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EP20 夕食

お待たせしました!

タイトル通りの飯テロ回です。

あの後ギルドで納品を済ませた僕たちは、宿に戻ってきました。

シエルが食事を作ってくれるようになったので、食事付きの宿から自炊式の宿に変えました。

その分サービスはよく、ベッドが少し質の良いものになっていますね。

僕が明日からの予定をノート(一冊500銀貨)に纏めている間に、シエルが台所に立ちます。

鼻歌と共に野菜を切る音が聞こえてきます。

以前は意識したことはなかったのですが、こういう瞬間もいいものですね。


「………そろそろ移動しますか……」


僕は、最近の収入と支出、街やギルドの人に聞いた話などを纏め、この街から移動しようかと思いました。

そもそもこの街はかなり辺境で、東南を巨大な山脈に囲まれています。東には海が広がっているらしいので、北に進むしかなさそうですね。

今の僕らのレベルならば、もう少し奥に行っても大丈夫だと思います。

加えて、レアロンという都市が存在し、隣接している他国と戦争になりそうだという話も聞きました。

戦争、それはとても良いものではないでしょうか。

簒奪で得られる能力と力は、人間と魔獣で以下のように分かれます。

人間なら技能系、魔獣ならば攻撃、身体部位強化系。

力ならば、人間は魔獣より得られるものこそ少ないですが、知識や経験が多く得られます。

戦争に参加すれば、技能系の能力と、知識や経験を豊富に内包する人間(記憶カプセル)がたっぷりと得られるわけです。


「出来ましたよ、お兄さん」

「わかりました、今片付けます」


僕が片付けたテーブルの上に、コトリゴトリと音を立てて料理が並びました。

まず最初に目に写るのは、僕が採った野菜が大量に入っているサラダボウルですね。

水洗いと因果支配による殺菌は完璧なので、美味しく頂けると思います。

中央に置かれたのは、恐らくキノコグラタンですね。

僕がキノコも採って来たので、それを大脚鶏(ビッグレッグチキン)のもも肉と共に料理にしたのでしょう。

最後に、全体的に赤いスープ。

トマトらしき野菜が市場にあったのは知っていますので、それをメインに使ったんでしょうね。

大根のような野菜も見えますし、歯応えが楽しめそうですね。

パンは普通です。

一般庶民に流通している、酸っぱい黒パンですね。

雑穀パンなので、栄養は間違いなくあります。


「では、頂きましょう」


自分も食事を“楽しむ“為に、因果支配で料理のデータを脳に入れたのですが、やはり……シエルの作った料理は何かが違うのです。

自分で作ったり、店で食べる料理とはまた違う何かが。

それは製法や、調味料に左右されるものではないと僕は思っています。


「なるほど、美味しいですね」

「ですよね! 作っている時に味見したくてしょうがなかったです!」


キノコグラタンが美味しいです。

いえ、基本的にあまり美味しくないのはサードパーティ製の黒パンだけなんですが。

ただ、この世界でキノコグラタンを作ろうとすると少々高くつくのが難点ですね。

マカロニはあるんですが、バターと牛乳がそこそこ高いです。

バターは当然として、牛乳はナマモノですからね。

これを2人前作るだけで銀貨が顔を出すほどです。


「ドレッシングがないので不安でしたが…なるほど塩だけでもここまで食べ易いとは思いませんでした」

「サラダはあまり手が掛からないので、気に入ってくれたなら嬉しいです!」

「手を抜いたら追い出しますよ」

「手は抜きません!」


スープを匙で(こちらの世界にはナイフとフォークしか無かったので自作しました)掬って飲むと、確かに美味しいことがわかります。

具は大根擬きと人蔘擬き、あとは恐らく豚肉でしょうか。

肉と野菜の出汁がよく出ていますね。

以前は意識していなかった出汁という概念ですが、漸く理解できました。

スープという形にしなくとも野菜をそのまま煮て煮汁ごと飲めば良いと思っていましたから、食事がここまで奥深いものだとは知りませんでしたね。

そして、これら料理のサラダを除くどれもが、とても濃いので…パンが必須です。

あの邪神のチョイスなのでしょうか?

パンをちぎり、料理を口にし、パンを食べる。

そのローテーションを繰り返しているうちに、料理は無くなっていました。

…………食事を生涯の目標にするのも良いかもしれません。

何故人が生きるのかも何となく分かったような気がします。

一時的な快楽ですが、確かに食事の快楽を体験してしまえばそれから逃れることは難しいでしょう。

ただ、これはただのこじ付けに近いです。

食事の為だけに人が命を掛けられるのは確かなのでしょうが、もっと……一人の人間を突き動かせるような何かが人の生涯にはあるのでしょう。


「食事中ですが、明日からの予定を言います」

「もぐもぐ…はい!」

「とりあえず、この街を離れようと思います」

「!」


シエルが固まりました。


「定住する気はないので、この街から離れてもっと都心に近い場所へと赴こうと思います。ですが、聞けば戦争が起こりそうな都市があるそうで」

「戦争に参加して勝てば、褒美を沢山もらえる…とかそういう事ですか?」

「褒美かどうかは知りませんが、僕はかなり得しますね」

「じゃあ、準備をしないといけませんね!」

「ええ」


明日から、出発準備を始めませんと。


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