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不思議の国の千秋くん  作者: フリーN
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七頁 竜の嘆きは儚くて

一触即発…今この時ほどこの言葉が似合う状況はないであろう。ジャバウォックは澄ました表情を浮かべ平然とした様子に見えるが、額から一滴の汗を流していた。

「お前、そんなにこの剣が怖いのか?」

「その剣は唯一我に傷をつけれる代物…だが、それを手にしたからどうした?そのような事で恐れを抱くほど我は臆病ではないぞ」

「そうか、なら試してみるか?」

その直後、千秋は瞬く間に距離を詰め斬撃を放った。ジャバウォックは咄嗟に左腕で防ぐが腕には大きな傷を負ってしまう。

「ぐぬぅ…まさか我が痛みを覚えることになるとはな」

「なら苦しむ前に楽にしてやるよ!」

さらに千秋は間髪入れずに連続で追撃を与えた。負けじとジャバウォックは守りの体勢をとるが無傷とはならなかった。

「小癪な…人間如きが図になるなぁぁぁぁ‼︎」

ジャバウォックの怒号の威力は凄まじく大気が揺れているのを肌で感じることができる程だった。千秋はその凄まじい音量に耐えきれず耳を塞ぎ隙を生み出してしまった。

「燃え尽きるがいい!」

ジャバウォックは口から巨大な火球を千秋に目掛けて放った。

「しまっ…」

火球は大爆発を起こし城を半壊させた。千秋がいた場所は更地と化し、所々に火の手が上がっていた。

「ハーハッハッハァ!所詮はこの程度か、無様なものだなぁ!」

「そう言う貴様の方が無様に見えるがな、ジャバウォックよ」

すると、突然空から声が降ってきた。ジャバウォックが見上げるとそこには千秋をお姫様抱っこで抱えるNの姿があった。

「バカな!あの爆発からどうやって…ありえぬ!」

「ここにテレポートしたらいきなり火球がぶつかってくるものだから驚いたぞ」

「あれを生身で受け無傷だと⁉︎貴様はいったい何者だぁ!」

「ならば教えよう…私は優雅なる語り部、フ…」

「いい加減降ろせ!」

千秋は痺れを切らし話に割って入った。

「おいおい、これからビシッと決めるところだったのだぞ」

「いいから降ろせ!恥ずかしいだろ!」

赤面する千秋を見てNはニヤニヤと笑みを浮かべわざとらしくからかい続けた。

「私は中々映える絵面だと思っているよ…お嬢さん♪」

「てめぇ、後で覚悟しとけよ」

何を言っても無駄だと思ったが冷徹な声でそう言うとNが少し青ざめたように見えた。恐らくあの時の鳩尾(みぞおち)に受けた一発の記憶が蘇ったのだろう。

「貴様ら!何をゴチャゴチャと抜かしている!そちらから来ないのであればこちらから…」

「おっと!悪かったな。だが安心しろ、もう時間稼ぎは終わった」

「なん…だと…」

すると、無数の荊の蔓がジャバウォックの体中に絡みつき拘束した。ジャバウォックは蔓を外そうともがくがまったく外れる様子はなかった。

「では千秋くん、後は頼んだぞ」

そう言ってNは千秋を放り投げた。空中に身を放り出されたが千秋は慌てる様子もなく空中で斬撃の構えをとった。

「これで、終わりだぁ!」

強烈な一閃がジャバウォックに致命傷を与えた。そしてジャバウォックは膝から崩れ落ち、その場にうつ伏せで倒れた。

「…そうか…所詮我は空想…語られなければ存在も保てぬ…何故我は生み出されたのであろう…ルイス・キャロルよ…」

その言葉を最後にジャバウォックの体は鏡のように砕け散っていった。そこに一冊の本を残して―

いよいよ次で最終回!最後に語るNの言葉に千秋は何を思うのか…乞うご期待あれ!

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