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EP26 足掻き

「おはようございます、ご主人様」

「はい、おはようございます」


昨日夜更かししたせいで、いつもより二分も遅く起きてしまいました。

いつも通り飲み水で顔を洗い、着替えてからシエルの作った朝御飯を頂きます。

パンとスープ、ベーコンエッグですね。

卵は足が速いですが、ポケットに入れている限りは問題ないので、栄養価の高い非常食ですね。

ただ、火を通さないとこの世界の卵は雑菌だらけなので死にます。

あと、ベーコンはかなり高級品です。


「......美味しいですね!」

「そうですね、多すぎず少なすぎず、栄養バランスも考慮されており、非常に理想的な朝食と言えるでしょう」


いくら製法を知っていようと、初めてというものは中々作れるものではないのですが、問題なく作れています。

前世ではシリアルで済ませていましたが、このような形もまた一興ですね。


「そういえば、今日宿の外が騒がしかったんですけど、何かあったんでしょうか?」

「さあ? 分かりませんね........」


特に騒がれるようなことは起こらなかったと思うんですが........




朝食を終え、荷物をまとめて出る準備をします。

もうこの街に滞在する理由もありませんしね。


「忘れ物はありませんか?」

「はい!」


小さなものでも、忘れるともう戻れませんからね。

替えの利くものであれば問題ありませんが、一部のものは忘れてしまうとどうしようもありません。

想い出は金で買えない――――と誰かが言ってましたからね。


「では、出ますよ」

「はい!」


僕らは宿の1階でチェックアウトを済ませ、外に出ました。

そこに放置していた死体は綺麗さっぱり消え去っています。

片付けたんでしょうか?


「どうしましたか?」

「いや.......何でも無いですよ」


僕はそのまま、シエルを連れてその場を立ち去りました。




門から外に出た僕たちは、次なる街を目指して歩き出します。

道中には魔物がよく出没する森を抜ける街道、夜には魔物が出るらしい草原があるそうですが、今更気にもなりませんね。


「シエル、地図は把握しましたか?」

「はい、ばっちりです!」

「よろしい」


ここから先は長い旅になります。

徒歩での移動は健康な生活を心がける上で重要ですから、横着せずに行きましょう。


「では、行きまし――――――」


その時、僕は気付きました。

自分の意識が朦朧としていることに。

隣を見れば、シエルが倒れていました。


「何が――――――」


それを確かめる前に、僕は眠りへと落ちました。







気付くと、どこかに寝かされていました。

知らない天井ですね…


「おや、目覚めたかい」


視界に、知らない顔が映りました。


「まさかここまで苦労することになるとは思わなかったさ、そう思わないかい、人殺し」


声の主は、中年の女でした。

笑みを浮かべてはいますが、目が笑ってませんね。


「中級催眠魔法を無効化するとは、流石は快楽殺人者ってわけかい」

「殺人者?」

「惚けても無駄だよ、善意ある通報であんたが殺人者だってのは分かってるのさ」

「正当防衛をしたまでなんですが」

「正当防衛で身体を真っ二つに引き千切る必要があるかい?」

「飛びかかられたので引き剥がそうとしたら、力加減を間違えまして」

「ハッ、よく言うよ。そんな力がそんなひょろひょろの体から出るわけ無いだろう」


どうやらこれ以上の会話は無駄のようですね。

しかし、脱出する前に色々と聞いておきましょう。


「僕はどうなりますか?」

「ま、順当に言って死刑さね、安心しな。死ぬときには催眠魔法を掛けてやるから」

「シエルは?」

「可哀想にねえ、奴隷契約は主人が死ねば無効になるから、あんたから解放されて自由の身さあ」

「そうですか…」

「あんたの処遇は今夜決めるのさ」

「ところで、貴女は?」

「アタシはロレイン・マーキュリー。金級冒険者だよ」


なるほど……催眠魔法を使われたのは盲点でしたね。

魔法の全体が分からなかったのですが、恐らく「なんでもあり」と考えてもいいでしょう。


「じゃあ、アタシは話をしてくるけど…逃げようなんて思うんじゃあないよ、その枷はオリハルコン製だからね」


ロレインはそのまま扉の音と共に出ていきました。

…話を聞く限り、シエルは誘拐されたと考えていいですね。

僕は無実の罪でこうして拘留されていると。

今すぐ動きたい気分ですが、夜を待ちますか。

夜陰に乗じてシエルを救出、宣言通り街に火を放って逃げましょうか…ああいや、僕に経済的損失を与えて、尚且つ無辜の民と言い張る彼等にも制裁を与えましょう。

後は路銀でも回収して行きましょうか。


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