米川先生マジですか……
南の家にお邪魔することに!
作家一家コワイコワイ
「陸奥君、君もモノ書きになりたいのかね?」
米川先生は、一気にお父さんの顔から、作家の顔へと、変わった。これが、プロのモノ書き。まるで、息苦しくなるようなそんな圧倒的なオーラに迫られる。
「はい。本気で作家になろうと思ってます」
自分の頬が攣りそうなほど、緊張しているのが分かる。本物の作家さんに対し、作家になると宣言した以上。もう後には引けない状況になっている。それだけ、大きなモノが関わってくる言葉だから。
「そうか。で、君はどういった小説をかくのかね?」
「はい。米川先生と同じ、ファンタジー小説を書かせてもらっております」
ファンタジー小説界の巨匠米川茉莉に対して、まさか、こんな発言をするなんて、夢にも思わなかった。
「そうか。君もファンタジー小説を書くのか。ぜひとも読んでみたいモノだ。今原稿は持っていたりするかね?」
「今、原稿は持ち合わせてはいませんが、米川先生の後を追っていたので、webにUpしているものがあります」
「ほぉ。私と同じサイトにUpしているのかぁ。いやぁ~そこまで熱狂的なファンがいるなんて夢にも思っていなかったよ」
米川先生ほどの巨匠であれば、熱狂的なファンなんて、数千人……いや、数万人規模でいるだろう。なんて謙虚に生きてるんだ、この人は。
「では、早速だが、読ませてもらおう。ペンネームを教えてくれるかな?」
そうして、渡されたスマートフォンには、書籍化作家の象徴である、羽ペンマークがついているアカウントが表示されていた。そこで、改めてあの、米川先生に見てもらうんだという大きなプレッシャーが自分にのしかかってきた。もう、緊張で押しつぶれてしまいそうなほどに……
「雪里千草です」
そういって、恐る恐る米川先生のスマートフォンに文字を入力した。
「ほう。ぱっと、あらすじを読むと、ほんとに、私の文体と、優香の文体と似ているな。君はどれだけ、私の……私たちのファンなんだね」
米川先生の小説で小説を書こうと思い立ち、東先生の小説で挫折したのを救ってもらい。そんな、南家の熱狂的ファンになるなんて、ごく当たり前のことじゃないか!(さっきまで同じ家族だったなんて知らなかったんだけど……)
そういって、また米川先生は黙々と小説を読み進めた。
ありがとうございました!
次回もおたのしみに!