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片恋心中  作者: みづは
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10

翌日。

学校に行くと、何となく遠巻きにされているような気がして酷く居心地が悪い。

どうしたのだろうかと周囲に目を向けても、さり気なく逸らされてしまうのでお手上げだった。

疾しい事は何もしてないのだから。

そう思って無視していたが、昼時になって藤原が来た事により謎が解ける。

沢村が坂木の代役を発表したのだ。

早速か。

雅実はうんざりとした溜め息を零し、教室で感じた空気に納得する。

坂木の怪我は事故と説明があったが、生徒たちの間では中島が絡んでいると噂が流れていた。それも無理はない。事故の現場を目撃した生徒が複数いたのだから。

そんな最中、雅実が坂木の代役と発表されたのだ。どう考えても次の攻撃対象は雅実となる。

中島と関わりたくない生徒たちが雅実を避けるのも仕方ない事だった。

ひたすらウンザリする雅実を見て、藤原が「大丈夫か」と言う。

「これが大丈夫なら大抵の事は大丈夫なんだろうね」

嫌味を言ってみるが、「そうか」と相槌が返って来てガックリとする。

「一人で行動したりするなよ、部長の二の舞になるから。出来る限りのフォローは、俺と国枝がしてやるから安心しろ」

雅実の心配をしてくれるが、根本は矢張り国枝の事にしか興味がないのだろう。

それが分かっていたので、雅実も最初から藤原に期待などしていない。黙って肩を竦める。

「まぁ、何とかなるでしょ。それより練習ってしてる?」

周囲に誰もいない事は確認していたが、更に声を潜めて質問する。

国枝は相変わらず衣装の繕いばかりしているし、藤原はそんな国枝を見つめてばかりなのだ。次の舞台ではこの二人が主役の筈なのだが、台詞を読んでいる姿すら見た事がない。

「台本は全部覚えたから」

「へぇ、流石だね」

藤原はこれまでにも舞台に上がっているんだし、主役だって何度も務めたのだから大丈夫だろう。問題は国枝だ。

演技の経験はないようだし、何より引っ込み思案な性格だ。

そう心配していると、藤原がニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。

「国枝なら平気だろ」

「どうして」

全面的に信頼しているような藤原の態度が解せない。

所詮、部活だから。そうは言っても、藤原は一年以上も演劇部に所属して来たのだ。舞台の成功を気にして当然だと雅実は思っていた。

なのに、平然と続けて言う。

「アレは目的の為には手段を選ばない、そういう奴だ」


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