EP06 登録
本日分はこれだけです。
また明日
冒険者ギルドというのは、想像していたよりも汚らしい場所でした。
床は適当に掃除されているのか汚れだらけ、机も食べカスで汚れています。
酒場を兼任しているのでしょう。
受付には誰もいませんが、呼び出しのベルはありますね。
リンリン
ベルを鳴らすと、眠そうな女の人が出てきました。
.......綺麗な人ですね。
もっとも、僕のタイプじゃないんですがね。
ただ、肌の手入れを欠かしているせいか、出来ものだらけですね。
顔、洗ってるんでしょうか?
ああ、水道も無いですし難しそうですね。
「....何か用かい?」
「ここが冒険者ギルドですか? 随分と寂れてますね」
「ああ、昼はこんなもんさ......」
「ここはどういう施設なんですか?」
「ああ!? あたしを馬鹿にしてんのか?」
「ええ、馬鹿にしてるかもしれません...ですが、そんな事はどうでもいいんですよ...僕は冒険者についての情報を知りたいんですよね、教えてくれますか?」
「..........ああ、冒険者ってのは....一般人の代わりに仕事を受けて、薬草採取やアルバイト、清掃業務から魔獣との戦い、戦争への参加までを請け負う仕事で、冒険者ギルドは仕事を受けたり、冒険者の身分を証明するのが役目さ」
「ふむ......登録とかそういう感じですか?」
「そうだな、兄サン登録していくかい?」
「勿論ですね」
「銀貨5枚だぜ」
「...........高くありませんか?」
「偽造防止の為だよ」
「なるほど」
なるほどですね。
偽造防止のため、ですか.........
「嘘はやめてくださいよ」
「なっ!?」
「道中で聞いた情報では、登録は銅貨3枚で出来るそうですけどね」
「ね、値段が変わったんだよ」
「僕が見せてもらった冒険者カード、随分と粗末なつくりでしたが、果たして銀貨5枚なんでしょうか?」
銀貨一枚でそこそこ良いお宿に泊まれますからね。
それに、冒険者はどうもはみ出し者や夢見る若者のために存在している職業だと思います。
登録に銀貨5枚は高すぎますね。
ガムドに見せてもらったカードも、特に高そうな感じでは無かったですし。
「因果支配。このギルド内において、あなたはウソをつく事が出来ない」
「ウソなんて、あたしは..........あ、あたしがやりました.....あたしが!? あたしが値段を偽りました」
「よろしい....では、銅貨3枚でやってくれますね?」
「は、はい」
本当はこの場で殴り殺してやりたいくらいですが、我慢します。
信用取引の場において嘘を吐くのは、散々やられたことですからね。
「えっと、これが登録票になります.......文字は書けますか?」
「いえ、無理です」
代筆もやっていそうですね。
この世界は教育水準が低いですし、文字が書けない人の方が多いでしょう。
僕もまだまだこの世界に来たばかりで文字はある程度しか理解してません。
200程のパターンの文字で文章を構成する言語のようですが、一覧が分からない以上文字は書けません。
「だ、代筆はあたしが、鉄貨6枚でやってます」
「お願いします」
僕は頭の中で文章を組み立てる。
「名前は新、苗字は淀水ですね、住所は..........うーん、どうしましょうか」
東京都港区六本木のタワマンなんですが、この世界にあるとは思えませんね....
「書かなくても問題ないすよ」
「ああ、そうですか.....年齢は多分26、職歴は.......まあ事務作業を少々」
この世界に株式会社も社長もありませんし、エッジライトコーポレーションと言っても誰も分からないでしょう。
「戦闘経験はない感じなんですか?」
「はい、これから積んでいきたいと思っています」
この世界は争いが多いですし、護身術も身に着けた方がいいですかね。
死にたいのに死ねない身分なので、捕まって実験材料になるのは嫌ですからね。
「はい、書き終わりました..........発行に時間取りますんで、そこらへんで待っていてください」
「ありがとうございます」
僕は適当に椅子に腰掛けて、周囲を見渡します。
全体的に汚い印象を受ける場所ですが、掃除などは全てあの人がやってるんでしょうか?
大変ですねー。
「発行できましたー」
「はい、どうも」
僕はカードを受け取ります。
うん。ガムドさんのカードと同じですね。
「そのカードは鈍色、つまり最低ランクっすね」
「なるほど、上げる方法は?」
「ひたすら依頼をこなすしか..........でも今日はロクなのないっすねえ」
受付さんが見た方向を見れば、先程も見えたコルクボードがありました。
そこには数枚の紙がピンで留めてあります。
「読めるなら、上から教えて欲しいですね」
「いいっすよ........【森蜥蜴討伐】【小鬼討伐】【便所掃除】【迷子猫探し】っすね」
「全部受けます」
「マジか!? ………..分かりました、死んでもギルドは責任を負いませんが?」
「問題ないですね」
多分問題ないでしょう。
「全部受ければ、速攻で昇格できるっすね........けど、死にますよ?」
「大丈夫ですね」
僕は依頼を受け、ギルドを後にしました。
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