二頁 アリスの代役
「紅茶の味は如何だったかな?」
「うーん…やっぱ、メロンクリームソーダがよかったな〜」
「ハハッ、はっきり言うではないか…」
千秋はこの状況に慣れたのか皮肉を言う余裕があるようだ。その発言に対してNは怒りを抑えるような口調で返答した。
「で、その世界を救うにはどうしたらいいの?」
「そうだねぇ…まず初めに君に『アリスの代役』を務めて貰うことだ」
「代役?それはどういうことだ?」
「うむ、実は今この物語からアリスという存在が消えかけていてな…なんとか消滅する前にアリスの『天分』だけは回収できたのは不幸中の幸いだったがな…という訳で今からこの天分を君に授けよう!」
Nが指を鳴らすと同時に「ボフッ」という音と共に白煙が千秋を包んだ。
「げほっ!げほっ!おい…いきなり何すんだよ!」
「さぁ、新たなアリスとご対面だよ!」
Nは鏡を取り出し千秋の前に設置した。千秋は鏡を覗くとそこに写った自分の姿に驚愕した。なんと、さっきまで着ていた服がフリフリの付いた女性の服になっていた。おまけに頭には、兎の耳を模したリボンが付いていた。
「天分を授けるのは初めてのことだったがこれは…大成功だ!」
「ふざけんなテメェ!」
「ぶべらっ⁉︎」
Nは千秋の強烈な右ストレートを溝内に受けて倒れ込んだ。
「お、落ち着きたまえ!今君はアリスの天分を授かったことによりアリスそのものになったのだよ…物語の人物から見れば君は立派なアリス、アリスが男性の服を着ていたら不自然であろう?」
「ちくしょう…こんなの圭に見られたらたまったもんじゃねぇよ…」
千秋は怒りと恥ずかしさで顔が真っ赤に染まっていた。それを見てNはニヤニヤと笑みを浮かべていた。内心「ザマァw」とでも思っているのだろう。
「さて、あまり時間もないから不思議の国に向かうぞ」
Nはポケットからカードを取り出しその中に入り込むと、カードはトランプのジョーカーのように変化した。
「千秋くん、すまんがこの状態だと動けないから拾ってくれないか?」
「本当にめんどくせぇよ、あんた…」
そう言いながらも拾ってくれた。千秋の根の良さが伝わる一面だった。
「よし、では私をポケットに入れたら三秒間目を瞑るんだ」
「はいよ…」
千秋は言われた通りにNのカードをポケットにいれ目を瞑った。
「では行くぞ…三…二…一……よし、到着だ!」
そして、目を開けるとそこは木漏れ日の差す森の中だった。
「本当になんでもありだな…」
「どうだい?惚れたかい?」
「いや全く」
心が折れる音がした…
どうも、心が折れたNです。今回は書いててニヤニヤが止まりませんでしたwww
次回はあの二人がでるかもしれんぞ…
では諸君、また会おう!