一頁 ご招待
夕火の刻、粘滑なるトーヴ
遥場にありて回儀い錐穿つ。総て弱ぼらしきはボロゴーヴ、かくして郷遠しラースのうずめき叫ばん。
紳士淑女の諸君、私は優雅なる語り部フリーNである。ところで諸君らはジャバウォックを知っているかい?ジャバウォックは鏡の国に伝わる空想の怪物…
そう、本来なら存在しない筈の存在…奴が幻であることによって物語は安定していた。でも、その幻が具現化したら物語はどうなる?答えは至って簡単、舞台は崩れ落ち、役者達は望まぬ結末を迎え、物語は虚と化す…
「という訳で千秋くん、これから君にこの狂い始めた物語を救って欲しい!」
「いや、待て待て待て待て!どういう訳だよ!てかなんだこの当たり前じゃねぇ状況!」
「説明した通りだが?」
「一ミリもわかんねぇよ!そもそもここは何処だよ…何処見ても真っ暗だし」
「ここは夢と現実の端境、分かりやすく言えばここは私の創った空間だ」
千秋は完全にツッコミを放棄した。Nの一方的なペースに飲まれ思考が停止しかけているようだ。
「まぁ、いきなり過ぎるだろうし茶でも飲んで落ち着きたまえ」
そう言ってNが指を鳴らすと突然テーブルと椅子が現れ、テーブルの上には紅茶が注がれたティーカップが置いてあった。
「えっと…これは…?」
「ん?ダージリンよりアールグレイの方が良かったか?」
もう…何でもいいや…
今回はこれ幸のキャラ京極千秋くんが主人公の作品を書かせて貰いました。この物語は結構長く続く予定です。ご愛読頂けると光栄です。