プロローグ
生存報告がてら、一作品作ってみました。
アメ転はもうしばらくお待ちください。
「もう逃げられないぞっ!!お前はもう終わりだっ!!」
建物の外から警察官の怒声が響く…
「んなことはわかってるわ。クソがっ!?俺はバカか?なんで帰国なんかしちまったんだよっ!?」
廃棄された研究施設に立てこもった、連続殺人鬼、三島鋭治は毒づいた。
時は2523年…
今から約400年前、平和ボケしてた時代は終わりを告げ、世界中で核戦争が勃発…
地上はものの見事に世界中が、放射能汚染され、一時は人類の6割が死滅した。
それでも絶滅はしなかったのが、人類の生命力の凄まじさというべきところだろう。
俺が立てこもった廃研究所の中に、次々と警察官が侵入してくる…
途中、いくつかの簡単なバリケードは張ったが、このままでは、俺がいる三階に到達するのも時間の問題だ。
「クソッ…全部アイツのせいだ…何がこの研究所内には、バイオツールが残ってるだ?あるのは、エラーランプの点きまくった危ない化石みてえなタイムマシンだけじゃねーかよっ!?」
俺はここにバイオツールが残っているなどと、ふざけたことをほざいた情報屋を思い浮かべ、殺意のこもった言葉でそう言った。
仮に本当にバイオツールが…
S級やA級は無理にしても、せめて認可の降りていないB級やC級ツールでもあれば、外の警官共相手に多少の善戦はできたかも知れない。
だが、残念なことにここには最下層G級ツールすら残っていなかった。
まあ、G級なんかあったところでどうしようもないがな。
バイオツールとは何かって?
バイオツールは人類が放射能地獄…大気汚染…その他最悪な今の地球環境に対応できるよう、開発された生体に埋め込むことで様々な能力を発揮する道具だ。
俺もそうだが、今の時代のガキは地下都市で生まれた瞬間に、G級ツールを体内に埋め込まれる。
そうしないと3日持たずに、死んじまう。
俺は手持ちのバイオツールを頭に思い浮かべる…
G級が1つ…
F級が3つ…
E級が1つ…
D級が1つ…
それと、酷使しすぎてぶっ壊れたB級が1つ…
そもそも、このB級ツールがぶっ壊れてなければ、わざわざ危険を犯してこんな研究所に来ることもなかった。
S級なんていう国家機密レベルのイカれたツールは別として、D級からのバイオツールは、その危険性から、一般人には手に入らない存在だが、B級から上は、完全に軍用ツールである。
つまり何が言いたいか?
「下にわんさかいる、D級ツール標準装備の国家権力共を皆殺しにするのも、隙をついて逃げるのも、ぶっ壊れて機能しないB級ツールと、この数のお巡りを相手にするには、あまりに頼りない、D級ツール一つじゃ、どうにもなんねーよ!!」
というわけだ。
さて、とまあ、現実逃避したわけだが、俺に残された選択は少ない。
1つ、大人しく投降する。
まあ、確実に死刑だろうな。
俺はさすがに殺し過ぎている…
却下だ。
1つ、下のお巡りとドンパチやって、お巡りを皆殺し…もしくは、数人殺って、隙をついて逃げる。
まあ、その場でぶっ殺されて終わりだろうな?
勝てるわけがない。
却下だ。
そして、最後の1つ…
半ば自殺に近いこの方法…
いや、もはやこれしか助かる可能性のある方法は残されていないと言っても過言ではない。
「まあ、これも半分以上は死ぬと思ってるが、他の二つよりはだいぶマシだ」
俺は言いながらタイムマシン…
エラー表示だらけのイカレタ化石に乗り込む…
未来か過去…なんとかその初期設定だけは、選べるようだ。
俺は過去を選ぶ…
何故か?
現代世界の軍でもなんでもない、お巡りの相手すらできない俺のツールで未来になんか逃げたら、本物の自殺になってしまう…
こんな時代遅れのツールで、未来人相手に何かできると思ってるほど、俺はバカじゃない。
時代設定の目盛は完全にイカれていて、まるで今ではレトロゲーム屋にしか置いていない、スロットとかいうマシンが回転しているみたいになっている。
その時だ。
ドタドタと、俺を追うお巡り共の足音が聞こえてきた。
もう迷っている時間はないようだ。
俺は覚悟を決めてタイムマシンの起動ボタンを押した。