第2話
「おいミラ?今は何年だ?」
地上…
おそらく、けっこうな田舎だろう…
に降りたった、俺はそう呟いた。
ちなみにミラというのは、G級ツールの人工知能だ。
俺の時代の人間は皆、こいつと同居している。
G級ツール、ミラの能力は、生命維持と、簡単な検索ツールや通信程度の能力だ。
ガキの頃の教師は、今からずっと昔に流行ったとかいう、スマホってヤツの上位互換とか言ってたが、俺はそもそもスマホってヤツを知らない。
「はいマスター。今は2001年です」
ミラは答えた。
ざっと500年ちょっと遡ったってところか。
「場所は?」
「日本、〇×県、〇△市です」
「日本か。場所自体はそこまで誤差はなかったか。まあ、あんな上空に放り出される時点でぶっ壊れてるのには、間違いないんだろうがな?」
俺は亜空間に放り込んだタイムマシンを思いながら言った。
あんな旧式のポンコツを直さずにもう一度使うのは、余程切羽詰まってない限りは、絶対にごめんだ。
俺のバイオツールでなんとかなる程度の場所に飛んだのは、運がよかっただけだ。
「この時代に永住するのでなければ、直す必要があるか。まあ、それはあとで考えればいいとして、とりあえず…」
俺はE級ツール、生体操作(中位)を発動する…
E級ツールは一般人に普及されている中では、最高級ツールだ。
当然、かなりの値段が張る…
同じE級でも、生体操作は、下位、中位、上位の3段階に分けられ、できることの幅も違う。
もっとも操作できるのは、自分の身体に限られるのは、どれも変わらないが…
俺の時代に生きている人間は、ほとんどのヤツが中位以上持ちだ。
何故か…
「おぎゃあっ!!おぎゃあっ!!」
衣服を亜空間に押し込み、生体操作で肉体年齢を逆行させた俺は誰かに気づいてもらおうと泣いた。
そう。
中位からは肉体年齢を自由に操れるのだ。
これにより、俺の時代では、不慮の事故か事件以外で人が死ぬことはほとんどなかった。
かく言う俺も実年齢は130歳である。
もっとも、生体操作(中位)が発売されたのは、約150年前…
俺が生まれるより20年も前なので、俺の生きていた時代には、200歳を超える連中がゴロゴロいる…
まあ、治安も環境も決していいわけではないから、人自体は普通に死ぬがな?
まあ、そんなことはどうでもいい。
まずはこの時代での身分を手に入れる…
可哀想な捨て子…
それを演出しておけば、あとは保護施設が、実に合法的に身分を提供してくれる…
実に合理的である。
三島鋭治のバイオツールをまとめてみました。
G級ツール
生命維持、
人工知能ミラ(スマホ上位互換)
F級ツール1
熱冷耐性
F級ツール2
呼吸補助
F級ツール3
身体硬質化
E級ツール
身体操作(中位)
D級ツール
空間操作(簡易)
B級ツール(破損)
???