EP04 街
だいぶ―――大体二日ほど歩いたところで、僕は街にたどり着きました。
脆そうな城門に囲まれた街ですね。
水道があるようには見えませんし、かなり不潔なのかもしれません。
ともかく、何もしなければ何も始まりませんし、僕は城門前まで行くことにしました。
「しかし......中世世界にしては、やっぱり変ですね」
城門前は結構人が居るのですが、全員が武器を持っているわけではなく杖などを手にしている人もいます。
ワンドと呼ばれるものではなく、先端に水晶のついたもの等です。
あれで殴ったところで大してダメージは与えられないと思うんですけど.......ひょっとして馬鹿なんでしょうか?
ドン!
その時、僕は誰かにぶつかられました。
気付かなかったので視線を下げると、子供が逃げていくところでした。
僕から物を掏ろうとしてたんでしょうか?
とりあえず、骨にならない程度に能力を使っておきましょう。
「ぎゃっ.......」
「オイ、突然倒れたぞ.....?」
僕は携帯してるものは特に無いんですが、一応調べておきましょう。
倒れた子供に近寄り、何故か歪んだ顔を裏返した時に見ます。
死んでなお人を不快にさせるのは凄いですね。
それと、特に盗まれたものはありませんでした。
「し、死んでる!」
「貧民のガキだろ、変な病気に罹ってたんだ」
「近寄らねえようにしないとな」
ああ、その子供病気だったんですか。
道理で能力を使った時、すぐ動かなくなったんですよね。
骨にするのはまずいので、慌てて抑えたんですが良かったです。
街の中に入りました。
審査とかあるのかなー、と思って居たのですが、眠そうな衛兵と少し会話を交わしただけで入れました。
街を守るのが役目なのに、あんな態度じゃすぐ死にますね。
まあ、そういう人間が先に死んでくれると、僕らが生き残れる分が増えるのでいいんですが。
「オイ、兄ちゃん!」
「何でしょうか?」
いきなり、臭そうな中年の男が話しかけてきました。
本当に臭いですね。
「見たところ、この街に来たばっかりだろ? どうだ、安くしてやるからウチで飯でも........」
「あ、遠慮しておきます。臭そうで.....臭いが移ったら困るんで」
「な、何だとこのやろ――――ぎゃあああああああああああーーーーー!」
どうして、この世界の人々は僕が握手したり話したりすると襲い掛かってくるんでしょうか?
さっぱり分かりませんが、とりあえず骨にするとまずいので、また手加減しておきましょう。
それに、力を使う度どんどん消耗するどころか、力が増しているような気がします。
この世界に来て、恐らく一旦死んだ僕の身体がどうなったか分かりませんが、いずれは耐えきれなくなるかもしれません。
骨になるまで力を使えば、恐らく力が増える要因となる何かを吸い込んでいるんだと思います。
「あなた、大丈夫!?」
「あー? あえー?」
「あなた!? どうしたの!? 言葉が分かる?」
「あうー! ああああー」
「あなたッ!」
背後から女性の声が響いてきます。
煩いですね........
「待ちなさい! あなたが何かしたんでしょう、こっちに来なぎゃあああああああああいああああああああっ!」
おっと.....近づいてくる動きが、ずっと前に僕を騙した女に似ていたのでつい能力を使ってしまいました。
なるべく能力を使わないと決めたのにこんなことでは申し訳が立ちませんね。
倒れた二人に人が集まりますが、僕は黙って立ち去りました。
自分が悪いわけでもないのにその場に留まれば、痛くもない腹を探られますからね。
瓜田に履を納れず、李下に冠を正さずです。
とりあえず街の掲示板を見る限りでは、冒険者ギルドとやらに行けば、当面の目標は手に入るかもしれませんね。
考えてみたら、僕に変な呪いをかけたあの神を何とかすれば僕は死ねるんですよね。
せめて能力の説明くらいは欲しかったですね。
そう思った時、目の前に一枚の封筒が落ちてきました。
『ようやく行動を始めたバカへ 邪神ヴァラウディスより』
ありがたい限りですね。
アフターサービスが充実しているとは、僕の潰したライバル企業もびっくりですね。
あの会社はアフターサービスどころか、詐欺まがいの事を行っていましたからね。
まあそんなことはどうでもいいので、僕は手紙を開いて読み始めました。
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