002 お泊り賢者
「ふぅ、ごちそうさまでした」
ゼムは手を合わせながら言う。
「はい、お粗末様でした!」
人懐っこい笑みを浮かべた白髪で身長目測159cmの身長の割に成長している胸の看板娘______もといキャロが言う。
「いい食べっぷりでしたね!」
「料理がおいしかったからね」
そう言うと、キャロは嬉しそうに耳をピコピコ動かす。かわいらしい子だ、客から人気があるのもわかる。
「そういってもらえて嬉しいです、ちなみにお客さんは宿もご利用されますか?」
「うん、そうだよ、部屋空いてるかな?」
「はい!ございますよ!何日ご利用になりますか?」
う~ん、明日何があるかわからないし、とりあえず1泊でいいかな
「じゃあ取り合えず1泊おねがいできるかな?」
「わかりました!ご案内しますね」
「このお部屋になります!」
案内されたのは角の部屋だった。
「うん、ありがとう。おやすみ」
「はい、おやすみないさいです!」
部屋はいい感じの部屋だった、広さは六畳ほどで、角にベット、隣に机としっそな感じになっているものの、とても落ち着くような部屋だ。
ベットに寝転がりながら、これからのことを考える。
まず、自分の正体のことだ。今日一日のことから推測するに、『ゼム』はこの国ではとても偉大な存在のようだ。なんだか自惚れているみたいでいやな感じになるが。
そのことから考えると、僕の正体がばれるのはあまり望ましくない、できる限り隠していく方針でいこう。僕の顔を覚えている人にはきっとばれてしまうだろうけど、それはしょうがない。その時はその時だ。
次に行動方針。しばらくは冒険者として生計を立てよう。それから世界を巡ろう。この国は大変喜ばしいことに人と魔人が共存できているようだけれど、ほかの国がどうかわからないし、何より百年後の世界だ、行ってみたい場所はたくさんある。旧友とも会ってみたいし。
そうと決まれば明日は冒険者登録しなくては。
ゼムは今後のことを考えながらゆっくりと眠りについていくのだった。