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EP01 転移

最新作です。

頑張って更新いたします。

何故人は生きるのだろうか。

僕は、ずっと疑問に思って生きてきた。

笑顔を浮かべた裏で、親すら利用して投げ捨てる。

そんな生に、意味はあるのだろうか?

その疑問は、巨万の富を築き上げても、人から最も他人のために尽くしたと賞賛されても消えなかった。

この世界は無駄だ。

生きることも、死ぬことも。

全て無駄なのだ。

だから僕は、自ら命を絶った。

止まない疑問に終止符を打つ為。







『……ここは?』


命を絶ったと思ったら、よくわからない場所にいた。


『ここは冥府と人界の狭間、あらゆる世界が集う場所…』


誰かの声が、いきなり響いてくる。

気持ち悪い声が反響して、更に気持ち悪い。


『貴様、我を気持ち悪いだと!? 神である我を悪し様に嗤うか!?』

『いえ、正直な感想です…嘘を言ってもしょうがないですし』


嘘をつく事による一時的なメリットはあるかもしれないが、バレる確率の方が高い上に、その場で見破られればその後長期的な信用も失う。


『むぅ…嘘ではない様だな』

『あの…どうでもいいんで、早く死なせてくれませんか?』

『何故死に急ぐ?』

『無駄な命を生きる事に疲れたので』

『ふむ..........お前にいい提案があるのだが』

『それはおいておいて、僕を死の虚無に放り込んではくれませんか?』

『それは出来んな、せっかく捕まえたんだからお前で楽しませてもらう』

『そうですか、契約期間は? 報酬は? 死んだらちゃんと死ねるんですか? 契約書を見せてください、漏れが無いか確かめますので』

『そのようなものは無いが.....』

『じゃあ死なせてください、口頭による取引なんて僕はしませんよ』


口頭による取引は複雑な手続きが要らない分、情報をあえて提示しないことで騙されやすく、尚且つ後で不満を訴えたところで各個たる証拠である契約文が存在しないことから、幾らでも逃げられる。


『........貴様を、我の統治する異世界へと転移させようと思うのだ』

『全く魅力を感じませんね』


何処へ行ったところで、尽きない生への疑問が途絶えることは無いだろう。

その世界でも人々は無駄に生き無駄に死ぬ。


『まあ待て、お前に希望する能力を授けよう、憧れないか? 人の枠を外れ、世界に干渉出来る事象に』

『人を超えたところで、自分の精神が人なら、意味はないんじゃないですか?』

『ええい、貴様は我には逆らえぬ、言うがいい、どんな能力も授けてやる』

『じゃあ、あなたを触れずとも一瞬で殺せる能力をください』

『......それは、候補に入れておこう。ただし我の授けた能力では、我は殺せん』

『じゃあ、人から全てを奪える能力とかですか? それとも、大陸を丸ごと支配できる力とかですか? ああ、遠くを見る能力とかもいいですね』


段々どうでもよくなり、適当に能力を羅列する。


『ふむ、よいぞ』

『はあ.......そういうのいいんで』

『では、我が世界へ行くがよい』

『は?』


次の瞬間、僕の意識は闇へと引きずり込まれた。



























目が醒めると、頬を風が撫でた。

息を吸ってみると、冷たく身体に浸透する。


「............ここは.....」


重いようで軽い瞼を開ければ、見たことも無いほど澄み切った蒼穹が虹彩に入り込む。

空は、こんなにも青かったのだろうか?


「.........死に場所を探しますか.....」


ここがどこだろうと、僕には関係ない。

新しい人生などに興味なんてないのだから。

僕は溺死できそうな水場を探し、彷徨い始めた。




結論から言って、出来なかった。

あの神とか言う存在は、どうやらそんなにも僕で楽しみたいようだ。

水に顔を入れた時、違和感を感じたのだが、それは現実だった。

何十秒、何分、何十分、何時間、何十時間と待とうと、一向に苦しくならない。

とっくに数日経ったと思うのだが、飢餓感を感じることも無い。

こうして居続けるのもいいかもしれない。

そう僕が思い始めた時.........


「おい」


水から引き戻された。


「ぷはぁ........な、何ですか?」

「おっ、死体じゃなかったか!」


いつの間にか外は真っ暗だった。

夜らしい。


「誰ですか?」

「俺はガムド・ラーウェルだ!」

「そうですか......邪魔しないでくれませんか?」

「何がだ?」

「そういうのいいんで......死にたいからこうして居たのに、どうして邪魔するんですか?」

「死にたい? お前、見た感じじゃ健康そうだし、死ぬ理由もなさそうだけどな?」

「僕は生きるのに疲れたんですよ――っ!?」


次の瞬間、僕は一瞬にして小脇に抱えられました。

そして、どこかへ連れていかれる様です。


「お前くらい若いんだったら、絶望したくらいで諦めんじゃねえよ! まだまだ人生これからだぞ!」

「降ろしてください!」

「嫌だね! 俺と飯でも食って、話はそれからだ!」


僕は成す術も無く、そのまま連行されるのでした.......








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