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「♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜!」
僕のパートだから前に出て歌詞を口に出す。ライブ中は何曲も歌うからはや着替えも必須だ。
そんな中、ダンスをしながら移動しようとしたら、同じボーカルのタイヨウ兄さんがマイクが音を拾わないと口パクしてきた。
(マジかよ!!さっきまで使えてたじゃん!!!)
貸したいけど…皆耳につけるタイプのワイヤレスマイクだから貸せないのか。
なんとか僕の耳辺りに近づいてもらって歌えば聞こえるか、な?
それとも僕が歌ったほうがいい?
色々思うことはあるけど…、
とにかく、スタッフさんに伝えるにはなんとかこの曲を乗り切らないと。
幸い兄さんと僕の位置は近かったので僕の耳に近づいてもらう。
「キャーーーー!!!!!」
メンバーたちのえっ?て目線やファンの歓声も気にせずに近づく。
ファンサってことで。ウィンクしておこう。
スタッフさん流石、予備のマイクを手に持ってる。OK。ここを決めればあとは最後の立ち位置に向かうだけだ。
「キャー!!」
よし、乗り切ったぞ。何があった?って聞く兄さんたちをよそに、トークへと移行。
タイヨウ兄さんが交換する時間を作らないと。
「SUN!」
小声でそう呼んだスタッフさんと、タイヨウ兄さんはマイクを交換。
とりあえず、もうハプニングは怒らないはずだ。
✾
その後は日本ライブと日本の音楽番組に出るために飛行機へ乗った。
ライブから直行っていうのは疲労困憊で、すぐに瞼が閉じた。
次に瞼が開いたのは
「もう着くよ」
っていうマネージャーさんからの声。
1番早く起きるから、という理由で起こされた僕は隣のヨン兄さんから起こすことにする。
「兄さん、兄さん。」
兄さんは目が悪いので基本コンタクトだけど、寝るときは流石にメガネだ。
(何この色気…。ヤバイでしょ。寝癖とか…これ、危ないでしょ。)
襲われるレベルの色気がメガネを掛けると、ある。
男も女もこの色気は関係ないだろ。ヤバすぎる。
「兄さん、兄さん!」
寝顔パシャリはしてもいいけど、今日のはいつにもましてヤバいから辞めることにする。
ネットに載せたら鼻血ものだ。
「何…」
「ヨン兄さん!もう着くよ。」
「ん〜〜〜!」
よし、これで起きたな。
じょじょに起き出す周りの兄さんたち。
タイヨウ兄さんはどこでも寝れるタイプだから起こすのも慣れている。
肩を叩けば起きるから楽なものだ。
「ありがとうジュン。私はまた席に戻るから。」
そう言うマネージャーさんが席に戻りこの、寝ぼけた空気のまま、支度をするというわけなのか…。
僕は支度終わったし、なんか曲でも聞いておこう。
「何聞いてんの?」
って、イヤホンを取られてアチャーとなる。
「この歌、日本で流行ってるらしいんです。覚えようと思って。」
「ふ〜ん。ちょっと歌ってみなよ。3、2、1、」
「手を伸ばす、その先に〜 って、兄さん!!!!!」
録音されてて、恥ずかしかった僕でした。