prologue
マイリストとかちょっとでも反応あったら頑張って連載します。
魔人と人が戦争をしていた時代。ゼムとゆう、偉大な大魔術使がいた。
彼はこの戦争の在り方に疑問を抱いた。何のために、この不毛な戦争をしているのか?
幸運にも彼にはその故を知るすべがあった。
魔王国の立地は現在のオーディ王国から海をまたいだ遥か北、北極大陸にある。
その大陸はまさに魔境で、地は荒れ果て、雨が降らず、作物は実らず、凶悪な魔物が多く生息している。そのうえ極寒の大地だ。
ぶっちゃけ火を見るより明らかだった。
その答えにたどり着いた(一分ほど)彼は急ぎ北極大陸に飛んだ。
超高速で飛来してくる生命反応に、魔王国は大層驚いたらしい。
彼は、魔国の王、すなわち魔王に、謁見を申し出た。その際人間であることから、信用されなかったが、前線に出ていた女王を治療したことで信用され、魔王と謁見を許される。
そこで魔国の現状を知った彼は、魔王に提案した。
「僕がこの国を救ってあげるよ、その代わり、人間と争うのはやめてほしい。」
その言葉に魔王はあきれながら答えた。
「やれるものならばやってみるがいい、この荒れ果て、天からも見放された、この極寒の大地を救くえるものならば、やってみるといい。その暁には貴様の願いを聞き届けよう」
魔王のその言葉に彼は、優し気な微笑みを浮かべると、その場から瞬時に消えた。
魔王は、逃げたかとひどく落胆した。
しかし、すぐにその落胆は消え去った。
北極大陸全土に巨大な魔方陣が展開されたのである。
その魔法は見る見るうちに世界を緑に染め上げる。
その光景を最後まで見届けた魔王は
「お気に召したかな?」と優しげな顔を浮かべているゼムを見やると涙ながらに感謝を述べた。
「ありがとう、ゼム。貴方のおかげでこの国は救われた。全魔族全亜人を代表して感謝を・・・」
深く頭を下げる魔王。
「いいんだよ、それで・・・、人間との争いをやめてもらえる?」
「ああ、もちろんだとも、ほかならぬゼムの頼み、争う理由ももう消えた。すぐに軍を引き上げさせるとも」
その言葉にゼムは歓喜の表情を浮かべ
「ありがとう、魔王、いやサタン」
こうして人魔対戦は幕を閉じる
はずだった
愚かにも、人の王は、撤退した魔王軍を追い北極にやってきたのだ。
北極大陸を征服するために。
魔国を救った旨を王に告げるためにゼムは急ぎ国に帰った。
魔王と和平を結んでもらうために。
しかし、それは夢物語で終わった。
国王はゼムの言葉に怒りゼムを監獄に押し入れた。
そのことを知った魔王は激怒した。
人の王を殺すために浸行してきたのだ。
その魔王軍は以前までの日にならないほど強力で、士気の下がりきった人の力が及ぶところではなく、人は劣勢だった。
王は事の重大さに気づき、ゼムに泣きつこうとしたが、監獄にゼムはいなかった。
そのころゼムは戦場の中心、その上空に浮遊していた。
人の兵は恐怖に怯え、王への不平不満を嘆き。魔人は友への侮辱に怒る。
その光景にゼムは静かにないた。
ゼムは争いを止めるために動き出す。
ゼムが杖を掲げると、ゼムの周りに極光が発生する。
そのあまりのまぶしさに、人々は彼を神か何かかと勘違いするほどだ。
「聞いてくれ、僕が愛した生きとし生ける者たちよ。」
その声は張り上げているわけでもないのに、戦っているすべてのものの耳に届いた。
「僕は、人が好きだ。魔人も亜人も好きだ」
戦っていた者たちはその手を止めゼノに注目し、武器を落とす。
「同じ世界に生まれ、同じ時代を生き、愛することのできる心を持つ君たちが、僕はたまらなくいとおしい」
サタンはその光景に涙する。自分がしたことの愚かさに。
人の王もまた、涙する。自分のしたことの愚かさに。
「そんな君たちが、殺しあう姿なんて、僕は、もう見たくないんだ。」
ゼムは悲しみの涙を流す
「もし、もしも、僕の願いを聞いてくれるとゆうならば、互いに矛を収めてほしい。手を取り合ってほしい。」
兵士たちは、ゼムの慈愛に涙する。
「そうすれば、この国は、世界はもっともっと良くなると思わないかい?」
「でも、すでに血は流れてしまっている。友を失ったものも、子を失ったものもいるだろう。」
「今更、もう後戻りができないと、そうゆうのならば、僕は一度だけ、この力を振るおう」
ゼムの極光がすべてを包み込む。
「次に僕が目覚めたときに。世界が平和になっていますように。」
「『時間遡行的修復』」
次の日、戦争は決着した。
戦争で死したものは、その命を吹き返す。
戦争で破壊されたものは、修復された。
記憶は残っている。
しかしゼノの姿は消えた。
あの究極魔法を使った反動で眠ってしまったと言われている。
魔王は決めた、彼が与えてくれたこのチャンスを流さないと。
人の王は決めた、二度と過ちを犯さないと。
こうして、世界に平和が訪れる___________