてきてくれてうれしいよ」
この男性は茶色い髪の毛に赤い瞳。こちらの男性も非常に容姿が整っている。この男性はすごく知的にみえる。
「アレク!俺はパパのウィリアムでちゅよ~!」
前権撤回。
知的ではなく幼稚の間違えであった。
そしてウィリアムと名乗った男性は私を抱えている女性のほうを向き、真剣な表情を浮かべた。
「無事に出産できたよかったよ……アイシャが無事で本当に良かった」
(アイシャ……?私を抱えている女性の名前だろうか)
「そうね。アレクが無事に生まれてきてくれてよかったわ……本当にありがとうアレク……」
アイシャは目に涙を浮かべて私の額にキスをした。
私は周りの状況を確認し、ある一つの結論に至った。
この男性は…私の父であり、私を抱いている女性は母親ではなかろうか?
「これからこの子を立派な人間に育てよう。アレクサンダー……君が生まれてきてくれて本当に嬉しいよ。絶対に不幸な目にはあわせないから」
ウィリアムは私に向かって言葉を投げかけた。
ここまでくれば私の身に何が起きたのかはわかる。
アレクサンダー……今世の名前はアレクサンダーか
そう。
私は赤ん坊に生まれ変わってしまったのだ……




