EP19 採取
遅くなりました。
明日から二日間更新休止します。
薬草採取、というのは大変だ。
私は今、それを行っているけれど。
「よいしょ」
お兄さんから渡された籠に指定された草を優しく摘み、入れていく。
草の種類は見分け方が難しいみたいだけど、終わったらお兄さんが分別してくれるので、それらしいものを見つけたら躊躇なく摘んでいる。
お兄さんは相変わらず、私に対して優しくはない。
けど、お兄さんが平気な顔で人を殺すのを見ている以上、優しい態度にしか見えない。
だから私は、奴隷として喜んで従う。
「..............今は何をしているんだろう?」
お兄さんは私が作ったご飯を気に入ってくれたみたいで、この間作ったシチューは好評だった。
死んじゃったお母さんがよく作ってくれたもので、お父さんもたまに作ってくれた。
下手だけど.......それでも、私と一緒に作ってくれて、とても美味しかった。
「..........うう.....」
泣くなって、言われてたけど..........
思い出すと涙が出てくる。
不思議と、奴隷として売られて、寒さやひもじさに襲われていた時は涙なんか出なかった。
ただ鬱屈としていた。
お兄さんに拾われて、また人間として扱われるようになってから泣くことが多くなった。
でも、私が泣いているところを見たらお兄さんは私を叱るだろう。
人がどう思って居るかは特に気にしない人だから。
「泣いてる場合じゃない」
お兄さんが戻ってくる前に、バスケットを一杯にしなきゃ。
依頼の詳細は教えてくれなかったけれど、多分沢山取らなきゃいけないはず。
失敗すれば、私は御主人様の顔に泥を塗ることになるから、奴隷としては失格だ。
そしたら、私はお兄さんに無表情で殺されるかもしれない。
私はさらに山奥へと、足を踏み入れた。
「弱いですね」
僕の前で巨体が倒れました。
少し奥に入ってキノコなどを見識で見つつ採取していたのですが、どうやら”ヌシ”に見つかったようですね。
充分に年を経た森林では、内部の縄張り争いで力関係が整えられ、その頂点に立つ動物が君臨するという事は知っていました。
実際に目にしたのは初めてでしたが、簒奪で骨にしたので問題ありません。
〈剛力〉、〈頑丈〉、〈爪闘術〉を新たに手に入れましたので、利用法も考えておきましょう。
「簒奪は便利ですけど、能力か肉かどちらかを優先しないといけませんね」
肉部分が必要になる時は因果支配で息の根を止めた方がいいでしょう。
今回のヌシは熊だったので、容赦なく簒奪させて頂きました。
手に入った能力こそ大したことありませんでしたが、この山のヌシを倒したことで〈森主〉という能力も手に入りました。
これは能力というか称号の様なものらしく、ここいら一体の動物や魔獣の上に立っているという事なのでしょう。
「そうだ、これを使えれば呼集が掛けられるようですし、纏めて殺して納品すれば一気に稼げますね」
単純ですが、いいアイデアです。
〈森主〉があれば強制力も働かされるようですし、納品と私用で分けて殺せばいいでしょうね。
「では、やってみましょうか」
僕は能力を使い、森中の動物や魔獣を集めました。
そして、やってきた動物と魔獣を目で見て選定します。
「..........小動物は要りませんね、”この場の小動物は死ぬ”」
リスやウサギなど、肉にしかならないものは殺して一つずつ空間ポケットに入れておきました。
その間も動かない魔獣と動物ですが、一体ずつ確認してから殺して、また仕舞いました。
適当な魔獣も簒奪で殺して、〈突進〉、〈悪食〉、〈毒耐性〉、〈火魔法〉、〈咬撃〉、〈呪い〉を獲得しました。
後は、〈森主〉が〈暴君〉になっていましたね。
これだけのものを手に入れれば統合が出来そうです。
「さて...........目的を忘れてしまいましたね」
豊かな食材が眠っているのですから、根こそぎ取らなければ。
そういえば、レシピについてですが、僕が因果支配でシエルに植えつけています。
何でそんなに拘るんですか? と聞かれたので、確かに何ででしょうか? と思ったんですが、最近の自分は以前とは違う行動に走る事が多いです。
何かを変える時には、変化を恐れることこそが最も大きな障害となります。
なら、僕もこの感情の思うままに動いてみるべきでしょうね。
「バジルらしいものもあるみたいですからね、探してみませんと」
僕は足を早め、その場を後にしました。
◇アラタ・ヨドミズ 26歳
<祝福能力>
〈簒奪〉(F)
〈因果支配〉(F)
〈異世界言語〉(--)
〈六大魔眼〉(--)
〈能力改竄〉(--)
<肉体能力>
〈冒険知識〉(B)
〈狩人〉(E)
〈奴隷使い〉(E)
〈浮遊〉(G)
〈剛力〉(F)
〈頑丈〉(G)
〈突進〉(G)
〈毒耐性〉(F)
〈咬撃〉(G)
<魂魄能力>
〈土魔法〉(G)
〈火魔法〉(G)
〈呪い〉(G)
<その他>
〈暴君〉(--)
〈悪食〉(--)
◇シエル・ラーウェル 堕天使 9歳 奴隷
<祝福能力>
〈守護天使〉(--)
<肉体能力>
〈拳闘術〉(G)
〈家事〉(E)
<魂魄能力>
〈堕天之翼〉(--)
<その他>
〈邪神の加護〉(--)
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