strange encount
24歳 無職 大学卒業後大手ゼネコン会社へ就職するも、上司と口論になり昨日クビになった。
転職先を探し職安を渡り歩くも2週間で会社をクビになった俺を雇ってくれる会社など無く、途方にくれていた。
職安の帰り道、団地の下にあるブランコだけが置かれている小さな公園のベンチに腰を下ろし、一人黄昏ていた。
「あ~、異世界へのワープ扉とかねぇかな」なんていう妄想と共にブラックコーヒーを口にしながら
しばらく過ごしていると幼少の頃よく遊びに行った沼地を思い出し、其処へ足を運ぶことにした。
車を40分走らせて沼に着いた頃には、すっかり辺りも暗くなっていた。
錆びた注意看板、独特の匂いの沼、とても懐かしい。
たまたま傍に落ていた網を拾い、しばらく沼に沈めてからすくってみた。
するとヘドロに塗れた一匹のカニが捕れた
俺には、とても弱っているように見えた「お前も俺と一緒か?」なんていう妙な親近感から
俺はこいつを飼う事に決めた。
自宅マンションに帰り、昔使っていた金魚鉢を洗って、こいつの住処とした。
心なしか、捕まえた時よりコイツも元気になった様に見えた
そしてこいつに向かって俺は言った
「今日からお前は俺のクラブだ」