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EP18 戦闘

遅くなりました、申し訳ないです

街外れの洞窟へと移動した僕たちは、さっそく奥へと進みます。


「僕とシエルは夜目が効く」


そう呟くと、暗闇がはっきりと見えるようになりました。因果支配はどうやら、個人の顔と名前が一致していないと使えないようです。


「…来ましたね」


この洞窟に生息している蝙蝠は、夜に外に出て作物を食い荒らしたり家畜や人間を襲ったりするそうなので、元の世界の蝙蝠とはだいぶ違うことがわかります。


「任せます」

「はい!」


シエルが右手を前に突き出すと、そこに何かの力が集まったような感触を覚えました。

なんでしょうか…?


「ブラック・マジック・アロー!」


右手の先から黒い矢が何本も打ち出され、何かに当たって小さい悲鳴が聞こえました。

同時に、開いていた〈見識〉の魔眼に情報が表示されます。


黒魔法(ブラックマジック)の矢(アロー)

魔力を消費して魔法の矢を作り出し撃つ。

魔法矢(マジック・アロー)〉よりも威力が高い。


なるほど、〈堕天之翼(アザゼル)〉に組み込んだ〈黒魔法〉由来の技術でしょうか?

統合しても技術自体は消えないのは面白いですね。元々能力として発現したものと、統合で獲得したものは効果が違ったりするのでしょうか?


「続けてください」

「はい! 〈堕天之翼〉!」


彼女が本来の姿を取り戻します。

どうも種族を見る限り、堕天使らしいんですよね…

空とか飛べるんでしょうか?

飛べたらどうなるという話でもないのですが。


「攻撃開始!」


翼から黒い球が飛んでいき、奥で爆発…いやm、急激に膨張して悲鳴が響き、後には何も残りませんでした。

最初からこれでよかったのでは?


「うっ……」

「どうしましたか?」

「魔力が…半分以上減りました…」


魔力とは体力みたいなものなのでしょうか?

この世界独自のエネルギーリソースのようなので、理論的でない理解しかできませんね…


「残りは僕がやりましょう」


僕自身に攻撃能力はないんですが…


「簒奪」


襲いかかってくる蝙蝠を纏めて視界に入れ、簒奪を発動。

〈浮遊〉というあまり喜べない能力と、かすかな力を奪い取り、骨が転がってカランと音を立てました。


「終わりましたよ、次に行きましょう」

「……はい!」


少し辛そうなシエルですが、どうしようもないので諦めましょう。

恐らく〈堕天之翼〉は変身ヒーローものの“必殺技”とかそういう類のものなのでしょう。

戦いに終止符を打つに相応しいですが、連発は厳しい。核兵器などの決戦兵器などと同様ですね。

そうなるとやはり、シエルには本来の役割である盾役に特化してもらった方がいいでしょう。

僕は早速〈浮遊〉を自分の能力に統合しようとしたのですが........統合できませんでした。

非常に残念です。




またいつもの場所(トンドの森)に移動した僕たちは、前のように奥へと進みます。

シエルを前に出し、自分は後方で索敵をします。


「………変ですね」

「何がですか?」

「いえ。いつもならこの辺で蜥蜴が襲ってくるのですが………」

「いつも?」

「はい、ここには何度も足を踏み入れて、襲って来た森蜥蜴を殺して持ち帰ってるんですよ。」

「そうなんですか…」

「その時にですね、傷を負ったやつを生かすとですね、巣穴に連れて行ってくれるんですよ。そこに襲撃を掛けてまとめて殺して持ち帰るのを繰り返しているんです」

「うっ…な、何でもないです」


シエルが一瞬口を抑えましたが、直ぐに首を振って僕に答えました。


「なので、そろそろ出てきてくる頃合いだと思ったんですが…変ですねぇ」

「それ…お兄さんを怖がって出て来ないだけかも…」

「いえ、奴らにそんな知能があるとは思えませんね」


敵を侮るなかれとはいいますが、こうも毎回綺麗に騙されてくれると無知なのではと疑ってしまいます。

動物と何も変わらないんでしょうね…


「あっ!!」


その時、僕に小さな何かが襲いかかりました。


「シエル!」

「はい! 〈光盾(ライトシールド)〉!」


シエルが僕の前に飛び出して、籠手を構えて何かを叫びました。

すると光の盾としか形容できない何かが現れ、襲撃者の攻撃を弾きます。


「はあっ!!」


そしてシエルが、自然な動きで剣を抜いてそれに斬りかかろうとして……止まりました。


「どうしましたか?」

「こ…これ………」


襲いかかってきたのは森蜥蜴…のミニバージョンでした。通常の緑と違い色が赤いのを見るに、生まれたばかりなのでしょうか?


「これがどうしたのですか?」

「ま…まだ子供だから…」

「何を言っているんですか、子供は希少じゃないですか、この間の巣に卵が残ってたんですね」

「お、お兄さん………こ、この子だけは……」

「はぁ…“殺しなさい”」

「うっ…はあっ!!」


鮮血が舞い、シエルの鎧と顔に血飛沫が掛かりました。


「シエルは清浄である」


因果支配で血を消してやり、僕は森蜥蜴幼体の死体に歩み寄りました。


「内臓も無事みたいですね、これは高く納品できそうです」

「……お兄さん…」

「大丈夫ですよ、他にも居るでしょうが、殺したりはしません。恐らくこの森の森蜥蜴は全滅しているでしょうし、狩りすぎて絶滅すれば他の人間の仕事を奪ってしまいますからね」

「……そういうことじゃ…ないのに」

「………」


ならば何を言いたかったのでしょうか?

僕はあの死んだ奴隷が最後に何か言おうとした事を思い出しました。

人の心とは、分からないことばかりですね………


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